強迫性障害の始まった朝・・・
23歳。正社員で歯科助手をしていた。
職場から家が遠く通勤時間で言えば40分はかかる所で仕事をしていた。
高校を卒業してから、歯科助手として勤める事になり
人数は先生、先生の奥様、後輩が1人、私と人数としては
少数の人数だったので人間関係的にもあまり苦労することもなく
平穏な日々を送っていた。
先生は、無口な方。奥様は、その先生の言葉少なさを代弁するかの
ように私たちに優しく接してくれた。
後輩は、私とは考え方が違うなと思う人ではあったと思うが
それなりに人なつっこく可愛い後輩ではあった。
ある日、いつものように職場へ出勤しようと家を出る。
その頃は、まだ実家暮らしだった。
いつもの様に玄関の鍵を閉め車の方へ行こうと思ったが・・・
足が止まる。
鍵、閉めたっけ・・・?もう1度玄関先へ戻る。
ガチャガチャ2回ほどドアノブを確認する。
閉まってる・・・。
さっき閉めたばかりなのになんで気になったんだろ~。
まっ、そんな日もあるかとその日の朝はそんなに考え込まず出勤する。
その日は1日無事に終わり、家にも無事に帰宅。
次の日の朝、昨日と同じ事が始まった。
また、気になる・・・
ガチャガチャ。 閉まってる。
疲れてるのかな・・・昨日よりは気になるが気にしていても仕方がないと
会社へ出勤する。
私の性格・・・明るくて人の面倒を見るのが好きで仕事は中途半端に
やるのが嫌いで仕事では誰よりも仕事が出来るよう1番になりたいと
思っていた。
何か問題が起きても答えは、白か黒どちらかはっきりしなければ
気がすまない。グレーの答えなどあり得なかった。
おおまかに言ってしまえば、熱い人間で自分の考えをしっかりもち
人の言葉に流されたりしない。いわゆる岩のような人間だったと思う。
今、思えば自分を正当化しすぎていた部分もあったと思う。
何をするにも負けたくない。自分自身に誇りをもって生きていた。
そんな自信家の私が玄関先の鍵の戸締まりをきっかけに変わり果てる
1年が始まろうとしている事は、あの時の私には想像も出来なかった。