議員を募集したのだが……
「ダメですわぁ~。論外ですわぁ~」
まさか立候補者がこんな連中ばかりとは……。
数時間前、俺たちは選挙について話し合っていた。
「最初はお試しなので、今の代官や大臣が集まる会議に参加するメンバーを増やしていきたい」
「うん」
「候補者なんだけど、地域、職業、年齢。それぞれの代表にすべきか悩んでいるんだよね」
「地域ってたとえば?」
「建国当初のリベル王国、旧ダウト王国、無政府地域の3つ」
「最初の2つは、既に代官がいるから、そのまま地域代表でいいんじゃないの?」
「問題は無政府地域ね」
「そうか。じゃ、そこから5人の代表を選ぼう」
「職業というと?」
「まずは商人、次に職人。
最後に農民、猟師や漁師、鉱夫あたりかな?
3つの区分で、男女1人ずつ」
「年齢は?」
「35歳未満の若者や、60歳以上の高齢者。
発言しにくい気がするので、代表が必要かなと思って……」
「なるほど」
「2つの区分で、男女1人ずつ」
「もう、全部でいいんじゃない?」
最近のライナは、結構投げやりだ。
こいつは長い会議には耐えられない。
もう「私はもういいです」という顔をしている。
「次に任期だが、ベスティアには任期がないそうだ」
「ずっと議員なの?」
エリナがゆるりと質問する。
「定期的な資質検査と信任投票。さらにシステムによる抜き打ち検査があるんだってさ」
「なるほど」
エリナがそう言ってくれているが……
ライナは集中力が切れている。
口開けっ放しになってるし、半分寝てるな。
「政治のことはようわからん。面倒だからそのまま使う」
「大丈夫なの?」
「ベスティアで実績があるなら大丈夫だろ」
なんだか、エリナと俺だけで会議をしている気分だ。
「任期なしなら、年齢で募集は意味ないですよ」
元執事のスミスさんが指摘する。
「え?」
「何十年かしたら、若者代表がいなくなります」
「それもそうか」
年齢代表は、いったん保留だな。
最終的に無政府地域の新代官5人、職業別議員6人を選挙で選ぶことになった。
俺と国王代理2人、ライナとエリナ、既存の代官、そこにローラを加えたメンバーで当面会議を回してみよう。
「選挙管理委員会は、俺とローラでやろう」
「2人で?」
「最初は十人のテストケースだからな」
「候補者の事前審査は?」
「表向きは、推薦人10人の確保、所信発表。それから面接」
「表向き?」
「裏では、候補者の事前審査と違反行為の監視をタブレットでやりたい」
「いい考えですわぁ~」
「それ、いくらになるのかな?」
「チッ」
舌打ちしながら、見積書を出す。
「うん、それでいい。あとで契約書持って来て」
俺の許可は?
あ、ないのね。
もう、エリナが王様で良くない?
つい、そう思ってしまう。
こうして第1回選挙の立候補者を待つことにした。
選挙システムに必要な項目を打ち込む。
ローラのタブレットにも、その設定を入れる。
「あ、早速来た」
さすがネットで選挙。すべてが早い。
SNSの返信のような爆速だ。
「この人はダメですわぁ~。真っ黒・黒ですわぁ~」
いきなり、裏審査で落ちた。
所信表明は「俺様、最高」
募集開始から数分で推薦人126人。いや、絶対ウソだろ。
ふつうに表審査でも落ちるな。
「お、また来た」
「この人もダメですわぁ~。犯罪歴多すぎですわぁ~」
っていうか、所信表明が「俺はビッグになりたい」って何?
推薦人もまだ募集中って、要件満たしてないでしょ。
こいつ、表審査までたどり着けないだろ。
……まともな候補者、集まるよな?
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次回
『応募者が察したスキルは?』
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