ゲーム世界9
探すと言っても、子供が行きそうなところをしらみつぶしに行くしかないだろう。
市全域で探すとすれば、1日は軽く越してしまうだろうが、残り2時間53分で探さなければならない。
ちょっと無茶があるかと思ったが、しなければならない。
老婦人からの話によれば、孫娘さんは甘いものが好きだという。
とすれば、お菓子屋や駄菓子屋のあたりにいるだろうというのが俺が立てた推論だ。
そうなると、あまり多くない。
無線機のセンサーを頼りに、ウロウロとしていると、端っこに、赤い輝点が見えた。
「あった」
思わずつぶやくと、その赤の輝点目指して歩いていく。
残り2時間30分で見つけたのは、かなり幸運だろう。
俺はそう思いながら、急いでその方向へと向かった。
赤色の輝点があった店は、俺が考えた通り、ケーキ屋だった。
このケーキ屋で品物を買うと、HPやMPの回復ができるという。
中へ入ると、忙しそうにしている店員を捕まえて少し聞いてみた。
「すみませんが、小さな女の子が迷子になって、保護していませんか」
「ええ、していますよ」
「その子を引き取りに来ました」
「わかりました、ここで少しお待ちください」
店員はすぐに店の奥からその子を連れてくる。
「この子でしょうか」
俺は無線機を見ながら、間違いなく俺の目の前に赤色の輝点が来ていることを確認した。
「ええ、この子です」
俺が女の子の肩に手をやると、電子音がして無線機にクエスト成功という言葉が出てきた。
「では、よろしくお願いします」
店員が俺に子供を預けて、すぐに別の人の対応に移った。
俺は子供の手を引いて、宿屋へと向かうことにした。




