1話 始まり
迫るトラックを前にわたしはピクリとも動けずにいる。
アビイ・ロードを渡るビートルズのように横断歩道の上で足を開いて固まっている。
人間、本当に意識外のことが起きたら動けないらしい。
だが反対に、頭は今までにない速度で回転している。
引き延ばされた意識の中で、これまでの人生が走馬灯のように駆け回る、、、、、、、
ことはなく、ゆっくり、永劫とも思える時間をただ目の前の光景を眺めることに浪費する。
別に思い出すことがない、つまらない人生を送ってたわけじゃないぞ。
多分、きっと、そうなはず。そうであれ
陽光がフロントガラスで反射して見えずらいが、運転手は呑気にお昼寝中のようだ。ざけんな
まあ、これからのこいつの人生を思えば、溜飲もさがっ、下がる、、、
分けねえだろ。
まったく、、、、、
ー
ー
ー
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うん、、、もうちょっとなんかないの⁉
今際の際だぞ!!!
もしかして私の人生、薄すぎ!?
こんなとこで悲しくなるのか(困惑)
死ぬ間際がこれか
でもまあそこそこ楽しい人生だったぞ、もうちょっと刺激があればよかっt
そんなくだらないことを考えているときに、その時は訪れた。
今まで感じたこともない熱と共に、現実に引き戻される。
目の前が真っ赤に染まる。
吹き飛ばされ、横たわった視線の先は熱されたアスファルトが揺らいで、深紅といっしょに夕焼けを形成していた。
それがわたしの最後の記憶のはずだった。




