孤児院組VS異世界人
場面が戻り、 玄武と蒼次郎が激しい斬り合いを行う。
「なかなかやるな! きさま!」
「オマエモナー」
「久しぶりの強者だ! 存分に楽しませてもらおう! 『ファイヤーソード』!」
蒼次郎の剣が炎を帯びる。 刹那、 奴の斬撃が襲い掛かるが、 玄武の右腕が亀の甲の様に硬化したため、 攻撃を受け止めた。
「マジか!」
「『王水』!」
玄武の液体が剣に纏わりつくと一瞬で溶けた。 それを見た瞬間、 バックステップで下がる。
「くそ!」
「ゆっくりお休み」
玄武がゆっくり近寄り、 即座に振り上げ叩き斬ろうとした。 だが、 蒼次郎が剣を2本取り出し、 ダーツの様に投げつける。
(まずいな……コレ……)
玄武の右目と左腕に突き刺さる。 その剣を引き抜き、 グチュグチュと音を立てながら傷を治す。
「どうした? 車掌さん?」
次の瞬間、 玄武がバルディッシュの斧頭でゴルフの様にフルスイング。 胸部に命中し、 上空へ飛ばす。
「フェーズワン!」
玄武の足元に黒色の魔法陣が出現、 一瞬で変身した。 その姿は、 ワニガメの姿ではなく、 モササウルスの姿をしている。 皮膚は黒色で全長18m。 玄武は宙を泳ぎ、 蒼次郎を襲った。
「聞いてねぇぞ! こんなの!」
蒼次郎は剣を『転移魔法』で何本も取り寄せ、 何度も投げつけた。 だが、 玄武は軽やかにかわし、 蒼次郎に近づく。
「これならどうだ!」
『剣雨』
蒼次郎の正面に橙色の魔法陣が出現。 そこから大量の剣が雨の如く降り注ぐ。だが、 玄武は余裕でかわし、 蒼次郎の目の前に迫った。
「やだ! 死にたくない! 死にたくない!」
蒼次郎は絶望の表情を浮かべる。 玄武は蒼次郎の頭部に噛みつき左右に振り回し、 ブチッと音を立て喰いちぎる。 すぐに、 上半身に何度も噛みつき、 強く左右に振り回す。 その時、 上半身と下半身が分離し、 テールアタックで下半身を遠くへ飛ばした――見事、 ローバロ王国の城壁に直撃する。
「2人は大丈夫かな~」
玄武は仕留めた獲物の血液を滴らせながら2人を心配した。
*
場面が変わり白虎と知奈が戦っていた。 知奈は光の矢で応戦するも、 全ていなされた。
「攻撃できねぇのかぁ? どうなんだおるぁ!」
知奈が煽り散らかすが白虎は何食わぬ表情を浮かべた。
「ではお構いなく!」
白虎は一瞬で間合いを詰め、 右ストレートで知奈の顎を砕いた。 次の瞬間、 バックステップで距離を取り、 「フェーズワン」と呟く。 すると、 足元に白色の魔法陣が出現。
「デ……生物型核兵器!」
知奈が口から唾液をぽたぽたと垂らしながら怯えた。 すぐさま、 魔法陣から赤い液体が噴出。 白虎は姿を変えた。 その姿は白みの強いラーテル――全長約14m。
「逃げなきゃ……」
知奈は背を向け逃げるが――白虎は尻尾を金属で覆い、 振り上げる様に斬り裂く。 綺麗に知奈を縦に真っ二つにした。
「あ~疲れた」
白虎は知奈の左半分をボリボリと喰らう。 まるで、 猫が鼠を食べる様に――
*
さて、 青龍はどうなっているだろう――
「なぁ疲れたから休憩しようぜ」
青龍は息を荒げていた。
「断る!」
「だろうな……」
青龍がそう呟くと、 昇は青龍を斬りかかるが、 素早い動きで躱される。
「なぁ怪物化しろよ……」
昇が挑発するが、 青龍には効いていない様だ。
「何ですかそれ?」
青龍は茶化す様にしらばっくれる。
「はぁ? 知らねぇのか!?」
「もしかして、 これの事? フェーズワン」
直後、 青龍は怪物化――今回はアロサウルスの様だ。
「これだこれ! 俺はドラゴンと戦いたかったんだよ!!」
奴は高く跳び、 真っ二つに斬り裂こうとしたが――
『ゼロバスター』
青龍は口から緑色の光線を放ち、 昇を細胞レベルで分解――このブレスは分解した物の栄養を自分の物にできる。
「鍋冷めるから早めに終わらせたわ」
青龍は姿を戻し【転移】した。 それと同時に、他の2人も姿を戻し【転移】した。
「「「ただいま~」」」
三人が戻った場所は食堂だった。
「おかえり~」
麒麟が三人を出迎えた。
「ただいま~って鍋は?」
玄武がそう言いながら鍋を見ると、 具材が一切入っていない汁だけだった。
「遅かったか……」
青龍がガクッと足から崩れ落ちる。
「うどんがあるよ」
エメラルドがうどんが入った笊を持って来た。 それを見た2人はハイタッチをして喜んだ。
「米食いてぇ」
エメラルドがボソッと呟いた。
彼らはまだ知らない――先程の戦いが後に災いをもたらす事を――
*
その頃、 ローバロ王朝のとある牢獄で何かが起ころうとした。
「おいおい! 早く出してくれよ!」
独房の中で1人の女が前手吊りで拘束されていた。 その女の特徴は、 明るめの紺色の髪にストレートロングの姫カット、 透き通った紺色の目を持ち、 橙色の囚人服を着ている。彼女の名は「モミジ」といい関雷雨の中で随一の戦闘狂だ。
「ちょっと待って!」
1人の看守が独房のカギを開けた。
「それどころじゃないみたいだな……」
囚人服の女は看守の耳元で囁く。
「そのおかげで思った以上にうまくいったわ」
看守は口角を上げる。
「貴様! 何者だ!」
別の看守が問いかけるが、 炎の鎖で一瞬で細切れにした。
「ごめんなさいね……私はミレット……関雷雨よ……」
看守が女の拘束を解くと本来の姿を現した。 その姿は、 赤毛のツインテールに水色の瞳を持ち、 関雷雨の外套を纏っている。 ミレットは女に関雷雨の外套を渡す。
「あんがとよ……これでシャバの空気が吸えるぜ」
女はかっこよく外套を纏った。 彼女の脱獄により、 ローバロは悲惨な末路を迎えてしまう。




