白鯨奪還戦
― 1月1日 午後 1時30分 天気晴れ 雲ひとつ無い晴天 少しポカポカしている ―
フェザーとクラブがバウム平原と言う場所へ【転移】してきた。
「お待たせ~」
クラブが手を振ると他の関雷雨のメンバー4名がやって来た。
「おーい! どうやった?」
1人の女がフェザーとクラブに話しかけてきた。 その女の特徴は、 黒髪の丸みショートで目の色は橙色。 コードネームはクルミ。
「任務続行だそうです、 そっちはどうですか?」
「ターゲットの調べは付いたよ~詳しい事はリネン、 マロン、シルクから聞いてくれ」
クルミは淡々とそう言った。 因みに、 そのターゲットはメルビレイ王国第二王女・ベルーガという女だ。
リネンの特徴は、紫髪のツインテール。 種類はレギュラー、 テールの長さはホーステール、 目の色は黒色、 少し変わった槍を持っている。
マロンの特徴は魔女の帽子をかぶっていて髪は銀髪のショートカット、 目の色は金色、 武器は持っていない。
シルクの特徴は髪は桃髪でロングストレートにアホ毛が生えている、 目の色は紫、 右手に銛を持っている。
「私とフェザーとクラブ先輩で行きますのでクルミ先輩、 マロン先輩、 シルクはここで待機でお願いします」
リネンは淡々とそう伝えた。 因みに、 クルミとマロンは同期で同じ大阪出身、 リネン、 フェザー、 シルクも同期だが出身地が違う。
「なんで?」
マロンはリネンにそう聞いた。
「あなたまだ生物型核兵器じゃ無いですから!」
「何で生物型核兵器やないとダメなん? 」
「人間だとすぐ死ぬし、 大切な先輩を失いたくないんですよ」
「それはしかたねぇのら~」
シルクはため息をつき首を横にふる。
「私とシルク以外データファイルやからな……」
マロンがシルクの肩をポンポンと叩く。
「あれやったらええよ!」
クルミが向こうの方にいる馬車を取り囲んでいる30人ほどの盗賊団に指を差した。 それを見た、 フェザー、 クラブ、 リネン、 クルミの4名がガンギマリだったがマロンは呆れた表情を浮かべた。
「仁義外れだ!! 行くぜ!!」
フェザーが剣を抜いた。 その剣はフランベルジュという波打った刀身の剣だ。 それと同時に、 マロンが魔法で槍を作りそれを盗賊目掛けて投げつけた。 その刹那、 槍が盗賊の頭を貫きスッと消えた。 消えたと同時に盗賊の灰色の脳味噌がジョボッと流れ出てきた。 それを目撃した盗賊と馬車の中にいた者は青ざめた。
「な! なんだ!」
突然の事態にパニックになる盗賊団。 その時、 フェザーが盗賊の頭を斜めにカットした。 それはゆっくりと落ち、 脳みそがプルンと露出した。
「タ”ノ”ジ”イ”イ”イ”イ”!!!」
フェザーは笑いながら盗賊の頭を握り潰し、 別の奴の頭部の上半分を切り落とした。 リネンは回し蹴りで盗賊の首を捻じ切り、 『黒炎』で盗賊3人を灰にした。
「時間が無いから一気に狩る」
クラブがカメレオンの様に舌を長く伸ばし鎌状にして盗賊19人の額を切り裂き、 脳みそを流出させる。 瞬時に舌を剣状に変化させもう1人の心臓を貫いて喰らう。 最後の2人はクルミに襲い掛かるも、 彼女の周りを見えない何かが守っているため、 一瞬ですり潰された。
「おーい!」
リネンが盗賊の腕をボリボリと食べながらシルクの方にやって来た。
「お疲れ~あれ紅羽ちゃんは?」
シルクがリネンにそう聞いた。 彼女の言う紅羽はフェザーの本名。
「先に食べてるよ」
フェザーが殺害した盗賊の内臓を獣の様に貪り食っていた。
「そういえばクラブ先輩は?」
マロンがそう聞くと3人は辺りを見渡した。
「おい! あれ!」
リネンは指を指した。
「美味しいー♪」
クラブはカメレオンの様な舌を出し、 死んだ盗賊の額に穴を開け脳漿を啜る。
「フェザー~先輩~早くしてください!」
マロンが2人を大声で呼んだ。
「「はーい」」
クラブは舌を元に戻した。
「作戦開始!」
フェザーが合図をすると3名は【転移】した。 そこは、 中世ヨーロッパの様な街で中央に大きめの広場がある。
「広場に目標がいるからついて来て~」
リネンが忍者走りをした。 2人も同じ走り方でリネンについて行った。 関雷雨メンバーは基本忍者走りをするのだ。
「何で広場にいるってわかるの?」
フェザーがリネンにそう聞いた。
「張り込みしてたから」
リネンはそう返答した。
「そこの3人! 止まりなさい!」
金髪ロングの碧眼、 緑色のドレスの女が剣を構え3人の前に立ちはだかる。
「私が白鯨の保持者であり、 メルビレイ王国第二王女……ベルーガよ! 」
女は自分の胸に手を当て覚悟を決めた――この女がベルーガといい今回のターゲットだ。
「おいおい、 強国かよ!」
リネンは深刻そうな顔をした。 メルビレイ王国は、 とある問題で関雷雨と戦争中の国家だ――今後、 青龍達ともぶつかってしまう。
「関係ない! 行くぞ!!」
フェザーが剣を抜き、 突撃の構えをとる。
「いいでしょう……」
ベルーガは静かに目を瞑った。
(何か来る!)
クラブはロングナイフを取り出し、 ベルーガに投げつけたが剣で弾き返された。
「『渦潮』!」
ベルーガの剣に纏わりつくかの様に巨大な渦潮が発生した。
「させるか!」
フェザーが突撃したが横薙ぎに振るう。 直後、 リネンがクラブを突き飛ばす。 次の瞬間、 巨大な渦潮がリネンとフェザーを飲み込んだ。 幸いな事にクラブは飲み込まれなかった。
「相性悪……ガハ」
2人は徐々に意識を失っていった。 渦潮が収まるとクラブは舌を変形させる。
「お! 強いね!」
クラブの舌の先端が剣状になる。
「関雷雨のクラブ……いや貴女の本来の武器は異形な形をした2本の短剣のハズですが……」
「あ~? バレたぁ?」
クラブは首を傾げ笑顔で2本の大型のサバイバルナイフを手元に【転移】した。
(やはり情報通りですわ……私の予想が当たっているならば……ファイル化もするはずですわ……)
ベルーガはクラブを睨みつけ剣を強く握った。
「こ ろ す!!」
クラブは目にも止まらぬ速さでベルーガに切りかかったが弾き返されてしまった。 だが、 体勢を少し崩してしまった。
(これほど早いとは……)
刹那、 クラブはベルーガの背後に回り得物で薙ぎ払うが、 反射的に頭を下げて回避した。
(やるねぇ~)
クラブは楽しそうな笑顔を浮かべた。 ベルーガは余裕の表情でクラブを見つめ突きの構えをとった。
(来る!)
クラブは受けの構えを取る。 次の刹那、 ベルーガが物凄い速さで突撃して来た。 即座にナイフで受け流し腹部を蹴り飛ばす。 その際、 ベルーガは「ぐはっ」と声を漏らし吐血。
「恨みっこ無しですわ!」
次の瞬間、 両者同時にスタートを切り、 刃物を交えた。 激しい斬り合いを繰り返し、 何度も何度も傷ついては再生を繰り返した。 この状況が楽しいのかどちらも笑顔で楽しんでいた。
「これで終わりだあああ!!!」
クラブが奴の突きをかわし懐に入った。 次の瞬間、 利き腕を根本から切り落とした。 舌を剣状に変え、 止めを刺そうとしたが、 切り落とした腕が瞬時に灰となった。 すぐさま、 口で剣を取りクラブの舌を切り落とした。
「後少し……」
ベルーガの腕とクラブの舌が同時にグチュグチュと音を立てながら再生した。
「動け……体……」
クラブはその場で崩れ落ちた――体力が限界な様だ。 それを見たベルーガは剣を杖の様にして、 彼女に近寄った。
「私の勝ち……ですわ……」
ベルーガが止めを刺そうとしたが、 急に動きが止まった。
「残念ながら……ここまでですわ……」
その時、 後ろからフェザーのフランベルジュを持ったシルクに首を刎ねられた。
「楽しかったですわ……クラブ……貴女に出会えて光栄でした……」
ベルーガは涙を流しながら、 ゆっくりと灰へと変わった。 直後、 ガイドストーンと注射針の付いた注射器が落ちていた。 ガイドストーンにはザトウクジラの様な刻印が刻まれていたがヒョウアザラシへと変わった。
「おやすみなさい……哀れなお姫様……」
シルクは武器を置きガイドストーンと注射器を手に取り、 液体を吸い出して自身に打ち込んだ。 すると、 溺れる様に苦しそうな表情を浮かべた。 数分後、 何事もなかったかのように立ち上がった。
「みんなどうしたの?」
シルクは辺り一面を見渡す。 そこには、 ボロボロの仲間が倒れていた。 後からやって来た2人がマロンがクラブを抱え、 クルミがリネンとフェザーを抱え運んだ。
「シルク! 帰るぞ!」
クルミがそう呼びかけるが、 足元に黒色の魔方陣が発生した。
「マジかよ……クルミ逃げるよ!」
マロンは先に【転移】して、 クルミは唇を噛みながら【転移】した。
「先輩……すいません……フェーズワン……」
足元の魔法陣から大量の赤い液体が噴出、 シルクはその液体を浴びて変身した。 シルクは全身真っ白の巨大なザトウクジラとなり、 宙に浮いていた。 そのザトウクジラの鰭はモンシロチョウの様な形をしていた。 全長約20m。
『絶望の雨』
シルクは鯨の様な大きな鳴き声を上げた。 すると、 辺り一帯に爆弾低気圧を発生させ巨大な雨粒をゲリラ豪雨並みに降らせた。 雨粒が大きい為、 建築物も壊れ徐々に街が沈んでいき、 更には街の人の水死体が浮き始めた。 元々立地が低いこの町は一瞬で水没した。
その光景を遠くで見ていた黒髪センター分け、 ボーイッシュの女が涙目で唇を噛みしめ強く拳を握りしめた。
「クソ……もう少し早ければ……」
女は無力な自分に怒りが湧き、 地面を殴りつけた――この女が青龍達の障壁となるのはまだ先の話。
思いっ切り暴れたシルクは元の姿に戻りプカプカと浮いていた。
「おい暴れすぎや! 後でやごーにどう報告したらええねん!」
クルミは肩甲骨辺りからハシブトガラスの様な翼を生やしていた。 シルクは彼女を見てゆっくりと目を閉じた。
「おい起きろ!」
クルミはため息をつきシルクを回収して先程の平原へと戻った。
「とりあえず本部戻ろう」
クルミがぐったりとしていた。
「ハイハイ……」
マロンがリネンとクラブを抱え、 クルミがフェザーとシルクを抱えて本部へ戻った。 この戦いが良くも悪くも今後を左右する。




