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竜に願いを問うならば  作者: REN
1章.過去の咎
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12.強襲

そろそろ南門が見えて来る。

しかし何故だろうか、争っているような音がしない。もしかするともう……いや、その考えはよそう。


「ラムルベル、こりゃあ相当手を焼きそうだぜ。」


と、一歩先を行っていたセンベルトにそう言われる。


「…遅かったか。」


嫌な予感が的中してしまった。竜の手の中には今まで戦っていたのだろう、男がぶらんと頭を捕まれた状態で握られている。まだ幸い息はあるものの、その姿は惨憺たるものだ。


「おー、ようやく来──」

「ってはやっ!?」


腕を切断し男を抱え後退する。クソ、あわよくば胴までと思ったが即座に反応された。


「痛いなー、初対面でいきなり腕とかいっちゃうタイプ?まあ強けりゃ何でもいいけどさ。」


そして竜が手に力を入れるような仕草をすると、凄まじい速度で斬った腕が再生し始める。


「レイン、コイツの手当てを頼む、人形使い(ドーラー)は援護を。」


「あ、ああ。分かった。」


「……了………」


ふぅー、と一回大きく深呼吸をする。


「さーさー来なよ、お前ら強いんだろ?」


「ラムルベル、さっさと終わらして飯にでもしようぜ。」


「…私に置いて行かれるんじゃないぞ?」


「はっ、誰に言ってんだ。」


そう軽く冗談を交わした後、私達は動いた。






◆◆◆






何だよ、何なんだよこれ.......

血が止まらない。右脚は拉げ、胸は抉られ、左手が無いこの状態で生きている方がおかしいくらいだ。こんなもの止血した所でいずれ死んでしまう。

いや、いや、そう考えるのは早計だ。しっかりと処置をすればまだ──


「落ち着………て」


ぽん、と肩に手を置かれる。


「お、お前は。」


「まだ……助かる。そこ…どいて。」


全身着ぐるみに包まれた奴が俺を押しのけ、男の傷口に触れる。

確か人形使い(ドーラー)とか呼ばれてた──


「うわっ」


ぶわっ、と周辺が緑に包まれ、やがてその緑は圧縮されるように男の中に集まって球を形成する。


「この人………もう大丈夫。治癒魔……使った。だけど…」


指が指される。その方向には、


「っ──あそこにも人が......」


もう一人倒れている。距離にして大体30m位か。


「わた……動けな…こっち………持ってき……」


持って来るって、でもそれは。

あの三人の前に近づかければならないということだ。


「やんなきゃ、駄目なのか?」


こくり、と奴は頷く。




………



いや何考えてるんだ。やるしかないだろ。

一瞬保身に走ってしまった自分に喝を入れる。大丈夫…大丈夫だ。すぐに行ってすぐ持って来る。簡単なことじゃないか。それに…もう逃げてばかりの俺じゃない。ギルドにもやれるって、戦力になるって証明してやる。


急いで走って倒れている人の下に駆け寄る。


「お、おい、大丈夫か...?」


「ゴフッ……助けに…助けに来てくれたの?」


「ああそうだ、もうちょっとだけ待ってろ、ここ離れた後すぐ手当てしてやるから。」


酷い出血だ。あの男ほどではないにしろすぐあの着ぐるみの奴の所に持って行かなければ。俺は怪我人を抱きかかえるようにして持ち、ジリ…ジリと戦場から離れていく。


「あ!ちょっとキミ逃げな──」

「させるかよ」


俺の所に竜が向かおうとするが、あの男…センベルトに阻まれ上手く動けない。そしてその隙をリアが刈り取り、竜の体に傷を付けていく。


「あーもう!お前らやりづらいな!!」


凄い…卓越した剣技だ。その動きには一切の無駄がなく、洗練されている。一体二人はこの領域に達するまでにどれ程の研鑽を積んだのだろうか。


「つ...着いたぞ......」


と、そうこうしているうちに安全圏まで怪我人を運び終える。


「ありが………後は任せ……」


男の時と同じように、再び緑に周辺が包まれそしてその緑が怪我人を包み込む。


「これで……大丈…」


二人の治癒を終えると、人形使い(ドーラー)はよろよろと歩いて近くに落ちてあった竜から切り離された腕を拾う。そして何やら呪文のようなものを唱えた後、

グサリ、と釘で竜の腕を刺した。


「痛たっっ……きられ──てない!?」


釘を腕に刺した瞬間、急に竜がふらふらと千鳥足になる。

…?どういうことだ?竜は痛がっているものの、体には目に見えた外傷が出来たようには見えない。


「この魔……痛みをつくる…実際に斬…………ゃない。」


「くそーあそこ何もしないと思ってたのにこんなことするのかよー!あ~ムカつく!!」


そんな台詞を吐きながらも竜は二人の剣戟を捌き、決定的な致命打を与えられぬよう立ち回っている。

…だが三対一。常に守勢に回っている竜と絶えず攻勢を仕掛けているこちらとでは勝負の行先は明らかだ。


「この人数差じゃお前もうキツイだろ、さっさと諦めて死んどけ。」


「んー確かにちょっと君たちは強いかもー」


「これで…終わ………」


またグサリと、腕に釘を刺す。


「うお──」


今度は足の自由を奪ったのか前に倒れ込む。

が、センベルトがその隙を狩ろうとしたとき、


「っ危ない!!」


と言うリアの声と。


ボカン、と地面が竜によって割られる音が重なった。





「うっ...」


衝撃で地面が揺れる。


「コイツ狙って…」


そして身動きが取れない二人を横目に、竜は俺の前に立っている人形使い(ドーラー)目掛けて飛び込み凶刃を振りかざす。


「おー上手くいったー。じゃ、まず一人。」


「あ……動け………………」




だめだ。






…このまま見てれば、アイツは死ぬ。

そう感じた瞬間、


「やめろぉぉぉ!!!!!」


俺は打算もなく人形使い(ドーラー)の目の前に飛び出していた。

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