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エピソード07

徐々に視界は明るくなり、身体に血の巡りを感じる。

『なんて心の弱さなの···こんな脆弱な人間が

ロベルト様を支えるつもりでいたなんて···

おこがましいにも程がある···』


「ハーツ様、ありがとうございました。

もう大丈夫ですが···手をお借りしてもよろしいでしょうか?」


先ほどの脳貧血による目眩は治まったが

今朝からのストレスにより、頭と身体が

ふわふわと地に足がつかぬ感覚があったので

恥を忍んで、立ち上がる介助をお願いする。


「当然だ。

でも、慌てて無理する必要はないよ?

ここには私たちしかいないのだから···

もう少し休んだ方がいいんじゃないかな?」


ディープレッドの艶やかな前髪の隙間から見える

クロエとよく似た若草色の瞳が、心配そうに様子を伺う。


クロエは、手のひらを何度も結んでひらき

ハーツに異常がないことを証明する。


「本当に大丈夫そうです。」


「なら良かった。

では···レディ、少し失礼しますね?」


「きゃっ!!!」


いたずらっ子が浮かべるような、おどけた表情で

ハーツはクロエを抱きかかえたまま立ち上がる。

そして、ゆっくりとした手つきで地に立たせた。

その暖かい手は、クロエがしっかり立てるという

確証を得るまでの間、力強く背中に添えらたまま···


「うん。大丈夫そうだね。」


パッとクロエから大袈裟に手を離し

ハーツは、元の紳士的な表情に切り替える。


「申し訳ございません。ご迷惑をおかけいたしました。」


先程まで、血の気が引いて青白かったクロエの肌が

今度は赤く染まり、蒸気が出るほどに火照る。

『だって···ロベルト様にもアイルにも

抱きかかえられることなんてなかったもの···』


恥ずかしさから、ニコっと笑顔で返される

ハーツの返事も、まともに受け止めることができなかった。


「ふふっ···ごめんね?

クロエ嬢がそんなに狼狽えるなんて···」


ハーツが腹を抱え、声を殺して笑う。


『《アナガアッタラ、ハイリタイ》って

こういう時に使うのよね?···

確かに穴があったら今すぐ入りたい気分だわ···』


両頬に手をあて、恥ずかしさから背を向けるクロエに

ハーツは心底ほっとしていた。

『良かった。

クロエ嬢、君には笑顔が似合うんだから···』



「ふぅ〜〜〜〜〜」


一時置き、やっと恥ずかしさが薄れてきたクロエは

深く長く息を吐き、心を落ち着ける。


「スゥーーーーー」


今度は新鮮な空気を肺いっぱいに入れ、目を開けば

ハーツに声をかけられるまでの

神をも呪うような、仄暗い気持ちも消え失せていた。


「クロエ嬢、どうしたい?」


「ハーツ様···どこまでご存知なのでしょうか?」


ハーツは眉を八の字にして言い淀む。

恐らく、クロエをできるだけ傷つけぬよう

言葉を選別しているのだろう···


「事実を。ありのままを教えてくださいませ。」


「ん〜〜、、、うん。わかった。」

ハーツがナンパ野郎と思われていた件について

ーーーーーーーーーーーー

言葉の選び方や声色、表情やらで

アース国の人からは、そう思われがち。

いわゆる「お国柄の違い」ってやつです。


たった今、例えを思いつきましたが

シャイボーイの多い日本と、

女性を褒めたり口説いたりするのは礼儀でしょ?

って感じの国との違いのつもりで書いてます。

(どの国か忘れたし曖昧な記憶すぎ)


自国では、とっても硬派な男子扱いで

5人兄弟の中、断トツで女子に誠実なやつです。

私は硬派な男子好きです!

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