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イボタ再来

 解散後、 白虎とモミジが道中で会話をしていた。


「初めまして! 白樺 猫都と言います! 今度お手合わせ願います!」


 白虎がモミジに空手の申し込みを行っていた。 なぜ、 知っているのかと言うと偶然、 空手の素振りを目撃したからだ。


「おう! よろしく! 今度付き合ってやるよ!」


「ありがとうございます!」


 2人が会話している最中、 目の前にイボタが現れた。


「お久しぶり……モミジ……」


「あら、 お久しぶりですね……イボタ!」


 直後、 モミジは鉈を【転移】した。 それに応じて、 イボタもナイフを構える。


「また貴方を独房に入れないといけないですね……」


 なんと、 イボタがモミジを監獄に収監したのだ。


「お前だけじゃ無理だ!」


 次の瞬間、 2人は同時にスタートを切る――猛者二人の激しい斬り合いが始まった。 その様子に、 白虎は固唾を飲んだ。


「相変わらずやるなぁ!」


「貴方こそ……腕が落ちていませんね……」


 イボタはバックステップで距離を取り、 転移魔法でナイフを3本取り寄せた。 次の瞬間、 ナイフを投げつけた。 残念な事に、 モミジはそれを全て弾き飛ばした。


「姉ちゃん、 がら空きだ……」


 モミジは腹部に重い蹴りを食らわせた。 すると、 奴は一瞬だけ体勢が崩れた――無論、 彼女がそれを見逃さなかった。


「おらよ!」


 稲妻の様な速さで、 横薙ぎに瞼を切り裂いた――だが、 これが奴の狙いだった。


「ありがとうございます……これで本領発揮ですね……」


 奴は自身の瞼を全て切り落とした。 その姿を見て白虎は両手を口元に近づけ息を飲んだ。


「噓でしょ……」


 奴には眼球が無く、 代わりに厚く透明な鼓膜が覆われていた。


「さて、 本気を出しましょうか……」


『鱗粉の刃』


 奴の周りに灰色のナイフが現れ、 モミジに襲い掛かる。 すぐさま、 得物を振るい弾き返すがその中に閃光弾を混ぜていた。


(しまった!)


 それを斬りつけた瞬間、 眩い光が彼女を襲う。 その刹那、 イボタが懐に入りナイフを何度も突き刺し、 殴り飛ばした。 彼女は受け身を取り、 体勢を立て直す。


「楽しくなってきたじゃねぇか……少し派手に踊ろうか!」


 モミジは額から血を流しながら楽しそうに笑みを浮かべた――だが、 目は全く笑っていない。 次の瞬間、 モミジは鉈を投げつけた。 見事、 奴の獲物を弾き落とす。


千斬甲(センザンコウ)


 彼女の爪が伸縮自在の非常に長く鋭利な刀と化し、 両手でクロス状に斬りかかる。 だが、 『鱗粉の刃』で防がれた。 その隙を埋める様に、 顔目掛けて斜め蹴りを食らわすも簡単にいなされてしまった。


(体勢をく……しまった! 嵌められた!)


 狡猾に仕組まれた罠だった――モミジの踵落としがイボタの頭部に直撃。 次の瞬間、 爪を引っ込め驚異的な速度で胸に蹴りを入れる。 奴が少し後退した瞬間、 その間を埋める様にサマーソルトを繰り出し、 顎に大ダメージを与える。


(くそ……マズイ)


 刹那、 モミジが華麗に着地して落雷の如き速さで眼前に迫った。


『正拳突き:迅雷』


 雷を帯びた正拳突きがイボタの肋骨を砕いた。 奴は口から大量の血液を口から噴き出し、 モミジの顔目掛けて噴き出した。 残念だが、 その手は無意味だった。バックステップで回避し、 得物を拾った。


「イボタ! 幕引きだ! 派手に逝ってくれ!」


 勝ちを確信したのかモミジのテンポがハネ上がる――イボタも魂の炎を燃やした。


「貴方を倒して私は友の元へ帰る!」


 両者の剣戟が先ほどもより凄まじく、 まるで丸鋸同士が激しくぶつかってる様だ。 互いの肉を削り、 辺りは(くれない)に染むる。


「さぁ逝きないさい!!!」


『鱗粉の剣』


 イボタの得物に大量の鱗粉が纏い剣と化す。 一瞬、 体勢を低くし逆袈裟に胴を斬り裂いた。 奴は勝利を確信したのか、 少し間を空けてしまった。 モミジがそれを見逃すはずが無い。


『空梁月落』


 銀色の稲妻を纏った鉈が鎖骨と臓腑を断ち切った。 イボタは膝から崩れ落ち、 地面に転がる。


「どうやらここまでの様です……姫様……同期の皆……迷惑かけてごめん……」


 イボタは仲間への謝罪の言葉を残し、 この世を去った。


「イボタ……敵ながら天晴だ……」


 口から血を吐き膝をつく。 直後、 騒ぎを聞きつけた青龍と玄武と大蛇が駆け付けた。


「お前ら大丈夫か?」


 青龍と玄武が白虎に近寄った。


「早くモミジさんを!」


「パイセン病院行きますよ」


 大蛇がモミジを背負う。


「わりぃな……」


「案内するからついてきて!」


 青龍が2人を急いで病院に案内する。


「マジか……あいつを殺ったのか?」


 玄武はイボタの死体を見つめ、 深く合掌する。


「亀吉……この人どうする?」


「埋めてあげよう……」


 直後、 一人の女が泣きながら遺体に近寄った。


「イボタ様ぁ嗚呼ああああ!!!」


 恐らくメルビレイの人間なのだろう――悲しみのあまり飛び出してきたのだろう。


「彼女を……祖国で弔ってあげてください」


 玄武が彼女にそう告げると、 転移魔法で仏を連れて帰って行った。


 ここから先は、 遭遇する個体の危険度(アベレージ)が跳ね上がる。


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