平和?な会議室
「正式に組むのは明後日からな! ついでに支部ができるまでこの会議室使ってもいいか?」
「いいよ、 気に入ったの?」
「使い心地が良い」
やごーはこの会議室が気に入ったようだ。
「おーい! やごー、 スダチ先輩と交代して来たよ~」
リネンが会議室に入って来た。
「お! 桜ちゃんおかえりー」
コットンが椅子から勢いよく立ち上がる。
「白鯨どうだった?」
やごーがそう質問するとリネンは嫌そうな顔で激しく首を振る。
「まぁウチと相性悪かった……クラブ先輩がなんとか……」
リネンはガタガタと震えながら青ざめた。
「やごー組織名変えない?」
パストがそう問うとやごーはポカンとした。
「もう無理、 組織名全国に広まったから」
「ダッセー名前つけやがって!」
パストが顔をしかめる。
「ダッセー!」
「ダッセー!」
「ダッセー!」
アルファ、 リネン、 コットンの順に、 やごーを罵倒した。
「そんなこと言うなよ!」
「そういえば、 関雷雨のメンバーは戦力とか大丈夫なの?」
智和がやごーにそう聞いた。
「頭脳と戦力面では問題ないが……ほとんど頭おかしい奴しかいない。 そのうえ、 虫捕って来て食わせようとするやつもいるが……どっちかというとまとも枠なんだよね~」
「ちなみに頭おかしい奴とまともな奴どっちが多い?」
麒麟がおふざけで聞いてみた。
「頭のおかしい奴、 何なら最高幹部全員ヤバイし」
それを聞いた瞬間、 パストとアルファがクルっと振り向き無言で圧力をかける。
「まともな人は何人いるの?」
ルキナがやごーにそう聞いた。
「俺と酒井と大蛇」
とんでもなく少なかった。 しかも、その3名は男だった。 つまり、 関雷雨の女はまともではないという事になる。
「”おろちん”マシな方なのですか? 虫取ってきますけど」
アルファが深刻そうな顔をする。 因みに、 おろちんは大蛇の愛称である。
「お前よりマシ」
やごーが率直に答えるとアルファが表情を変え指の関節を鳴らす。
「亜人はいるの?」
青龍がやごーにそう聞く。
「兎人と羊人と馬人とかいるよ。 なんならそこのコットンは羊人でリネンは馬人だからな!」
「そうなの?」
朱雀がコットンとリネンにそう聞いた。
「そうだよ! 何か知らんけど馬人に転生してたんだよ!」
リネンが馬の様な耳と尻尾を生やした。 それを見た朱雀は目を光らせた。
「ねえ、 やごーこいつら面識ある?」
パストは袋を3つ手元に【転移】して、 中に入っている生首をやごーに見せつけた。
「誰だこいつら知らねー」
やごーがそう答えた直後、 彼女はその生首を使ってお手玉をし始めた。
「ねぇねぇ何で胸無いの?」
エメラルドがふざけた事を抜かすとアルファは水色の殺気を放った。
「Shut up Bricus!」
アルファは中指を立てながらブチ切れた。
「どうしてそうなった!」
やごーはツッコミを入れる。
「what? envy?」
エメラルドがアルファを挑発すると2人は立ち上がり互いに顔を近づけた。
「Shut up! I'll kill you!」
アルファがそう言った瞬間、 エメラルドがアルファをぶん殴った。
「Fuck you!」
エメラルドが中指を立てた直後、 アルファがエメラルドを殴り返した。 女同士の醜い喧嘩が始まった。
「今のところ俺らにとって危険な国はある?」
麒麟がやごーにそう質問した。
「結構あるけど、 大きめの国だとマリーナ法皇国かな?」
「マリーナ?」
麒麟は自分が知らない国家が出たため首を傾げた。
「マリーナ法皇国……この島から北西に位置する国だ。 あの国の連中は生物型核兵器を毛嫌いしている。 それで、 関雷雨とも犬猿の仲だ」
「まあ、 どの道マリーナとの衝突は避けられないな」
智和が深刻そうな表情を浮かべた。
「どうして?」
青龍が興味本位で智和にそう聞いた。
「かなり前、 俺がマリーナの聖騎士を殺した」
「何人殺した?」
やごーが割り込んで、 その事を詳しく聞くと智和は頭を抱えた。
「1人」
「なら大丈夫だ! 聖騎士1人ぐらい殺したぐらいであの国は動かない」
「いや俺が殺したのは聖盾だ」
智和のその発言を聞いたヤゴーは驚愕した。 聖盾――それは、 マリーナ法皇国の聖騎士の上位職であり、 真菌解放と呼ばれる姿を変える強化形態を有している。
「あー聖盾はまずいな……下手すりゃ戦争だ! でどうする竜馬?」
やごーがため息をつき、 頭に手を置く。
「無論戦争になれば潰す……ただそれだけだ」
麒麟が断言した。 ただ、 本心ではいきなり強国との戦争は避けたかった。
(たく……母に似たな……)
やごーは嬉しそうにクスっと笑った。
「マリーナ法皇国の葛籠菜 純子にだけは気をつけろ……あいつは聖盾の中でも一番強い……」
深刻な表情で忠告したやごー。 数多の猛者を従えている彼ですら警戒する程の実力を持っている。
「わかったよ」
(葛籠菜純子……どこかで聞いたような……)
麒麟は頭を悩ませた――どこか聞いた事のある名前に。
「話終わった?」
朱雀がたい焼きが入った袋を持って入って来た。 会議室にいる女の子はたい焼きに群がった。
「お前! いつの間に!」
麒麟が朱雀にそう聞く。
「あんたらが話しているときにコッソリ」
「えー」
「ついでに蛇之を起こしたら?」
朱雀がスヤスヤと寝ている青龍に指を指した。 すると、 パストが肘打ちを食らわせた。 威力が強すぎたため、 過呼吸をしながら目を覚ました。
「起きて」
パストが青龍に圧をかける。 その圧が強すぎたため、 青ざめてガタガタと震えた。 その様子を眺めながら白虎は猫の様にたい焼きを食べる。
「は……はい……」
「過去先輩! この人大蛇先輩じゃないですよ!」
コットンが必死に止めるとパストは満面の笑みで振り返った。
「ごめ~ん! 雰囲気似てるからつい!」
(おろちん、 この場に居なくてよかったな~)
やごーはホッと一息つき安堵した。
「今は停戦な」
アルファがたい焼きを食べながら伝えると、 エメラルドはたい焼きを食べながら頷いた。
「てかお前、 特殊な水晶玉持ってる?」
やごーが麒麟にそう問うと。
「なにそれ? 持ってないよ」
「ふん! だろうな」
やごーが鼻で笑ったため麒麟が不満を漏らす。
「アルファ例の水晶持って……おいアルファ! 」
水蠆がアルファを呼ぶが、 アルファはエメラルドと喧嘩を再開していた。
「第二ラウンドといこうか! ブリカス」
アルファは殺る気満々だ。
「面白れぇぶっ殺してやるよ! アイロン台が」
エメラルドも殺意がみなぎっている。 先ほどよりも激しい喧嘩が起きそうだ。
「ちょっとエメちゃんやめなさい!」
青龍がエメラルドを押さえ、 パストがアルファを押さえた。 激しい喧嘩が起きなくて良かった。
「エメちゃん謝りなさい!」
「NO!」
「”NO”じゃないのよ!!」
青龍がエメラルドを叱りつける。
「アルちゃんやめなさい」
パストがアルファを説得する。
「ぐぬぬ……」
アルファは悔しそうな表情を浮かべた。
「「sorry……」」
2人は互いに謝り和解すると、 青龍とパストは2人を放す。 それから、4人は椅子に座った。
「アルちゃん水晶渡しなさい」
やごーが命令すると水晶玉を投げつけた。
「危ないな!」
やごーはそれを机の上にそっと置いた。
「おい! これ人殴り殺す鈍器じゃねーか」
麒麟が呆れた態度をとる。
「ちげーよ! そこまで世紀末になってねぇわ!!」
やごーが激しくツッコミを入れた。
この水晶が今後、 重要なキーアイテムとなる。




