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早死にして転生したアラフィフですが異世界の江戸では人生愉快痛快です!  作者: 藍紫


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8 治助様が寝た後で…

心と松江は若い小娘のようにきゃっきゃと話している。



狆のまるちゃんも、嬉しそうに2人の周り、猫の孔ちゃんも2人に頭を擦り寄せる。


「松江、待たせてごめんねぇ 

ほら、まるちゃんの簪がね……」


「ああ 何かそうみたいね。豆.紅ちゃん達が教えてくれたよ」


「あ!それはそうと松江、また粋なお着物着てるねぇ。それ黄八丈?」


「これ?うふふ、秋田八丈だよん。

私の地元の職人に頼んで織ってもらったの〜。

すっごい着心地も良くてさ。もう最高なんだよ!」


「さっすがぁ!縞も松江によく似合ってるよ〜 銀流しの和玉簪もよく効いてるね!」


「ありがとう。心も4日もかけただけあり、素敵だよ〜(笑)

また、爪も綺麗にして。これどうしたの?」


「あ、これ? 絵描きの比露重先生に描いてもらったんだぁ……

薄藤色から水浅黄まで順番に爪を塗って、水の雫も描いてさ……」


「ようやるわぁ。そんなん直ぐ取れるだろうに」


「いやいや、ちゃんと紫陽花さんに合わせないと楽しくないし〜」


……話は絶えない。



松江様は、心花魁の前世の親友の一人である。



以前、治助様が同様に酔って寝てしまった事があった。



そこで心花魁は初めて、部屋に訪れた松江に出会った。



心花魁は会って直ぐに、松江の事が分かったが、松江には前世の記憶はない様だった。



だが、心花魁と松江は、酒を飲みながら朝まで話し込み、二人は前世の時の様に直ぐ意気投合した。



それ以来、毎度治助様が感激してお休みになった後、松江がいる時は朝まで話し込み、楽しく過ごすのである。




看護学校の寮で初めて会った時、「初めまして〜」って頬を染めて笑顔で挨拶してくれた松江……


一度だって忘れた事はないよ。一年生の頃は寮で一緒の部屋だったもんね。



松江が思い出すまでは前世の事は

どうでもいい……



この江戸でまた会えて、互いに笑いあえて、それだけでどんなに私は救われた事か。心はそう思っていた。


「あ〜。おっほん。そろそろ爺も喋っても良いかね?」


ずっと喋らないでいた、もう1人の高齢の客人が、初めて口を開いた。



ずっと治助様の隣にいたこの方は、平松の宮様という。



現帝の祖父にあたる平松の宮家の当主である。



この宮様、やんごとなき身分の方には珍しく自由な粋人として、世に知られている。



心花魁の一番の客人であるが、高齢でもあり、いつも心花魁と話をする事だけを楽しみしている方である。



そして更に珍しい事に、異国相手に広く商売もしており、治助様とはその縁で共に松竹亭に来た、と言う訳だった。


「あっ、大変失礼致しました。宮様」松江が深々とお辞儀をする。


「ああ 宮爺、あっちも大変失礼いたしやした。」


心花魁も、平松の宮様の横にさっと座りなおす。



失礼な呼び名だが、心花魁がつけた愛称で宮様も気に入っている。



「いや 今更怒りはしないがね。


それはそうと松江様、今日は素晴らしい宴をありがとう。


2人とも分かってはいるだろうが、

治助はまだまだ修行中だ。


しかし、先々は、私の商いを継いでくれる才豊かな将来のある若者だ。


素直で野暮天な所もまぁ可愛かろう。


すまんが、今後も世話してやってくれよ」


ありがたくも平松の宮様から、フォローをされたとは知らない治助様は、


「心花魁、もうよしとくれよ……」



と幸せな夢をみているようで、やはり将来大物になりそうである。



「さぁさぁ!2人とも暫く振りの再会であろう。爺の事は気にせずやってくれ」


「はい」「あい」


2人は笑顔で頷いた。


「あぁすまん、またそれはそうと」


宮様がまた口を開く。


「この紫紫陽花は本当に見事だねぇ。

松江様、今日はこの植物採集人も紫陽花の世話で来てるのであろう?」


「はい宮様」


「どうであろう、その採集人もここに呼んで、皆でその採集の話と、酒をつまみに紫陽花を愛でるというのは」


「宮様の一案、まったく粋でございますねぇ」


「あっちも大賛成でやんす」 


そういう訳で、珍しい女の植物採集人が、宴に呼ばれてやってきた。


2人とも笑顔で話に乗った。


「初めてお目にかかります。平松の宮様、心花魁。


またこの度は、ご依頼ありがとうございました、松江様。


私が植物採集人、お友と申します…」


深々とお辞儀をしているその人は、

思ったより小柄な女性であった。



なんてこと!友子だぁ〜!友子にもまた会えるなんて……



心は前世で友子に手をにぎにぎ動かしてしてもらって、


「ちっちゃいけど ちゃんと動くんだよ〜」って


当時流行りの漫画の場面をやってもらうのが好きだった……



一瞬どうでもいいけど楽しかった事を思い出し、心花魁は泣きそうになった。






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