再会
振動がほとんどないせいか、速度自体が速いからか、エッグキャリッジは、すぐにレッドキャッスルに到着した。
音もなく卵の殻、じゃないドアだな、が開くと前と同じ案内の黒服が迎えてくれた。
「ようこそレッドキャッスルへ。ヴァルヴァンク様。主人が待ちわびております。」
降りた場所は、前とは違う入り口だった。
ドアは開けはなたれていて、小さなホールのような円形の空間だ。
奥に向かって廊下が伸びていて、黒服が先導してくれる。
どうやら今回は待たなくて良いみたいだ。
アサイー帝国のお宝は、相当価値があるらしい。
何が一番高いんだろうな。
輝石ってのは数もあったし、要は宝石だから、単純に金になるだろう。
でも、あれは小さかったし、そんなに高くないだろうな。
皆が珍しいって騒いでた、石のランドセルなら値段が高そうだ。
石や土のチートだったアサイー帝作みたいだし。
そんなことを考えながら船長について行ったら、例の複雑なレリーフが施されたドアの前に着いていた。
相変わらずデカいドアだな。
ギィィッ
待ちわびていたという話の通り、すぐに中に招かれた。
船長の背中について中に入ると、シャンデリアの明かりで目がチカチカした。
「お待ちしてましたよ。さあ、どうぞ。」
おっと。こっちはもっと眩しいな。
海賊都市レッドキャッスルの代表者、コーネルさんが満面の笑みで出迎えてくれた。
相変わらず心臓に悪い顔してんなあ。
綺麗すぎて俺は怖いんだよなあ。この顔。
「ふふふ。お菓子も用意してますよ。サイ。」
そう言って、コーネルさんは部屋の中のデカいテーブルを指した。
テーブルの上には、ケーキやらクッキーみたいな焼き菓子や、俺の知らない宝石みたいな色とりどりのお菓子まで、たくさん並べられている。
あれ、全部、俺用なのか?
さすがにそれはねえよな。
「さあ、まずはお茶にしませんか?」
「いいな。腹減ってたんだ。」
船長の返事で、まずはお茶を飲むことになった。
テーブルの側にはポットやカップが並んだワゴンが見える。
もしかして、すげえ本格的なお茶なのか?
うわあ、俺、マナーとかわかんねえけど。
「大丈夫だよ。サイ。ただ楽しめば良いんだ。ここはお茶もお菓子も美味しいよ。」
「そうよう。サイちゃん。海賊にマナーも何もないわよ。楽しんじゃいなさい。」
緊張でイスの前で固まる俺に、オルと副船長がフォローしてくれる。
そうだよな。海賊にマナーも何もないよな。
まあ、だからって、宴会みたいな食べ方はしないけどな。
よほど汚い食べ方でもしない限りは大丈夫だろう。
うん。なんだか安心したら、腹減ってきたなあ。
皆、普通に座ってるし、俺も座ろう。
コーネルさんと船長が上座に向かい合って座っている。
船長のとなりには副船長、ヤジスさんが座り、コーネルさんの隣には何故か俺、オル、おやっさん、イージスさんの順で座っている。
おかしくねえ?
俺下っ端なんだけど。




