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Exhaust  作者: あると
Chapter.4 亡霊 編
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4-3 親友だから

あるとです。

桜井君たちがホスクラにやってくる描写なんですが、

私自身、ホスクラなんて行ったことないし

これからも行くことはないでしょう。

なので作中でのホスクラでの描写が

リアルとは全然違うとは思いますが、そこだけご了承を。

お酒まだ飲めないので…。

「……ここだ!」「……間違いない、ここです。じゃ、行きましょーか。」深夜。桜井、東條、水谷の3人は、広島市某所の繁華街へやってきた。


諏訪木がいるホストクラブのある場所を探り始めて30分。やっとの思いで彼のいる店を見つけることができた。


「同じような店ばっかでよくわかんなかったからなぁ、もう疲れた。」水谷はそう愚痴をこぼす。桜井が先に店の中へ入る。


「……なんだかんだ、こーゆー店来ることねえから、なんか新鮮。」「な。ってか桜井のやつ、1人で中入ってったけど、こーゆー店のこと分かってんのか……?」


実際、桜井は何も知らず調べずで店に入っていった。要件のある諏訪木先輩ただ一人な精神の彼は、その過程に何が起きるかどうかなどどうでもよかった。


少しして、桜井が店から出てくる。「さ、行きましょ。」「……ん。」そうとだけ返し、3人は店員に連れられて店の奥へ向かっていく。


店の中はエントランスと違い、カラフルでギラギラした眩しい光が辺りを照らしていた。まさにクラブといった印象。


「初めてだから慣れないです、こーゆートコ。」「そうだな……俺は何回か来ることあったが、いまだに慣れてねーよ。」東條は桜井の呟きにそう返す。


『……意外。こーゆートコ来るんだ時名。』「まぁ、"お偉いさん方の機嫌取り"っつー形でだがな、たまにキャバクラに行くことはあるってだけで……何だよ。」


東條が桜井と水谷のニヤけた顔を見てツッコむ。『いや、別に……?』


店員に案内され、ソファ席へ通される3人。「ただいまお呼びいたしますので、少しお待ちください。」


3人を案内した店員は、そう言って下がっていった。「……今のコかわいくねぇ?」水谷は諏訪木を呼びに行った店員を見て、東條に話す。


「どいつもそんなもんだよ……ひっかけてくんなよマジで。帰すの面倒なんだからな。」「分かってるって、お持ち帰りなんて絶対しねーから。」


ヘラヘラしながら答える水谷に、少し心配になる東條。だが、すぐ心配の心はなくなる。(ま、諏訪木と話しすんのに、女のコいたら邪魔になるかもしんねぇからな。


アイツも、それを分かってて言ってるとは思うが……大丈夫だと信じようか。)心の内では冷静に考えていた。


「……やっと来たか、悠人クン。」すると、奥から軽い声がやってくる。3人は同時に顔を上げて振り返る。


ラフに開けたシャツ、整った顔立ち、余裕のある足取り。「久しぶりィ。」諏訪木牧夫(すわき まきお)だ。


「久しぶりです、先輩。」桜井がそう言うと、諏訪木は桜井の向かいに腰を下ろす。


「急に電話かけてくんだもんな、びっくりしたよホント。……で、この2人が悠人クンの"お友達"だっけ?」


「そうです。左から、水谷さんと東條さん。」諏訪木は2人を順番に見て、ふっと笑う。「どっちも走り屋ねえ……しかも"女のコの走り屋"だなんて……。」


「……ん、女?」桜井と東條は、あたりを見回す。だが、水谷は薄々気づいていた。女の走り屋が、自分の事だろうと。


水谷の顔立ちは中性的。それに加え、東條と比べて身長が低い。少し髪を伸ばしただけで、周りの人が彼を女性と見間違えるほど。


その為に昔からこのような勘違いがよくあり、コンプレックスに思うこともあったが、最近は慣れた様子を見せていた。


「……多分それ、俺の事っしょ?」水谷はおそるおそる手を挙げる。「……あ、男!?気に障るようなこと言っちまったか、俺!?」


「いや、いーよ別に。よく言われんだ、ソレ。」水谷は肩をすくめて笑う。「マジかよ……完全に女だと思ってたわ。」「失礼だなアンタ。」「悪い悪い。」


軽く謝る諏訪木。そこに東條が口を挟む。「コイツ、見た目で損してるだけで中身はだいぶ雑だからな。」「オメー、余計なこと言うなよ。」


水谷が東條を睨む。桜井も少しだけ笑う。さっきまでの緊張が、ほんの少しだけ緩んだ。「……で、お前らは俺と茶番をしに来た訳じゃないんだろ?要件ってのを聞こう。」


「えぇ、話は東條さんがお願いします。ずいぶん特殊なもんで……。」桜井がそう言うと、諏訪木の視線が東條へ向く。「へぇ……アンタが主役ってわけね。」


東條は腕を組んだまま、短く息を吐く。「単刀直入に聞く。」空気が、わずかに引き締まる。「俊谷真司という走り屋は、知ってるな。」


諏訪木の手がほんの僅かに止まる。「…さぁね、誰のことだか。」「広島で走ってるなら知らねえ訳がない。地元最速のドライバー争いでいつも名前が挙がるほどだからな。


嘘ついても見え見えなんだよコッチは。広島一の情報網を舐めないでもらいたいな……。」


諏訪木はポーカーフェイスを貫いていた。が、内心では東條の放つ威圧感に圧倒されていた。諏訪木はため息をつく。


「……名前は知ってる。が、2年前に事故って死んだって聞いたぜ?」「いや、そいつは今も生きてる。


なぜなら、今この場にいる、俺を含めた3人+αは、白いE30型 BMW M3を目の前で見ている。そして走って、"全員から"逃げ切った。」


諏訪木はグラスを持ち上げる手を止めた。「それって、悠人クンからもか?」「はい……俺のクルマでバトって、それで負けました。正直ショックですよ、俺。」


桜井は苦笑する。だが、その目は笑っていない。「……全然届かなかった。」諏訪木の手が、グラスを持ったまま完全に止まる。「……マジかよ。」


東條はその時、諏訪木の目が泳いでいたのを見逃さなかった。桜井の敗北に動揺したのではない、違う感情が心に籠もっているのが、彼には分かった。


「知ってるな。それも、俊谷との出来事を色々と。」「な……。」ビンゴ。東條の鋭い推測に、心を読まれているかのような感情を見せた諏訪木は、つい声に出してしまう。


慌てて手で口を覆う諏訪木。「……っ。」言葉が出ない。その様子を見て、東條は確信する。「……もういい、そこまで怯えなくて。」


東條が静かに言う。「知ってるかどうかを聞きたかっただけだからな。これ以上詰めるつもりはねーよ。あとは、彼の居場所だけ教えてくれれば、それでいいんだ……。」


静かに言う東條だが、その心の内に秘めた覚悟と闘争心。諏訪木は、東條が本気で俊谷の事を知ろうとしている事を、強く思い知らされた。


「……どうして、そこまで俊谷の事を知りたいんだ、お前は?」諏訪木の問い。嘘の話を聞くつもりのない、東條に対する本音の問い。東條は俯いて間を置き、答える。


「アイツは、俺の"親友"だったから……。」たったそれだけ。だが、そんな短い言葉のなかにも、東條の覚悟がびっしりと詰まっていた。


「2年前、アイツが事故ったって聞いた時、俺は何も出来なかった。死んだって話を聞いても、俺らは遺体も見てねぇし、事故現場も見てねぇ。


俺らは何も知らずに、ただ俺らの前から消えた……そうとしか言えない状況だった。俺は凄く悔しかった。何より、アイツに裏切られた気分だ。」


東條の手は震えていた。諏訪木だけじゃない、桜井も、水谷も、東條がどれだけ辛い思いをしてきたか、それを強く実感した。


「俺は、俺の親友の……俊谷の顔がもう一度見たいだけなんだ。頼む、アイツの事を教えてくれ。」


東條は諏訪木に深々と頭を下げた。その時の東條の声は、微かに震えていた。諏訪木は東條の言葉に、すぐには答えなかった。


というより、答えられなかった。彼に対する様々な思いが、諏訪木の頭の中を巡っていく。本気で俊谷に会いたい。彼の言った言葉はそれだけなのに。


「先輩。俺からも、お願いします。」桜井は諏訪木の気持ちを理解していた。東條のために、そして俊谷のために巡らせていた気持ちにケリをつけなければ。


「……分かった。全部教えてやる、アイツの事。」「な、本当か!?」東條が顔を上げる。その目には、明らかな希望が宿っていた。


「ただし、もちろんタダで教えるつもりもねえ。」諏訪木が一言挟む。「分かった、引き受ける。」即答。東條は教えてくれるなら何でもよかった。


「まだ何も言ってねえよ。話すだけ話して、お前らを帰すつもりは、俺には一切ねえ。金ぐらい少し落としてってくれよ。店の経営と利益のために。」


諏訪木はニヤッと笑う。「いくらだ。」やはり東條は即答する。「いくらっつーか、酒を飲んでくれ。ほれ、メニュー。」


諏訪木は東條らにメニューの冊子を渡そうとした。が、寸前で手を止め、考える。「あ、そうだ。テキーラ。


テキーラ飲んでくれ。今この店、発注ミスってソレだけ異常にあんのよ。だから、それ一本消費しときたいんだ。」


諏訪木はバックヤードで撮った、有り余るほどのテキーラの在庫の画像を見せる。ぱっと見でも、200本以上はあるように見えた。


「俺らのこと業者かなんかだと思ってるんですか先輩?」「場所、教えて欲しんだろ?なら頼むよ〜……そうだ、ボトル1本先に飲み切る勝負しようぜ。そしたら──」


1人でどんどん話を進めていく諏訪木。暴走寸前の彼を東條が止める。「おーい、戻ってこい。1人で話を進めすぎだぞー。」


「あ、それもそうか……とりあえず、酒飲めねー奴いるかい。」諏訪木は気持ちを切り替え、3人に聞く。桜井と東條は即、手を挙げる。「俺、未成年。」「俺、運転。」


2人が言うと、自然と3人の視線が唯一答えなかった水谷の方に集まっていく。「……クソがッ!」水谷がやるそうだ。


「何のためにお前を今回連れてきたのか……こういう非常時のためよな。」「……わかったよ、やりゃいんだろやりゃ!」


殆ど投げやり状態になっている水谷。諏訪木はテキーラボトルとショットグラスを水谷の前に置き、準備は万端。


「じゃ、始めようか。簡単に堕ちんなよ?」「ぜってー潰してやる。」2人の間にバチバチの雰囲気が流れる中、バトルは始まるのだった……。

諏訪木はC6コルベットを買うために

ホストクラブで働くようになりました。

コルベットを買ってからは、車のために稼いだ金を費やすという、

どこぞのスープラ乗りの人みたいな事をしています。

ちなみに、諏訪木のモデルはスープラ乗りの方ではなく、

彼の職場の先輩の方の"竜也"さんです。

以上、あるとでした。

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