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第23話 キリグ視点~五芒星のお茶会~

ついにこの日が来た。来てしまった。今、目の前にあるのは扉。プリシオ公爵家のお茶会室への扉だ。い

つもなら


「私、乱入しちゃおうかな?」


のノリで突撃してくるのに今回は怒られるのが怖いから見送るだなんて……。僕に責任を押し付けるのは皇女のすることとは思えないぞ!


まあ、次期五芒星と目される跡取りが集まる会にかぐやがいないというのはそれだけで貴族の反感を買うものだと考えられる。どう転んでも僕たちの得にしかならないということか。


意を決して扉を開ける。まだ二人しか到着していなかったようだ。今回の主催者であるエミール・プリシオ。現リュシュール公爵の息子であり僕の従兄弟であるフォーボン・リュシュール。二人は仲が良く今回は味方ではないと思う。


「これはこれは!平民上がりのトリスタンの御子息ではありませんか。なぜこの場にいらっしゃったのでしょう。ここは高貴なる血筋のもののみが許された茶会と聞いていたのですが」


「私は平民上がりであろうと現時点では公爵子息のため高貴なる血筋であることに変わりはありませんよ?それよりもソラティオ叔母上の様子はどうなのでしょうか?雰囲気がとても変わったと母が言ってい

ました。心配だと」


「侯爵に成り下がった家の娘の公爵夫人が気にかけるほどに違いではありませんよ」


いちいちコイツはわかりやすい嫌味を入れてくる。


脳みそが足りないから語彙力が足りないんじゃない?


どこかのバカ(かぐや)が言っていたが遠回しにお前は自分より立場が低いとしか言っていない。バカは言っていたことはある意味正解だったのかもしれないな。腹たつ。


「そんなことを言ってはならない、この次期星であるボクが開いたお茶会だ。気にしないといい。それとここでの会話は全て皇帝および皇女に伝わっていると考えて発言を考えるように。伝えてはならぬことも

あるだろう?」


アホか?遠回しもクソもない、ただただ隠し事があります!と公表したもんじゃねーか!情報収集の点においては楽だが反応に困る!


ガチャ


「ここが会場ですの?なんと陰気な場所。ここに私を呼びつけるなんてどんな魂胆なんですの?」


「それを言ってやるな。エミール君が可哀想ではないか。おや?椅子が五つしかないぞ。もしやこれはワ

タクシに護衛騎士として立っておけとでもいうことかな?本職ではあるから問題はないが」


扉が開いて二人の令嬢が入ってくる。美しい金髪とハシバミ色の瞳の少女アドラーティオ・ドロワシオン。情熱的な深紅の髪に深緑の瞳の男装の令嬢マニフィーク・ヴィジラン。一番年長者である。5大公爵家の跡取りが全員揃った。


アドラーティオはその綺麗に整った右眉をピクリと動かした。


「そんなバカなことがあるわけないでしょう?マニフィーク様が眠れぬなど。しかし、かぐや様が……。どういうことですの?!是は五芒星のお茶会のはずですわ!なぜ星である皇女かぐや様がいらっしゃいま

せんの?」


「それはね、ボクの可愛い金髪の妖精さん(リュスエルヴァ)。皇族の血を引くこのボクこそが今回の星だからだよ!」


その瞬間マニフィークとアドラーティオの表情に怒りが混ざる。マニフィークの怒りの矛先はエミールに、アドラーティオの怒りは僕に?え?なんで?


「キリグ様?貴方は毎日のようにかぐや様にお会いしているのでしょう!?なぜお連れにならなかったのですか?!」


「エミール君、まさかと思うけれど招待ですらしていなかったのかい?」


「皇女殿下御本人が行かないとおっしゃられたもので……」


「そんなもの、理由になりませんわ!会えると楽しみにしていましたのに……」


うって変わってションボリとする。いや、そんなしょぼんとすることはないだろ?!アドラーティオは僕たちよりも一月上だ。今は僕とかぐやが最年少だからかなりやりにくいんだ。


一方、マニフィークとエミールは


「当たり前だ。このボクが星なのに他の星は不要だろう?」


「なっ!貴男は、公爵家の令息だ。皇帝にはなれないはず。次期女帝を蔑ろにするということは皇族を侮辱することになる。処刑されても文句は言えない!」


「皇女は女だ。女帝に不安の声があることは知っているだろう?それにこのボクを処刑したら5大公爵が4大公爵になる。何より、ボクのように皇族の血を色濃く受け継ぐものこそが皇帝、女帝の伴侶に相応しいだろう?」


「なんのために7の侯爵家があると思う。家が取り潰されたとしても5大公爵としての機能が行えるように、だ。何より、貴男の皇族の血が濃いというのは禁忌の血であることの裏返しだ。一族郎党処刑されてもおかしくないことだというのに……自覚がないのか?」


ダメだ……。本当にダメだ。エミールに脳ミソはないのかもしれない。


この調子でお茶会は本当に始まるのだろうか?


「お二人とも、ここではやめましょう。エミール、マニフィークのいうことも事実だ」


感情を感じさせない作り笑顔でフォーボンが二人の間を取り持つ。一見どちらにも与していないようだが招待していないと言うところに反応していなかったところを見ると共犯だろう。


「マニフィークさん、一度落ち着いてください。もうすでに陛下に報告済みですから」


「まあ!陛下に、ですの?かぐや様をご招待していないことが知られたらどんな罰が下されるのかしら。楽しみですわ!わたくしがかぐや様にお会いできる数少ない機会を潰したんですもの。それ相応のご覚悟がおありなんでしょう?」


「陛下がご存じであれば、たかが公爵令嬢でしかないワタクシに出番はないだろう」


マニフィークは皇帝が関与するであろう事案から素早く手を引きアドラーティオは罰を受ける覚悟があっての行動なのかと問う。


皇帝が知っていると聞きフォーボンは若干青ざめエミールは鼻で笑い飛ばす。


「たかが皇帝だ。このボクのように外見が優れているわけでもないと言うのに何を偉そうぶっているのだ!父上にかかれば造作もない!」


このお茶会はまだ始まったばかり。どれだけ荒れることになるだろうか。

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