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エピソード08

「先に言っておくね。

私の知っている全てを話すことはできない。

少なくとも今は。

そこまでの裁量権は、私に与えられていないんだ。

ごめんね···」


「も、勿論です!

こちらこそ図々しくも甘えてしまって

本当に申し訳ございません···

ハーツ様とガイル帝国にとって

差し支えない範囲で構いませんのでお願いします。」


「ありがとう。クロエ嬢。」


語られた内容には、王家の内情も含まれており

クロエの想像以上に、ハーツはこの状況を把握していた。


流石ガイル帝国の皇子!と

手放しで褒め称えたい気持ちもあるが

それより、アース国の機密保持の甘さに頭を痛める。


『これが帝国と王国の違い···

この甘さを絶たなければ、相手が帝国じゃなくても

いつか足元をすくわれる可能性があるわ···』


クロエは、見の引き締まる思いとともに

情報の渡った相手であるハーツが

少なくとも、この国の王太子ロベルトに

好意的な感情を持っていることに安堵する。



ハーツから得た情報では

アース国にのみ現れる異世界転移者

《迷いの愛し子》が、真夜中の王城庭園に現れたことが始まりだった。


クロエの敬愛する初代王妃様も

《迷いの愛し子》であったことから

《迷いの愛し子》が現れると

王家が手厚く保護することが慣例となっており

今回の《迷いの愛し子》ナオコ様も

王家の保護を受けることを選ばれたそうだ。


『真夜中に現れた···ってことは

夜が明ける前にアイルが呼ばれたのはこの件?

それに···いつもならいらっしゃる時間帯に

王城へ向かわれていたお父様···

宰相であるお父様が、王家の異変を知らされないわけがないもの

お父様もこの件で登城されたの?』


ハーツは独自筋より情報を得て

さらなる状況把握のため、誰よりも早く会場入りし

参加者である学友たちの異変に気づいたようだ。


「正直に言うが、正気の沙汰ではなかったよ。

私を含む他国からの留学生も

多からず参加しているというのに

自国の王太子婚約者である公爵令嬢を

こき下ろすような噂話に興じるだなんて···

非常に不愉快な思いだった。」


その噂話が最高潮に達したのは

アイルからの絶縁宣言とも受け取れる

あの発言が元だったという。


その後、《迷いの愛し子》をエスコートし

会場に現れたロベルトを見て、ハーツはクロエを探しに来てくれたのだ。


「ごめんね、もっと早く探しに来れば良かった···

まさかロベルトまであんな様子になっているとは思ってなくてさ···

あいつの瞳は······」


「···?」


「······あいつの瞳は、いつも君しか映していなかったから」


「······自惚れかもしれませんが

ロベルト様に愛されていたと···私もそう思っていました」


あのハニーイエローの瞳が

他の誰かを映すことなど考えたこともないほどに···


「あんなロベルト見たくなかったよ。

隣にいるのがクロエ嬢かと錯覚してしまう態度で

《迷いの愛し子》に接していたからね···

そして皆はそれに大歓声を送っていた···

異様な光景だったよ。」


「あの···」


「ん?」


「アイルは···アイルはどのように過ごしていましたか?」


「アイルは···クロエ嬢への暴言について

どういう了見かと、私から声をかけたんだけど···

一喝されて、結局逃げられてしまったよ···

その名を口にするな!とね。」


お手上げだ!という身振りで、おどけてみせるが

その目には、アイルを窘められなかったことを

懺悔するような、悲しみの色を含んでいた。


「アイル···」


それほどまでに自分を拒絶するアイルを思うと

クロエは、心臓が軋むような感覚だった。

裏話

ーーーーーーーーーーーーー

年齢制限?いらんいらん!と気軽に始めましたが

よくよく考えたらR15っぽい表現が

チラホラ出てくることを今さら思い出して

ぬるい感じの表現を頭の中で練ってます。


よく考えずにポチってするの絶対ダメ!

今後、新しいのをUPする時は

問答無用でR15を選択しようと決めました。


【追記】

誤字をご報告くださって

ありがとうございました┏○ペコッ


誤字と言うか

間違って記憶していました!お恥ずかしい///

とってもとっても助かりました!

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