61 余計な依頼
ここは、西側資源発掘惑星。
この惑星での資源発掘は、とん挫していた。
目標の岩盤が堅く、
更に周辺の岩盤はもろく発掘に問題が大きくのしかかっていたのだ。
そこに、不満げなノブテル・ミズマが、
両腕を組んで立っていた。
「あっ、居た~。勝手に行動しない!!
まだ説明が済んでないのに」
ソプラ・バリトンが、困り顔で彼に近寄ってきた。
「お前は、おかんか」
ノブテル・ミズマは横目でちらりと彼女を見るだけだった。
「んん?おかん?。
ああ、お母さん!何ですかお母さんって。
私はまだ二十代です」
彼女は、翻訳機を調整してその上でツッコミを入れてきた。
彼女は、普通の外国人に見えるが、やはり異星人なのだ。
言葉の差があることが改めて理解できた。
「そんなことはどうでいいよ。
オレには関係ないしな。
代理戦でもないのにここに呼び出されたことに不満なだけだ」
「どうでも…。
もういいです。それに言いましたよね。
何でここにいるのか!説明しましたよね!」
彼女は、反論は無意味と悟り、
話を始めていた。
「聞いたよ、資源採掘の手伝いだろ。
オレは、本職じゃない。うまくいかないだろ」
「だから、君の機体を改修したよね、あのハンマー。
岩盤採掘仕様に。
それに言ったよね、君の機体が岩盤採掘に適しているから今回の依頼が来たって?
一応だけど納得したよね!ねぇ!!」
流石にソプラ・バリトンもむきになっていた。
普段、冷静に努めている彼女も年相応の反応を見せていた。
その勢いにひるむノブテル・ミズマは、
「わかっている。
でも説明を聞いた時は問題なかった。
現場に来て状況を見て気が変わった。
なんだ、こいつらは!なんで学者連中がいる!!
あの岩盤の向こう側に何かよからぬものがあることが確定なんじゃないのか!」
周囲を見渡しながら吠えた。
周囲には資源開発関連の業者だけでなく、
場違いの学者連中もいた。
そして、その学者たちには見覚えがあったのだ。
以前、遺跡惑星での解放戦その時に見かけた者たちもいたのだ。
つまり、この依頼はきな臭いのだ。
それが、彼の不満の原因でもある。
資源発掘にかこつけて呼び出して、その先にある面倒事があの岩盤の先にある様で
気に入らないのだ。
その事に彼女も気づいていた。
気づいたのは、この場所についてからなのだが…
「文句言っても仕方ないじゃない。
それに気づいたのは、私だってここに来てからよ!
騙し打ちされたのは私もなのよ!」
あまりも強気な彼女にひるむノブテル・ミズマ。
「わるかった、わるかったよ。
騙されたのお互い様か…」
彼自身も理解はしていた。
騙されたことにただごねていただけなのだと。
普段たまりにたまった不満を吐き出しているだけだと。
本来ならその不満のはけ口に代理戦を使っていたのだが、
その代理戦で不満がたまるとは思わなかったのだ。
お互いに不満はあるのだが割り切るしかないのだ。
二人は、資源発掘仕様の機体説明に入った。
戦闘を目的とした機体を改修して使うことが今回の依頼だ。
彼の機体は人型でハンマーを使う。
その為、発掘、いや掘削に向いていたのだ。
それに不測の事態には、戦える。
今回の仕事に向いている。
その一点だけで呼び出されたのだ。
今まで血生臭い戦いが続きすぎたのでインターバルがてらに
戦いと縁遠い依頼を受けたという理由だ。
他のメンバーも同じ理由で別の依頼を受けている。
軍からの依頼なのでどうしても荒事が付きまとうのはしかないことだ。
二人ともそのことを今諦めた…割り切った所である。
あちこちで、同じことを繰り返した。
そこで問題が起きるわけでもなく、ただ問題である掘削作業をこなしているだけだ。
学者連中は、掘削された先の岩石の成分を確認していた。
その様子を見て
「これって裏も何も関係なく、穴掘りだけなのか?」
ノブテル・ミズマは、座り込み、掘削の済んだ所を見下ろしながら座り込んでいると
「…そうみたい」
ソプラ・バリトンもそう思っていた。
ここの所、疑うことが多いせいか、無駄に疑ってしまったようだ。
無駄に気を張った反動がふたりとも出てしまったようだった。




