ケレヴ襲来
―16時40分 まだ明るいが寒くなってきた。―
関雷雨の第2支部にジョーカーが赤い袋を机に置いていた。 袋には素手や歯で割らないでくださいと書かれていた。 その近くにフェザーが座っていた。
「紅羽ちゃん胡桃食べる?」
ジョーカーはフェザーにそう聞いて袋から胡桃を取り出す。
「あっせっかくなのでいただきます」
「素手や歯で割らないでください……」
ジョーカーは手刀で胡桃を割る。
「身潰れていませんよね?」
フェザーは胡桃の身を探し見つけると口に運ぶ。
「割ってもいいですか? 」
フェザーがそう聞くとジョーカーは袋から胡桃を取り出しフェザーに渡す。 すると、 フェザーは左手で軽く握り潰し、 身だけを綺麗に取り出し口に運ぶ。
「掃除、 手伝ってくださいよ」
「いいよ~」
ジョーカーとフェザーが奥から小箒と塵取りを持って来てすぐに掃除した。 ところで、 他のメンバーは今、 何をしているのだろうか。
「何してんのよ! あなた達! 早く離しなさい!」
大蛇をココアとガラナが必死に取り押さえている。 酒井は大蛇が採取した大量のコガネグモが入った虫籠を持っている。
「酒井君やっちゃいなさい!!」
レモンが酒井にそう言うと、 酒井は戸惑う。
「え!? ホントに逃がしていいの?」
「お前これ食う事になるんだぞ!!」
レモンがそう言うと酒井は「じゃあ逃がす」と言い怯えながら蜘蛛を全部逃がした。
「よくやった風太郎!!」
ルフナが酒井を褒めると酒井は調子に乗る。
「ふぅ~やったぜ!」
「おい酒井 風太郎、 お前後で覚えてろ」
大蛇は怒りを露にする。 すると、 酒井は啞然とした表情を浮かべる。
「え……噓でしょ?」
酒井が小声でそう言う。
「嘘じゃないわよ! てか、 さっきから額がピリピリするのよ」
大蛇がそう言いながら額を触れるとココアが偉そうな態度をとる。
「アンタの額にキスしたペコ! 」
「だから何よ」
「唇にカプサイシンを塗ってたペコ!」
ココアが大笑いした直後、 急に俯き唇を手で覆った。
「あっ、 ヤベっ。 唇ピリピリしてきた」
「ざまあ味噌漬け」
大蛇が嘲笑う。 その頃、 青龍は今日の仕事が終わったため豪邸のソファーに寝転がる。
「お兄ちゃん抱っこして~」
エメラルドがはしゃぎながら青龍に近づく。
「えーエメちゃんいくつですか?」
「う~10歳!」
「嘘つけ、 お前40才だろ」
「なわけねぇだろ!!! オイジジイ!!! ぶち殺すぞゴラァ!!!」
エメラルドは中指を立てる。
「ごめんごめん! 10歳でしたね」
青龍は彼女を抱きかかえる。 エメラルドは頬を膨らましポコポコと青龍の胸を叩く。
「わかったわかった!」
青龍はエメラルドの頭を優しく撫でる。
「次年齢いじりしたらぶっ殺すからな」
「えぇ……」
その頃、 ケレヴが50名の冒険者を引き連れ村に現れた。
「あーあ……あの無能の言う事聞かずにパルチザン側についていればよかった……」
ケレヴは頭を抱えながら自分の行いを悔いている。
(待てよ……ここの国の人達を味方にしてパルチザンと手を組んだらワンチャン勝てるくね?)
ケレヴは自国を裏切ろうとしたが予期せぬことが起こる。
「んじゃ俺たちは暴れさせて貰いますぜ!」
1人の冒険者が暴れ始める。 それを皮切りに他の冒険者達も暴れ始めた。
「ちょっと待て!!止めろ!!」
ケレヴは止めるも冒険者達は建築物や商品の破壊行為を行った。 その近辺に居た兵士が冒険者達を止めようとするが悉く斬殺されてしまう。
「まずい……戦争になってしまう……」
ケレヴは震えながらその場に蹲る。 自分の計画が水の泡となったため憤りを感じている。
「こんな村すぐに……」
鎧を着た男がそう言った瞬間、 何者かに斬られた。
「なっ……何だ!」
別の冒険者が取り乱した瞬間、 忍者刀を持ったサフィールがどこからともなく現れ首を刎ねる。
「てめーら全員酒のつまみにしてやらぁ!」
サフィールが冒険者9名を斬殺する。
「きさま!」
女の冒険者がそう叫ぶと後ろから、 酒井が【転移】して来て携帯している剣で心臓を貫く。
「先輩遅―い」
「ちょっと遅れたぐらいいいじゃん!」
酒井が駄々を捏ねた。 気を取られている隙に5人の冒険者が酒井に斬りかかる。 だが、 5人の首を斬り落とし返り討ちにした。
「えっ待って、 研いでから凄く斬れる」
酒井が携帯している剣は、 持ち手が黒色のプッシュダガーの様な形状で刀身は銀色のボコボコとした諸刃の剣だ。
「おーい! 何してるの?」
水の入った瓢箪を持ったスダチが二人に話しかける。 それと同時に後ろからトマホークを携帯したフルプレートの冒険者10人がスダチに襲い掛かるがスダチは打刀2本を手元に【転移】した。 それと同時に、 目に見えぬスピードで抜刀、 冒険者10人の首を刎ねる。
『白霧』
スダチが深呼吸をする。 すると、 辺り一帯が白い霧に覆われほとんど見えない状態となる。 しかし、 使用者には敵の位置がわかるため6人の首を刎ねた。
「先輩! 怪物化してください!」
サフィールがそう呼びかける。
「いいよ~フェーズワン」
スダチの足元に黒色の魔法陣が現れ赤い液体が噴出、 彼女の姿を変えた。 その姿は前回と同じ姿ではなく異なる姿をしていた。
残り20名




