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39 振武刀

(四門流奥義・谷風(たにかぜ))

前方の敵に突撃していく技である。

八相から袈裟でまず1体、そのまま刃を返し水平で2体目を(ほふ)る。


3体目は一回り大きい個体で所々傷もあり、歴戦の吹返(ふきかえし)っぽく警戒したが、動きが鈍く片足を斬りバランスを崩れたところ首を上に切り上げた。

(手負いだったのか?)


静の前に立ち左手で軽く頭と頬を撫でると嬉しそうにこっちを見上げる。


周りを見る。

左手の侍が2体の硬種型を1人で相手にしている。


右手に振武刀を下げそちらに向かう。


振武刀(しんぶとう)

金属材料研究所より生まれプロトタイプは金研刀とも呼ばれる。

タハードという鋼の丸鍛錬である。

マイナス40℃でも損傷・折損しない。

北方戦線用に開発された最強の耐寒刀である。


「下がれぇぇーーい!」侍に声を掛ける。


(四門流・空蝉(うつせみ))

歩きながら下から上に剣を回し一瞬で2度斬り3刀目で2体同時に首を切り捨て、納刀し皆の方に歩いて行く。


下がった侍・静・杏・牧野は唖然としている。


周りを確認して収束を確認した静は駆け寄り、

「旦那様」っといってぴったり抱きつく。

「うん?静とりあえず片付けようか?」

静は嬉しそうに頷き、折れたエンプレスを拾いに行った。


「先輩刀折ってしまいましたすみません」

「ん?構わないぞ?それより凄まじい斬撃だったな」

「ありがとうございます!先輩ほどではありませんけどねー」

「素直に喜べ!」


杏が牧野の腕にしがみ付きながら折れた「兼重」と俺たちをじっと見ている。 

興亜一心刀と振武刀も見る。

「後でちゃんと説明するよ」っというと納得してくれた。

「とこでこの折れた刀の金具綺麗ねぇー」

「ああ、美濃彫・喜多川派の藻柄子入道宗典(そうへいしにゅうどうそうてん)の作品だな」

「何それ知らない!」

(ああ、杏はそっちも専門だったな。こっちには宗典居なかったのか?)


◾️◾️◾️


この一件だが・・・

まさかのおおごとになった・・・


翌日、自衛隊パイロットによるチャーター便で東京に帰る事になった。

首相のようだ・・・


4人は護国省本部・防衛門科に出頭した。


本部の第一音楽室に行く。

ここ第一音楽室は音楽室と言ってるが音楽には使って居ない。ヤバい話専用の防音完備部屋だ。

本当に音楽に使うのは第二音楽室だ。


部屋に入ると防衛門科の坂市総長をはじめ輜重兵科・防衛部隊の母衣衆(ほろしゅう)・連絡通信部門の百足衆(むかでしゅう)の総長。更に驚く事に普段出てこない(くさ)、通称お庭番と呼ばれる情報部の総長も居た。清水天位と社天位も同席している。


「さて今回の報告をしてもらう。新下、いや工藤天位?・金子天位お願いします」

今回の交戦を説明する。

同時に撮影された戦闘映像を流す。

「牧野君の剣風も凄まじいな、誰が師匠だ?金子天位か?」

「工藤先輩です・・・」

「!」

「この剣は?」

机の上に折れた兼重と興亜一心刀・振武刀がある。

「俺のです」

全員が俺をみる。

「話してくれますか?」

「もちろんです」

俺はこの世界に来たところから話し始めた。


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