爬虫類大集合
青龍達の任務終了後、 麒麟は新しい作戦を考えていた。
「よし……智和の助けに俺も」
麒麟が動こうとしたその時――
「竜馬! 何人か避難させろ!」
朱雀が叫んだ瞬間、 少し大きめの火球が降って来た。
「『二人は反逆者』!」
朱雀を中心に円形の薄黒い壁が出てきて火球を跳ね返した。 麒麟は回避したが、何人かの兵士に直撃、 表面の肉がドロドロに溶けた者もいれば、 あまりの激痛にショック死した者もいる。
麒麟は肩甲骨からコウモリの様な翼を生やし、 智和の元へと向かった。 麒麟が空から戦場見渡してると、 正勝は前線で敵兵を斬り殺して牽制しているが、 弓兵は負傷者が多いため朱雀が壁内に戻した。
「動ける者は負傷者を運んでここから下りて~」
即座に健康な弓兵に負傷した弓兵を運ばせ、 全員撤退させた。 この時、 朱雀が魔法を使わなかったのはこの後、 何が起こるのかわからないため力を温存している。
「さぁ~て久しぶりの火遊びだ~」
朱雀は楽しそうな表情を浮かべながら下を見た。 その頃、 麒麟は上空から智和を眺めていた。 智和はとても疲弊している。
「おーい大丈夫か?」
「大丈夫じゃねぇ! 早く助けろ!」
智和が過呼吸しながら麒麟に助けを求める。 麒麟は急降下し智和を魔法で治療した。
「しょうがねぇなぁ」
麒麟は空を飛び「フェーズ トゥー」と呟く。 黄緑色の巨大な時計の様な魔法陣が出現。 そして、 魔法陣にガシャン!という音とともに亀裂が入りそこから赤い液体が噴出、 液体を浴びて変身した。 その姿はオヒキコウモリの翼と枝分かれした金色の角が生えているコモドドラゴンの様だった。 全長約20m。
麒麟が着陸すると下に居た10人の兵士は押し潰された。
「動けるか智和?」
「槍とか剣が刺さってチクチクして動きにくい」
智和がそう返答すると10人の兵士が智和を槍で突き刺す。
「針治療ならぬ槍治療じゃん! よかったな」
「いいわけねーだろ! てかこんな時にしょうもないネタ言うな!!!」
智和がツッコミを入れると麒麟は魔法で智和に突き刺さっている槍や剣を除去した。 その直後、 麒麟も剣や槍で刺される。
「おー軽い軽い」
智和はゆっくり前に進みながら敵兵をプチプチと潰していく。
「少し時間稼ぐから手伝ってくれ」
「任せろ!」
智和は前方にいる敵を尾による薙ぎ払いで殺していくがスタミナが底を尽きた。
「おい竜馬! キリがねえぞ!」
『流星群』
大量の小型隕石が戦場に降り注ぐ。 それにより、 2000人の兵士が蟻に様に押しつぶされた。
「隕石ってすげぇーな」
麒麟が見惚れている間、 前線から武器を持っていない兵士がこちらに向かってきた。 その兵士達は、 何やら怯えている様だった。 まるで、 怪物を見た子供の様に――奴らは「逃げろ!」、 「助けて!」、 「ママァ!」と叫びながら逃げている。
「どゆこと?」
「あーたぶん親父の能力」
智和はキョトンとした表情を浮かべた。
「あ~そうなんだ……とりあえず追いかけますか」
2人は半信半疑で逃げている兵士を追った。
「止まれ竜馬」
「どうした急に?」
「何か来る!」
智和が警戒して麒麟を止める、 すると、 2人の頭上に巨大な火球が雨の様に降り注ぎ2人に命中。
「やったぞ!」
1人の敵兵がと多くの敵兵が喜び始めたが2人は大火傷を負っただけで済んだ。 2人の火傷は徐々に治って行った。
(めんどくせー)
「そんな事より向こうの奴らの方が厄介そうだな」
智和は奥のほうに指を指した。 そこには、 赤いローブマントを纏い、 杖を持った人間が10人。
「竜馬!! ” 神の一手”で何とかできないのか?」
「これ以上使ったら大きな反動が返ってくる!」
「でも向こうは何とかなるな……」
麒麟は舌をチョロチョロと出した。
「近くに蛇之と亀吉がいるな……」
麒麟は2人の匂いを察知したがどこか浮かない。
(蛇之の方は疲弊している感じか……だったら!!)
麒麟がキョロキョロと見渡した。 その時、 青龍とベリンがこちらに向かって歩いている。 魔法使い達が麒麟たちに強力な魔法を放つ準備をしていた。 だが、 何者かが奴らを一瞬で氷漬けにした。
「間に合った!」
なんと、 濃い冷気の中から玄武とアーサー、 2人の少女が姿を現した。
1人目の少女は銀髪ストレートロングのセンター分けで黒いワンピースを着ている。 2人目は白髪の三つ編みで真珠がついているティアラをつけていて白いドレスを着服していて手には青色の杖を持っている。
「アーサー!」
ベリンが青龍を運びながらアーサーの元に向かった。
「ベリン! 久しぶりだな!」
2人は出会い頭、 ハイタッチをした。
「無事だったか! 亀吉」
青龍と玄武は爽やかな笑顔でグータッチをした。
「龍さん! どうしますか!」
「とっとと終わらせて帰るぞ!!」
『神の一手』
麒麟はベリン、 アーサー、 少女2名を城壁の方に【転移】した。 それと同時に、 体がふらつき吐血した。
「『神の一手』」
麒麟は2人を強制的に「フェーズ トゥー」怪物化させた。 変身した玄武は甲羅と皮膚が黒色のワニガメに枝分かれした金色の角が生えていた。 全長約16m。 直後、 麒麟は倦怠感を抱えながら鼻から血を流す。
「竜馬! これ以上神の一手を使うな!!」
流石に体調の悪化が激しかったため智和が止めに入った。
「そうだな……俺達は撤退する……蛇之、 亀吉、 後は頼む!!」
麒麟と智和は怪物化を解除し、 【転移】で城内へと戻った。
「とはいえ、 あいつら逃げてるしな~」
青龍は逃亡している兵士たちを見て、 自分たちも帰ろうとしたが玄武がとんでもない事を言い始めた。
「おーい! こっちに王様がいるぞ~」
その瞬間、 敵兵たちがこちらに向かって来た。
「おいこら!! 何してんだお前ぇ!!」
「いや~関雷雨秘伝の陽動術……的な?」
「”的な?”じゃねぇよ!! とっと終わらせるぞ!」
青龍が空を飛び、 玄武は口から水色の吐息が漏れる。
『氷河の息』
直後、 玄武は口から水色の光線を吐き、 奴らを一瞬で氷漬けにした。 それと同時に、 青龍の『爆裂する劇毒』が炸裂する。 今回は、 毒の成分が違うのか毒液ではなく毒々しい色の吐息を漏らしながら1分間口の中に超酸性の猛毒を溜めこみ、 特大のブレスを解き放った。 次の瞬間、 周囲を吹き飛ばすほどの大爆発を発生させた。 その後、 敵兵は跡形も無く消え、 黒く粘々した粘液と少しだけ錆びついた鎧が辺り一面に散らばっていた――攻め入ったトラウト王国の軍隊はあっけなく殲滅された。
「お疲れ~」
玄武が眠そうに大きな欠伸をした。
「お疲れ~」
「風呂入ってとっとと寝ようぜ!」
「ちょうど、 もう一回入ろうかと思ってたところだ! いいぜ!」
2人は怪物化を解除して【転移】で城内へと戻った。 ちょうど目の前に、 切り傷が完治したエメラルドがいた。
「あら! お帰り!」
「ただいま! エメちゃん!」
青龍はエメラルドに抱き着いた。
「蛇之、 早く行くぞ」
玄武はやれやれと呆れながら安堵した。
その頃、 村の中にベリンと接触した冒険者4人組が入って来ていた。
「たくあのバカ、 油断しやがって……」
男の冒険者が嬉しそうに歩いていると。
「ふーんなんだってー」
4人の目の前にアルファが立ちふさがる。
「絶対零度!!」
女の冒険者が警戒すると同時にアルファはため息をつく。 すると、 辺り一帯が一瞬で凍てつき冒険者4人を凍結させた。
「あー水飲みて―」
アルファが不貞腐れた態度をとると同時に、 パストが派手に着陸。 凍った冒険者を一瞬で粉砕した。
「アルちゃん! 終わらせてくるね!」
「いってら~」
パストは肩甲骨からグンカンドリの翼を出した。 その羽は、 全て剃刀の様に鋭く、 まるで日本刀のようだ。
この戦争が原因で世界情勢は動き始めた――彼らにとって良くも悪くも。




