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竜に願いを問うならば  作者: REN
1章.過去の咎
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10.ケンディル

「着いたぞ。」


リアの案内を受け荷車から降りると、そこはもう別世界だった。

豪華な装飾で飾られた家、市場で賑わう大勢の人、そして絨毯みたいに綺麗なレンガ造りの遊歩道。そのどれもが俺の住んでいた集落とまるで違う。


「ほら、そんなところでぼーっとしてないで早くこっちへ来い。」


はっと我に返り、都市の風景を見るのもほどほどにしてリア達についていく。


「改めて見ても凄い都市だねぇ。なんか前来た時よりもだいぶ発展してない?」


男はそう言いながらリアに話しかける。


「元々厄災の被害が比較的小さい都市だったからな。ま、それでも八年前は小さい都市に過ぎなかったんだが…厄災の後ここに住んでた商人が復興支援事業を立ち上げて相当儲けたらしい。お陰でギルドにも金は回るし経済力はつくしで今では3強の一角だ。まったく世の中何があるか分からん。」


「はは、僕としてはこうやって色んな所が栄えてくれると客も増えるし嬉しい限りだよ。」


とそんな話をしている中、通路脇の裏路地からクイクイと手招きしている人を見つける。騎士もそれに気づいたようで、


「ほら噂をすればというやつだ、そこで客が出迎えてくれているぞ。」


「…本当だ。じゃあそう言うことなので失礼するよ。また情報がいるならボク(情報屋)を頼ってね。」


そう言って路地の闇へと消えてしまった。

アイツ...情報屋だったのか。確かに何かと博識だったし...いやでもあんな気さくな奴情報屋でやっていけるのか?


「…ようやくうるさいのがいなくなったな。」


「っ、あ、ああ。そだな...」



「…」


「…」



やばい、無言だ。

さっきまでは情報屋とか言う奴がなんとかかんとか話題作りして沈黙は避けられていたが...そいつがいなくなった途端にコレだ。リアは全身鎧を身に着けているだけあり、妙に話しかけづらい。

だけど俺も話したいこと知りたいことあるし...えっと、何か話題を...


「あの──


「えっ、ちょっお前ラムルベルじゃねぇか!」


が、俺が話しかけるより前にリアは誰かに声をかけられる。


「…ゼンベルトか、久しいな。」


リアさんからセンベルト、と呼ばれたその男は体に見合わない巨大な剣を携えており、剣士にしては比較的軽装な鎧。そして何よりもその鍛え上げられた身体から放たれる風格は歴戦の強者と呼ぶに相応しい。


「久しいな、じゃねーよ!お前半年も連絡入れずにどーこほっつき歩いてたんだ!」


「まあ、色々と。」


「色々ってお前…遠出する時は連絡くらいはしろ。皆不安がってたぜ?それと…なんだまた()()()連れて来てんのか?」


「…ああ、今から登録の為にマスターの所へ行く。」


「そうか、ならこれから何かと関わることになるだろうから先に名前を言っておくわ。俺はセンベルト=ニスクってんだ、よろしくな。正式にメンバーになったら一発歓迎会でもやろうぜ。」


「おっ、俺はレインだ。よろしく...」


そして差し出された拳を合わせ、挨拶を終える。


「それにしても丁度いいタイミングで帰って来たなラムルベル、これから定例会議があんだ、そこでみんなに顔でも見せとけ。」


定例会議…何か現状報告でもするのか?


「定例会議か…分かった出席しよう。レインお前も一緒に来い。定例会議にはマスターも出席するからな、そこで諸々の手続きを済ませる。」


そうして、俺たちは改めてギルドへと向かうのであった。






◆◆◆






「ここがギルド...」


何だか...建物と言うよりかは簡易的な拠点みたいだ。


「うっし、時間も無いから早く行くぞ!他のみんなも待ってるだろうしな。」


センベルトはそう言い、若干早足になりながらギルドの中へと入っていく。俺とリアもその後を追い中に入る。




「す、凄え...」


ギルド中は集会所にのようになっていた。左には酒場、右には雑貨屋、そして目の前にはでかでかと掲げられた大きな板に無数の紙が貼ってあり、数人がそこでたむろしている。恐らくここが依頼を見る所なのだろう。


「レインこっちだ。はぐれるなよ。」


案内を受けながら、ギルドの中へと進んで行く。


「ギルドってこんな賑やかな所だったんだな。外装があんな感じだから...もう少し静かな所かと思ってた。」


ふと、そう呟く。


「ギルドも商売の一つだからな、街中から依頼を集める為に数ヶ月ごとに移動しているんだ。だからいつでも拠点を動かせるようこんな外装になっている。それに拠点を移動させることで各地から腕っぷしの強い奴が集まって来やすくなるのさ。ま、そんなことをしているせいかは知らんがお陰でギルドは一日中やかましいったらありゃしない。」


なるほど...一理あるな。

とそんな話をしている最中、急に目の前の扉で止まる。


「マスターがいるのはこの先だ、これから会議で少しごたつくと思うが…レインは堂々としてれば良い。」


「いやっ、でも──」


「安心しろ、いざとなったらお前には私がついている。」


そう言って、部屋のドアを開けた。

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