第72話
私は今、豪華の扉の前にいます。・・・皇帝陛下に呼ばれました。皇帝陛下の執務室なのです。処刑されるのでしょうか。それでもいいのですが・・・どうせなら月光の毒で殺していただきたいですね。
こんこんこんとノックします。
「入れ」
威厳たっぷりの声ですね。父上から「皇帝陛下は親バカだ」などと聞いていたのですが。意を決して入室しました。
「・・・リュクシュール家次男のサヴァンツ・リュクシュールでございます」
・・・なぜ、なぜここに父上と、ドロワシオン公爵と、ヴィジラン公爵・・・そしてトリスタン公爵まで?
「・・・サヴァンツ。久しぶりですね。元気にしていましたか」
父上、疲れてますね。当たり前でしょう。リパードから聞くと母上を父上がその手で殺したとか。
「はい、父上。・・・それよりこれは?」
「うむ。其方に我が娘、かぐやの側近になってもらいたいのだ」
「・・・」
は?私は父上に聞いたのですが。なぜ陛下から答えが?いえ、それより私がかぐや姫殿下の側近?私は犯罪者の息子ですよ?
「じ、実はですね、サヴァンツ君。かぐや様とドロワシオンとヴィジランのお嬢様方が旅行に出かけているのですが、そのうちの愚息もついていっておりまして・・・。男子1人女子3人は体裁が悪いのでもう1人たしましょうという話に・・・」
なるほど。つまり陛下とドロワシオン公爵閣下方が娘の身の心配をしたと。そこで私に白羽の矢がたった。・・・別に他の方でもよろしいのでは?
「なぜ私なのですか。他にも良い方がいらっしゃるでしょう」
「いや、それほどでもない。君にはソラティオのように法律や武力だけでは補えない薬や科学の知識がある。それを活かして欲しいのだ」
これは反論するだけ無駄ですね。
「わかりました」
「アナッサからも許可を得ているので問題ないだろう。今日かぐや達が帰ってくるはずだ。盛大に迎えるぞ!」
ん?
「そうですな、私も娘の出迎えの準備を整えております!我が家は垂れ幕を用意いたしました!」
は?
「ふっ!まだまだだな、ドロワシオン。垂れ幕だけか?俺はクラッカーとやらをナギ様にいただいたからな!」
え?
「うむ!皆のもの!すぐに飾り付けに取り掛かるぞ!」
・・・なんです?これは。ドロワシオン公爵とヴィジラン公爵、陛下まではしゃいでいる・・・?私の視界の隅で父上とトリスタン公爵が面倒臭そうにため息をついているのが見えます。
かぐや姫殿下は陛下似ですか?それとも皇后アナッサ様似ですか?容姿の問題ではありません、性格的な意味で・・・。私の主は大変な方では?




