エピソード33
「さて!ここまで休みなく来たけど
国境を越えたら嫌ってほど休んでもらうよ?」
「申し訳ございません!
私の問題に巻き込んでしまったせいで
こんな慌ただしい帰国になってしまって···」
「こんな状況でなんだけど···
クロエ嬢と一緒にいられて私は嬉しかったよ?」
クロエの体温がグンと上がる。
「わ、私も···ハーツ様が一緒にいてくださって
とても心強い思いでした···。」
「ふふふっ、良かった♪
でも、ずっと気が張りっぱなしだろうから
早く休ませてあげたいんだけど
ちょっとルイズにお使いに頼んでいて···
あっ!来た来た!」
「ハーツ様、早馬を出しました。
警備の方も確認しましたが
今のところ何の緊張もないようです。」
「そうか、じゃあ問題ないね!
馬車を出して?今すぐ越えよう。」
「???」
「クロエ嬢、すぐ馬車に戻って出発するよ?」
「は、はい!」
馬車に戻りながら聞いた話によると
クロエが国境で捕まる可能性を考えて
安全を確認していたということだった。
「そこまでするでしょうか?」
「うん、ロベルトがいるもの。」
「でもロベルト様はナオコ様と結婚されると···」
「···あのまま上手くいけばね?
《迷いの愛し子》との関係が変われば···
ロベルトがどういう行動にでるか
クロエ嬢の方がわかっているかもね?」
自然と想像してしまいゾクッとした···
ロベルトなら必ず迎えに来ると
断言できてしまうくらいに
クロエ自身、愛されていたと思っているのだ。
『その時···私はどうするの?どうしたいの?』
心も身体も嫌悪感に震えていた。
(意思)と(言動)に異常が起こっているから
仕方ないと許すことができるのか···
婚約者に戻り結婚する事ができるのか···
クロエ自身も想像したくないほどに
その時の自分の気持ちがわからなかった···
「さて、アース国側の国境門を通るよ?
一応私は皇族だから、馬車の中まで
確認される事はないと思うけど···
少しこれを被って横になっていて?
誰かに話しかけられても寝てるふりをして···」
「はい、はしたないですが失礼します!」
「もし本当に眠ってしまっても
私がちゃんと運ぶから安心して?」
心の中で全然安心できないと思ったが
緊張した心と身体を暖かい毛布で包めば
身体から力は抜け、瞼も重くなり
遠くでオヤスミと聞こえた気がしたけど
クロエは返事すらできなかった···
ーーパチッ!
『···やってしまった·········』
目が覚めたクロエは、ふかふかのベッドにいた。
カーテンは閉められているが
隙間から差し込む陽の光はなく
すでに日が暮れていることだけはわかった。
「寝てしまった···しかもぐっすり···」
ーーコンコンッ!!
「はっ!はいっ!」
「クロエ様、失礼いたします。」
心臓が飛び出るほど驚いたが
返ってきたのがマーサの声で心底ほっとした。
「マーサ···私、馬車で寝たのよね?」
「はい。」
「運んだのは···ハーツ様?」
「はい、その通りで。」
『いやぁーーーっ!!!』
「今は何時かしら···?」
「7時を過ぎたばかりです。」
『公爵邸を出発してから、夜中馬車を走らせた。
国境に着き眠ってしまったのは
しっかり夜が明けきった朝だったはず···』
「私···半日も寝てたの···??」
こんな状況でぐっすり寝てしまえる
自分の図太さが情けなくて、目は少し潤んだ。
ーーコンコンッ!!
「ひゃっ!!!」
マーサはここにいる。
ならば···ノックの主はマーサではない···
「クロエ嬢?おはよう!
大丈夫、ドアを開ける必要はないからね?」
「はっ!はひっ!!」
「そのまま起きれそうなら、食事を取ろう?
レディは支度が大変だろうし
本当にゆっく〜りでいいからね?」
「あっ!ありがとうございます!
すみませんお時間いただきますっ!!」
ビックリし過ぎて胃がひっくり返りそうだった。
そして、マーサに灯された明かりで
照らし出された豪華過ぎる部屋を見て
またビックリする。
「こ、こ、ここって
ここって王族が使う部屋っ!?!?」
「はい。ハーツ皇子殿下より
この部屋の全てを好きに使っても良いと
仰せつかっております。」
クロエも元公爵令嬢
宿泊施設に泊まったことぐらいある。
それも、上等な部屋にばかり。
そのクロエが驚いてしまうほどの部屋だった。
『アース国の宿泊施設と···次元が違う···
まるで王城の一室のような内装』
「クロエ様、入浴準備は整っていますが?」
『ハーツ様をお待たせしてしまうけど···
無理!嫌な汗も寝汗もいっぱいかいたものっ!』
「···大急ぎで入るわっ!」
乙女にお風呂は必要不可欠。
クロエはマーサの手伝いにより
最低限の身支度を大急ぎで整え、ハーツの元へ向かった。
なんやかんやと書きましたが
しっかり休みました回でした!
大好きな作品が鬱展開で
話の続きが考えられない状態です···
あ、ちいかわの事です!
※タイトルの話数を変更しました!




