エピソード11
クロエはこの騒動を、つい先ほどまでは
自身が招いた失態の結果か、自身を貶めるため
張り巡らされた策略だと思っていた。
しかし、留学生が除外されたので再考してみる。
『私が失態を犯したのであれば
ハーツ様には及ばずとも、あの方たちも情報網をお持ちのはず。
それに情報が入っていなかったとしても
会場に来れば、自ずと噂を耳にすることになる。
他国とはいえ、貴族社会に身を置く者として
王太子婚約者の失態に、眉をひそめたでしょう。
私を貶めるための策略だったとしても
アイルや公爵家が賛同するとは考えられない。
この状況が続けば、当然婚約を破棄される。
女性にも爵位継承が認められるこの国では
そうなれば、私が公爵家を継ぐことになる。
アイルを含む公爵家の人間が揃いも揃って
次期公爵を貶める手助けをするはずがないわ···
爵位継承権を剥奪されるほどの処罰があれば
公爵家も無事ではいられないし···
それに···アイルが誰かに従って
私を貶めるなんて絶対にありえないっ!!』
失態と策略の可能性が限りなく低くなると
もうクロエには、それしか答えがなかった。
『(言動)か(記憶)に異常が起きている···?』
クロエ自身、信じ難いことではあったが
そうでなければ、アイルやロベルトの豹変に説明がつかないのだ。
『もし本当に異常が起きていたとして···
自然発生した病などによる異常なら
全員が少しのズレもなく発症して
留学生だけが発症しないなんて不自然過ぎる。
人為的な方法があったとしても
住む場所や環境が大きく異なるし
縦や横の繋がりも一様ではないのだから
学園に通う者と、公爵家の者だけ選別して
一夜で同様の異常を起こさせるなんて
実現は難しいはずだわ···』
暗礁に乗り上げかけたが
ふと頭に過ぎった考えに思考が続く。
『選別しなければ···?
公爵家や王都学園で絞らず
貴族、平民の垣根すら取り外して
アース国···違う、アース人に限定すれば?』
アース国は非常に閉鎖的なため
16~18歳の3年間のみ、留学生を受け入れている。
そして、婚姻または貴族家初代当主の
血脈を持つ者との養子縁組以外は、移民が禁じられている。
つまり、留学生を除けば
この国にはアース人しかいないのだ。
やっと行き着いた答えをハーツへ投げかける。
「アース人の(言動)か(記憶)に異常が起きているのですか?」
ハーツは困ったような仕草をしているが
否定の言葉はなく、正解者を労うような暖かい視線が届いた。
『あぁ···王家の醜聞どころじゃない···
今この国は、存続の危機を迎えているんだわ···』
今、その矛先はクロエただ1人に向かっているが
他国の、それも重鎮に連なる者へ向かえば
迫害と受け止められ、国際問題に発展しかねない。
そして、他国にアース人が(言動)や(記憶)に
異常をきたしていると漏れれば
その機会が見逃されるはずはなく
この国の全ては奪い尽くされるだろう···
『ああして一所にいらっしゃるのは
すでに異変を感じているということよね···
あの方たちが自国に報告すれば···
あぁ···もうっ!私一人に何ができるって言うのよっ!』
自分には、もうどうすることもできない状況に
クロエは自暴自棄にならざるを得なかった。
30話くらいでサクッと終わりたいなーと
なんの根拠もなく思ってます。
※サイドストーリーみたいなのを入れると
もうちょっといきますが···
初めての小説で、所謂『風呂敷を畳む』
ってことの難しさを感じてますが
読んでくださった方の貴重なお時間を
無駄なものにしないよう、頑張りまーす!
【追記】
誤字をご報告くださって
ありがとうございました┏○ペコッ
顔真っ赤で恥ずかしさ爆発してます!
とってもとっても助かりました!




