異世界転移
―12月31日 午後8時30分 晴れ 雲一つない晴天だが、 肌寒い―
青龍達孤児は異世界に到着。 今は夜なのでものすごく寒いが朱雀が隠し持っていたマッチを使って暖をとろうとした。 しかし、 乾燥した木が無かったため暖を取れなかった。 青龍の右指が乾いた太い枝へと変わりもぎ取った。
「お兄ちゃんどうやったの?」
エメラルドがそう聞くと「なんかできた」と率直に答えた。 いつの間にか指が元の状態に。
「ちょっと待ってね~」
白虎は魔法陣を出現、 薄い金属の板を召喚。 青龍は白虎が出した鉄板の上に木を置く。その木の枝に玄武は左指全てを灯油に変わり枝にかける。 その上からマッチに火をつけて落とすと勢いよく燃え始めた。6人は何とか暖を取れた。 左指はグチュグチュと音を立てながら再生した。
到着場所は暗くて見えないが透き通った平原、 数km先にエルフと呼ばれる亜人種の村がある。 到着してからすぐ青龍達はこれからどうするか話し合った。
「よーしお前らこれからどうする? 」
麒麟が全員にそう問う。
「家が欲しい……」
青龍は寒そうにガタガタと体を震えさせた。白虎とエメラルドは青龍の意見に賛同する。
「まぁ寒いしね~」
玄武がのほほんとしているが青龍はエメラルドに抱き着いて体を温めているが、 それでも死にそうな表情をしていた。
「でもどうやって!?」
朱雀が2人にそう聞く。
「良し! 俺が作ってやろう!」
麒麟はどこからか小刀を1本だけ取り寄せ人差し指を切りつけた。 すると、 切り口から1滴だけ血液が滴り、 巨大な魔法陣が出現した。 そこから明治時代の様な豪邸が姿を現す。それを見た5人は啞然とした。
「何なんだこれは!?」
青龍は麒麟に指摘するとクスっと笑った。
「俺の血液と豪邸を交換したんだっ!」
決めポーズをすると女の子は青ざめドン引きした。
「アホ言うないくら何でも血液一滴と釣り合わねぇだろ」
青龍はガンギマリでツッコミを入れた。
「まっとりあえず中に入ろうぜ!」
麒麟が先陣を切って中に入る様だ。
「はぁ~心配だな~寒いし入りましょ……」
青龍は白虎の頭をポンポンと叩いて中に入って行った。 その行為が、 白虎の逆鱗に触れた。
「雀〜後で青龍しばいていいか?」
「いいよ~」
「やったぁあ!」
「猫都~お手柔らかにね~」
玄武は白虎にそう言った。
「はーい」
そう言いながら3人とも豪邸の中に入って行った。
「wait a minute!」
エメラルドは3人の後を追った。
「これ豪邸じゃなくて議会だろ」
エメラルドはそう考えながら豪邸を見渡す。 その豪邸の中はとても綺麗で床、 壁、 天井は黒樫でできている。 三階建てで廊下には所々にソファーやエレベーターがついている。 豪邸内の部屋は20室以上もある。 1階の部屋は、主に工房や大浴場、 武道場、 武器庫、食糧庫があり、 2階には食堂や大広間と会議室がある。 3階には日本のビジネスホテルの様な寝室だけだが、 この階が一番部屋数が多い。
その後、 彼らは自分たちで部屋を決めて一時期そこで生活するようになった。 暇な青龍は白虎の部屋にノックをした。
「おーい猫都~暇だから……」
直後、 殺意満々の白虎が姿を現す。 逃げようとしたが……
「蛇之! お前を今から叩きのめす!」
「ちょっと待ってください!」
次の刹那、 白虎は青龍の金○を蹴りあげた。 威力が強すぎたため青龍は泡を吹きながら気絶した。
「あ〜スッキリした!」
青龍を蹴り飛ばしたあとの白虎はめっちゃ笑顔だった。
「蛇之起きな!」
頭を軽く叩く白虎。
「ん? どした? 」
威力がおかしかったため、 蹴られた時の記憶処理が追いついて無いようだ。
「近くに村があるらしいから行ってみよう!」
「今から!? 嫌だよ!」
「じゃあどうするの?」
「寝ましょ」
「はいはいそうですか……」
「と言いたいところだけど喉が渇いたな~一緒について来てくれる?」
「はぁ……仕方ないわね」
2人は1階に降りて飲み水を探す。 すると、 偶然近くにいた麒麟が話しかけてきた。
「お前らどうしたの?」
「いや~喉が渇いてさぁ~ジュースが飲みたい」
青龍がそう伝えると麒麟が手招きをして案内した。 そこは大きな食糧庫だった。
「飲食物は基本ここに置いてあるから好きに食べ飲みしていいよ~」
彼がその場を去ると2人は食糧庫に置いてある冷蔵庫からジュースが入ったペットボトルを取って自分の部屋に戻った。 その頃麒麟は誰もいない場所で何か怪しい事をやっていた。
「村を作りたいな~せや! 亜人を住民にしよ」
麒麟が手を前に出す。 すると、 巨大な魔法陣が出現。 そこから筋肉質な男達と普通の美男美女達が出現した。 筋肉質な男たちはオーガと呼ばれる種族で洞窟に暮らし鉱石を売って生計を立てている。 美男美女の方はゴブリンと呼ばれる種族で平原に住んでいる種族で魚とキノコを売って生計をたてている。 そのうえ、 エルフとオーガと仲が良い。 この2種は元々皮膚が緑色だったが、 麒麟の魔方陣の影響で肌色と化した。
(あれ?こんなんだっけ?)
「なんだここは……それに……この肌の色……」
オーガのリーダーらしき人物が辺りを見渡し自分の腕を見る。
「よぉ! おっさん!」
麒麟が生意気な口でオーガのリーダーに声をかける。
「なんだ! 小僧! これは全部お前の仕業か!?」
「はいそうです! 竜馬……じゃなくて麒麟で~す」
彼がおちゃらけるとオーガのリーダーはムスッとした表情を浮かべた。
「麒麟……どこかで聞いたことがあるな……で俺たちになんの用だ?」
オーガのリーダーは麒麟にそう質問する。
「豊かで平和な村を作りたいので力を貸してください!」
「よしいいだろう……ってなるか!!!」
「え~ダメなの?」
「当たり前だろ!! さっき会ったばっかりだぞ!!」
「え~今なら家無料で住めるよ~」
「そうかならいいや……ってなるわけねーだろ!!!めっちゃ胡散臭いぞ」
「じゃあ作ってやるよ」
『創造』
たった一瞬で大量の赤煉瓦でできた洋風の家やそれらを囲む赤煉瓦色の城壁が出現した。 この家には電気や水道などのライフラインが通っている。
「何なんだこれはッ!!」
オーガのリーダーが啞然とした表情を浮かべた。
「お~腎臓一個でこれか」
どうやら自身の身体の一部を等価交換してこれらの建造物を生成している様だ。
「あーせっかく一週間だけ住んでみない?」
「……せっかくだしそうさせてもらうよ」
オーガ達は何処か遠慮している様に見えた。
「おい! ゴブリンのリーダーはいないか!?」
麒麟が大声で呼びかけると奥の方から白髪の年老いた老人が出て来た。
「儂じゃ!」
「おじいちゃん?」
「そうじゃ! 文句あるか?」
「ないよ」
「儂らは何をすればいいんじゃ?」
「あーいつも道理の生活を……」
「ここ何処かわからんのに無茶言うな!!」
「あの~明日考えてもいいですか?」
「それは世間は許してくれませんぞ」
その言葉を聞いて頭が真っ白になってしまった。
「後、 儂らはここに住むつもりだからよろしく頼むぞ」
「OK!じゃあ各自家決めてな~」
「おい! 職は?」
「明日決めるからよろしく!」
麒麟はそう言い残し足早に去って行った。 オーガとゴブリンが人間より性格がよかったため無事に終わった。 遠くからその様子を見ている者がいたが足早に去って行った。
―1月1日 午前8時00分 天気晴れ とても寒い! 糞サミィ!!!―
麒麟は急いで職種を決め説明書を配った。 幸いなことにオーガとゴブリンは物覚えがよく賢かったため何とかなった。 その頃エメラルドが豪邸から出て何処かに誘われる向かい行方不明となる。