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34 刀法の知識

誤字を発見し修正致しました。

失礼いたしました。

[濃州住金重]を牧野に渡す。

俺は[濃州住火主龍子兼正]こと大野兼正を取り出した。


えんりゅうし=火を司る者の意味だ。四方詰という鍛錬にこだわり、とにかく鉄にこだわった刀匠だ。人間国宝の宮入昭平に「大野の鉄は日本一である」っと言わせるほどの美しい鉄(かね)である。美しさだけでなく日本刀の試し斬りを行う武術家が「安心して技が使える」との事で、買い求めることから武用刀としてもかなり有名である。

 

兼正を抜き床に寝かす。刃の下に木刀を入れ軽く持ち上げる。柄頭は床に付けたままだ。

木刀をゆっくり剣先にずらしていくと、ある場所でくるりと刃を木刀側にし起き上がる。

ここが力学的に1番切れる「物打(ものうち)」と言われる場所である。

切先3寸が物打だと言う事があるが間違いでも無く正解でも無い。素人や初心者にざっくりと説明するのにはいいだろう。

だが物打とは点である。点と線だとかなり違う。


斬った時に剣が当たる場所は物打でいいが、剣の勢いが抜けてしまう斬り方はいけない。悪い抜き胴の時によく見られる、敵の胴に当たっている時に手首が曲がり1番力が抜けているやつだ。


ほかに大事なのは物体に入る角度の刃筋。

それと刃波(刃並)という入射角と出射角を結ぶ線だ。

刃波が正か無いと刀身の抜けが悪く、シャクリ斬りになり刀を曲げたりしてしまう。


あとは体の運用、コレが下手だと剣を曲げるので注意だ。上手いと体の動きを剣に乗せられ、剣のスピードが上がる。

そうすると当然、「衝撃力は運動エネルギーに比例するので、速度の二乗に比例する」このことから剣速=威力となり重量物なども斬れるようになる。

要は剣速が上がれば威力も上がるのだ。


手の内はとにかくしっかり握る。クソ握りである。ただし親指が人差し指の爪の上に乗るハンマー握りは手首が固定されてしまうのでいけない。

親指は人差し指の上にくるクソ握り、通称はコンバットグリップとも言うコレに限る。備考だが西洋剣やダガーでは刃を横にしその上から握るセイバーグリップという握り方もする。


右手が前、左手は指一本分ぐらい開けて握ると斬りやすい。

斬る時に絶対握り直していけない。手を緩めて再度握り直すと刃筋が少しズレるのである。

この癖が付くと刀を曲げてしまうので絶対にやってはいけない。

これは剣道熟練者がやってしまうのだ。

打ち込みまでは軽く握り、当たる時にだけ手をキュッと締める癖があるので注意だ。


あと左手を柄頭の方に握ると変化技に対応しやすくなるが、打つならいいが斬るのであればあまりおすすめしない。(そう言う持ち方の流派もあるが、独自の切り方がある。)


刀は押して切るのか?引いて切るのか?っと聞かれる事があるがどちらも不正解である。

ただ包丁のように引いて切ると言うと、普通の人はイメージしやすいらしいので、ワザと素人向けにはそう説明している人もいる。


引いて切る押して切るなどそう言うレベルではなく、斬撃にはとにかく色々な要素が必要なのである。


とにかく刀法を知らないと話しにならない。

剣士は道具を使うので、それについても知らなければならない。


日本刀は武器で最強!と言う人がいるが間違えである。武器としては非常に脆弱(ぜいじゃく)な部類に入る。

刀の背の部分で強くミネ打ちをすれば、刃側に刃切れと言うヒビが入る。


剣を横から叩けば結構簡単に折れてしまう。

使いこなすにはとても高い練度が必要とされる、とんでもなく面倒な武器である。

素人に日本刀渡して戦うより、ナタとかバールを渡した方が有効である。


ただし練度が高い者が使うと凄まじい性能を発揮する・・・

これが日本刀の神秘性になっている。


◾️◾️◾️


畳表1枚巻きを3日ほど水に浸けた物を牧野に切らせる。

立木で間合いも分かっているので、空振りせず足の引きも良く見事に斬る。


文句無しだ、

今後は複数を、動きながら素早く斬る練習をする事にしよう。

(牧野に畳表巻くの手伝わせるか・・・)

こうして牧野の試斬稽古が始まった。


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