「おまけ」扱いされる国王
「ぐほ、げほ、ぐは……」
喉が焼けそうだ。
だけど、周りの皆は「だから言ったのに」という顔をしている。
エイジアの人たちからも「おかしいんじゃないの?」という目で見られている。
おかしいな。
イナディで「ふつうのカレー」を頼んだはずなのに……。
「だから言ったじゃない」
そういうライナ。
「これ飲んで」
そう言ってエリクサーもどきを差し出すエリナ。
ゴクゴク……。
お?
復活した。
「これ、まだある?」
「うん。たくさんあるよ」
ってゆうか、今、どこから出した。
エリナ、俺の知らない技を習得してたの?
まぁ、いいか。
「ありがとう。これ飲みながら食べきってみる」
俺たちは、お得意様「エイジア皇国の外交官と商人」を連れてイナディに来たので、彼らの「ついで」として大歓迎された。
エイジアの人が頼んだ「現地のおススメのカレー」を……。
俺は「彼らと同じものを……」とキザっぽく……。
ライナとエリナは、超超甘口カレーを注文した。
ライナとエリナのところには、ヤシの実の激甘部分をふんだんに使ったカレーが運ばれてきた。
「何、これ甘すぎ……」
「うははは……バカだねぇ」
と嘆く彼女らを笑いながら、
届いた「おススメというカレー」を食べたのだが、
こっちはこっちで、激辛だった。
舌が、喉がやられる。
なのに、エイジアの人たちはケロッとしてやがる。
ホントに同じものなのだろうな。
見た目は一緒だ。
というか、ここには、激甘と、激辛しかないのか。
でも、食べ物を残すのは、マナー違反らしい。
俺は、泣きながら食べた。
食べて、泣いて、エリクサーもどきを飲む。
そんな流れを何度も何度も繰り返した。
やっと食べ終えた時には、1~2時間が経過していた。
もう涙が枯れるほど泣いた。
ちくしょう。
こんな国は早く出てやる。
しかし、無理して食べたことを、あとで死ぬほど後悔することになるとは、この時の俺はまだ気づいていなかった。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
目的の香辛料を得るため、市場に出た。
まずは、ここの通貨を得ることからだ。
昨日のうちに《フェイク》の力で、適当なゴミをオリハルコンに変えて用意している。
これを売って通貨を得るのだ。
目論見通り、ここの通貨に換金できて、
ここの香辛料も仕入れることができた。
商談の際、相手が首を左右にピコピコと傾げるので、何か間違ったかと思って焦った。
でも、これがここでのOKの意味らしい。
首の動かし方が速かったり、遅かったりしていたのは、何か意味があるんかな?
仕入れたものは、あとで、商人さんたちに売るとしよう。
きっと高く売れるに違いない。
エリナは、ここで色々な石ころを買っていた。
ホントに石が好きだな、エリナ。
前世(日本)でも、そういう仕事をしていたとか言っていたな。
ライナは、綿織物を買っていた。
肌触りがとてもいいのに、お安いらしい。
この国は、水の飲み方もおかしい。
コップに口をつけずに、上から直接のどに流し込んでいる。
めちゃくちゃ飲みにくいだろ。
案の定、こぼしながら飲んでる人を何人か見た。
おかしな国だ。
早く出よう。早く……。
俺たちは、エイジアの人たちに出航を急がせた。
船で運ぶほど大量の品を扱っているので、
積み下ろしに時間がかかるらしい。
もしかして、俺たちもそのくらい買うべきだった?
でも、いつでも来れるしな。
積み下ろしは早くても2日かかると言われた。
つまり、歓迎の宴は今夜も明日も続くらしい。
勘弁してくれ。
体調不良という仮病を理由にキャンセルさせてもらった。
俺たちは「元々ついで」というか「おまけ」なので、キャンセルしても全然問題ないそうだ。
それはそれで、なんだか寂しい。
一応、国王なんだけど。
俺たちは、オレンジタルト(帆船型電動船)に先に戻ってると伝え、先に船内で待機していた。
いいね。やはり、日本食は落ち着く。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
翌日、便意を催して、トイレに行った。
そして、思い出した。
激辛なものを食べた時は――
それを出す時も、めちゃくちゃ痛いということを。
「!!……い、痛っ……」
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次回
『国王、逃亡中』
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