嵐の前の静けさ
会議室での一件が終わり、 青龍と智和は麒麟から3万円を貰い、 とある飲食店へ向かった。 その店はチェーン店の焼肉屋の様だ。
「やっぱ焼肉だな!」
智和は久しぶりの焼肉に興奮した。
「小1以来だな~懐かしい」
「どんな家庭だよ」
期間が長すぎて思わずツッコミを入れてしまった智和。 それもそのはず、 孤児院時代の青龍が焼肉の様な高価な物を食べれるわけがない。
「蛇之、 お前何食べたい?」
智和は青龍にメニュー表を見せながらそう聞いた。
「あーコーラと桜ユッケと牛タン……せっかくだしご飯もお願い」
「サイズは?」
「大で」
「すみません! ライス大と桜ユッケと牛タン2人前お願いします! 」
智和は大声で店員に伝えると奥の方から「はーい!」と声が聞こえた。 それと同時に青地にアサガオが描かれた袖なしのワンピースを着たルキナが思いっきり店のドアを開けた。
「お兄ちゃん! 見っけ!」
ルキナは青龍に指を指した。
「ちょっとルキナちゃん! お姉ちゃん達と食べるんじゃなかったの?」
青龍は首を傾げた。
「お姉ちゃんが「様子見て来い」って言われたから!」
ルキナは頬を膨らました。
(浮気しねぇよ……)
青龍は内心引いていた。
「一緒に食べるか?」
智和がルキナにそう聞くと、 ルキナは頷いた。
「てか寒くないの?」
青龍はルキナにそう聞いた。 明らかに季節外れの服装なため困惑している。
「全然」
ルキナは椅子に座った。
「お待たせしました! 桜ユッケと牛タン2人前です!」
店員は笑顔で料理を持ってきた。 その際、 店員にルキナの事を伝えた。
「ねぇねぇソーセージとパンお願い! 」
ルキナが店員に向かって注文すると店員はせっせと厨房へ向かった。
「あるわけないでしょ」
青龍が優しく伝えた。
「えー」
ルキナが嫌そうな表所を浮かべた。
「えーじゃないのよ」
智和がルキナにツッコミを入れると同時に、 青龍がユッケを口に運んだ。
「お兄ちゃんそれ食べさせて!」
ルキナがユッケの入っている皿に指を指した。
「これの使い方これで合ってる?」
ルキナが手に持った箸を動かして智和にそう聞いた。
「合ってるよ~」
智和は軽く返事をした。 ルキナは青龍のユッケをつまんで食べた。
「外人にしては箸の使い方うまいな」
青龍はそう呟き、 焼けた牛タンを取って食べた。
「私、 手先器用だから!」
ルキナは調子に乗っていた。
「お待たせしましたソーセージです!」
店員がソーセージを置いた途端、 智和が手前の金網が乗っている焼肉器に牛タンとソーセージを乗せた。
「ねぇねぇ2人のステータス見せて!」
ルキナは水晶玉を【転移】させた。 2人はそれを触りステータス画面を見せた。
―――
ルキナ=アンタイル 種類:生物型核兵器 年齢9歳
メインスキル:核竜 使用する弾丸を強力な爆弾に変える。
ファイル名:バハムート 種族:法撃種 属性:火
遺伝子材料 サバンナモニター ビズマークオオコウモリ
攻撃力 D
防御力 B
体力 S
速度 S
再生力 S
―――
「いや凄いな!」
「お前のはどうなの?」
青龍が智和にそう聞くと、 ステータス画面を見せた。
―――
徳川智和 種類:生物型核兵器 年齢18歳
メインスキル:祟り火 人魂と呼ばれる青い熱エネルギーを自由に扱え攻撃もしくはサポートに回せる。 人魂は自身が殺した人間の数だけ獲得できる。 人魂を使用した場合、 その魂は天に召される。
ファイル名:空亡 種族:捕食種 属性:火
遺伝子材料 デイノスクス
攻撃力 S
防御力 D
体力 B
速度 S
再生力 S
総合評価 A 単独で国家を滅ぼせる。
♪♪♪
「思ってた以上に強くて草」
「ソーセージいただきます!」
ルキナがソーセージ口にした。 それを見た2人は微妙な表情を浮かべた。
*
その頃、 エメラルド達はレストランで食事をしていた。 彼女らがいる場所は綺麗で風通しもよく、 オシャレなベランダもあった。
「生ハムサラダもいいね!」
白虎はフォークで生ハムを刺し、 口に入れた。
「エメちゃんは何であいつの事好きなの?」
朱雀がエメラルドにそう聞いた。
「優しいし頼りになるから~」
エメラルドは照れながら水を飲んだ。
「えぇ……」
白虎はかなり動揺していた。
「スズ~あいつどうなったの?」
リネンが朱雀にそう聞いた。
「蛇之が殺した」
2人の言う”あいつ”とは、 彼女らが居た世界で数々の犯罪を犯した男だ。 例えば、 エメラルドの家族が日本に遊びに来た時、 エメラルドの両親を車で潰し、 玄武と白虎の両親をひき殺した。 最悪な事に犯人は政治家の息子だったため無罪となり事件後も反省せず悪行を働いた。 朱雀とコットン、リネンを誘拐して富裕層の男に高値で売りさばき、 麒麟の義両親を殺害――その後、 青龍に何度もパイプ椅子で殴られ死亡。 それから彼は指名手配犯となり苦しい思いをした。
「あいつさえいなければ桜と綿花は死ななかった……この世界に来てたら弱火でじっくり焼き殺してやる……」
朱雀は橙色の殺気を放つ。 それが強すぎたため、 近くにいた純粋な村人が耐えれず気絶した。
「スズちゃん落ち着いて!」
コットン必死に朱雀を慰めた。
「まぁ姿は違えど再開はできたんだし」
リネンはサクランボを口に放り込んだ。
「まぁ2人が男に転生してたらこの炎で火炙りにしてたけど」
朱雀は右手に虹色の炎出現させ、 虚ろな表情で2人を見つめた。
「ストップ!!!」
コットンは必死に首を横に振った。
「やめんか!!!」
リネンは必死に止めた。
「てかここの料理おいしいね」
コットンが一切れのパンを美味しそうに食べる。
「ね!」
朱雀は炎を消した。 その時、 フォークを手に持ち、 ラムチョップを強く刺して口に運んだ。
「そんなに怒らないの!」
白虎が朱雀を注意した。
「代金渡すからお部屋に戻るね~」
エメラルドは白虎に代金を渡し、 その場を去った。
「はーいまたねー」
白虎はエメラルドを見送ると悲しそうな態度を浮かべた。 もっと近くにいてほしかったのだろう。
「どうしたの猫都……」
朱雀が白虎に寄り添う。
「振られた」
「いいじゃん! あの子あいつの事しか興味無いし」
「お兄ちゃん!」
エメラルドの歓声が聞こえた。 そこには、 青龍と智和とルキナが居た。
「あらエメちゃんこんなところに」
青龍はエメラルドを抱き抱えた。 直後、 朱雀たちがベランダから覗き込んだ。
「煙臭い」
エメラルドが鼻を摘まむと青龍は深く落ち込んだ。
「焼肉行ったからね~」
ルキナが自分の服を嗅いで鼻を摘まんだ。
「嗅ぐな!」
智和がツッコミを入れた。
「雀、 やれ」
白虎が朱雀に命令した。
「メス!」
朱雀が手術中の医者の様に手の平を上に向けるとリネンがナイフを渡した。 次の刹那、 朱雀が青龍に投げつけた。 見事、 そのナイフが青龍の頭に命中した。
「オイこらナイフ投げんな」
青龍は刺さったナイフを抜き、 グチュグチュと音を立てながら傷口を塞いだ。
「猫都! エメちゃん抱っこする?」
青龍は白虎にそう聞くと、 下りてエメラルドに抱き着いた。
「これ返す」
青龍はナイフを朱雀に投げる。 朱雀は上手く受け取った。
「んじゃお先に、 エメちゃん帰るよ」
青龍が帰ろうとすると、 エメラルドは白虎から離れた。 それから、 青龍、 エメラルド、 ルキナは歩きながら帰って行った。
「たくよ……」
智和が頭を擦りながら朱雀の方を見ると、 朱雀が首で「お前も行け」と合図をした。 その頃、 3人は部屋に戻った。
「よし! 3人で風呂入ろう!」
ルキナが青龍にそう提案する。 エメラルドは涙目で青龍を眺めた。
「はぁ仕方ないな……よし入るぞ!」
青龍が楽しそうに先に入り、 2人も後に続いた。 そのころ、 麒麟はとある準備をしていた。
「こいつらをどう配置しようかな~」
麒麟は朱雀、 白虎、 青龍、 エメラルドのステータス画面を見ていた。 朱雀、白虎、エメラルドのステータス画面にはこう書かれていた。
―――
赤藤 雀 種類:生物型核兵器 年齢18歳
メインスキル:輪廻転生 特定の条件でしか死ねない。
サブスキル:快楽の火災 このスキルを発生させた時、 特定のエリアから四十度ぐらいの熱が発生しエリア外に出た生物全てに快楽を感じさせ自然発火する。 尚、 この炎は伝染するが炎は1日で消滅する。
ファイル名:朱雀 種目:法撃種 属性:火
遺伝子材料:オウギワシ ミナミワシミミズク
攻撃力 D
防御力 S
体力 S
速度 S
再生力 B
―――
―――
白樺 猫都 種類:生物型核兵器年齢18歳
メインスキル:輪廻転生 特定の条件でしか死ねない。
サブスキル:悲嘆の雷害 特定のエリアに電波を発生させ、 悲嘆させる。 その者の脳に強力な電流が流れ、 脳の機能を永遠に停止させる。
ファイル名:白虎 種目:好戦種 属性:金
遺伝子材料:ベンガルトラ ラーテル
攻撃力 S
防御力 S
体力 B
速度 S
再生力 D
―――
―――
エメラルド・メイデンヘアー・ツリー・ボア 種類:生物型核兵器 年齢17歳
メインスキル:輪廻転生 特定の条件でしか死ねない。
サブスキル:現在不明
ファイル名:姦姦蛇螺 種目:究極種 属性:金
遺伝子材料:アミメニシキヘビ ヒト エメラルドツリーボア カルカロドントサウルス マオウカレハカマキリ ブッシュマスター アメリカドクトカゲ オオベッコウバチ
攻撃力 S
防御力 S
体力 S
速度 S
再生力 S
―――
「雀は俺の近くに置こう……猫都と蛇之とエメラルドは敵本陣を潰して……後は……」
麒麟は笑いながら何かを着々と進めていた。
その頃、 エメラルド達は浴室から出て寝る準備をしていた。 青龍はベッドでスヤスヤと寝ている。
「ねぇねぇお姉ちゃん」
エメラルドがルキナの髪を乾かしている。
「どうしたの?」
「何でお兄ちゃんの事好きなの?」
「優しいからかな~」
エメラルドはとても恥ずかしそうだった。
「私ね、 男より女の子の方が好きだから……お兄ちゃんお姉ちゃんにあげるね!」
「はいはい!」
エメラルドは嬉しそうだった。
「はいできた!」
エメラルドが手入れをすると、 ルキナは洗面所から出てベッドにダイブした。
「こら~もう!」
エメラルドは洗面所の扉を開けて、 頬を膨らませながらルキナを怒るが少しすると微笑んだ。
「眠たい」
エメラルドがそう言って洗面所に戻ると何らかの異変に気が付いた。
「何……これ……」
エメラルドの目から黒いコンタクトの様な膜が剥がれ落ちた。 その膜はまるで、 蛇の脱け殻の様だ。 目玉は白目の無い真っ黒な色から白目のある美しい青色へと変わった。 彼女の目から美しい水滴が流れ落ちた。
「やっと解放された……あの呪いから……」
エメラルドは泣き崩れた。
(明日お兄ちゃんを驚かせよ! )
エメラルドは歯磨きを終わらせ幸せそうに眠りについた。
彼女の過去に何があったのだろうか――




