表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
310/332

33話 文芸部さん


「文芸部さんはミス研の話知ってますか?」


 授業開始より少し余裕を持って教室に行くと設楽さんがすでにいて、ちょっとした世間話をする流れになった。未だに呼称が「文芸部さん」なのはどういう意図なのだろう?


「まぁ、なんか勧誘ポスターがあったという話なら」


「あ、それなんですけど、実はですね、ミス研なんて本当はないんですよ!」


「まぁ、ないですよね」


 恐らくは山城くんの創作であり、それが実在しないことは重々承知している。


「あれ、ご存知でした? もしかしてアキ先輩から話いってる感じ?」


「えっと?」


 アキ先輩というのは漫研の代表たる夕陽アキさんのことだろうけど、ここでその名前が出てくる意味がわからない。


「あれ? そうじゃない。じゃあ、ミス研を作ろうって話は知らない?」


「知らないと思います」


 どうも、僕の預かり知らぬところでミス研の話は発展しているらしい。


「まず、ミス研って部活、一浜にあって欲しいと思いません?」


「いえ、特には」


「ミス研ですよ! ミステリー研究会! あるだけでなんか、一浜の格が上がる感じしません?」


 格が上がる? ミステリー研究会があると学校の格が上がるという論理展開はよくわからない。


「あんまりそうは思いませんけど」


「だって、ミステリー研究会ってなんか、こう、知的集団って感じしませんか?」


 ミス研に知的イメージがあるのはわからないではないが、それ即ち学校の格が上がるというわけではないはずだが。


「あったら、今回の漫研と文芸部のイベントみたいにミス研とも色々できそうじゃありません?」


「それはミス研のメンバーの気質によるものだと思いますけど」


 そもそも、ミス研なんてものはないわけなんだけど。


「始めは誰かの悪戯?か何かだったと思うんですけど、それを見て、漫研の中でミス研 本当になればいいのにって話になったんですよ」


「なるほど」


 別に「なるほど」なんて思うこともなかったけど、とりあえず相槌を打った。


「で、漫研の中でミス研があるってことにして新入部員を募ろうってことになったんです」


 漫研は漫研で架空の部活を作ろうという流れになったと。


「文芸部さん的には、どうですか? ミス研を既成事実にしちゃおう作成」


「あー、えっと」


 今の呼称「文芸部さん」というのが僕個人を指すのか、そのまま文芸部を指すのかがいまいち判断に困る。


「文芸部としてはどうかわかれるところだと思いますが、僕としてはそんなことしても新入部員は入らないんじゃないかと」


「ドライですねー」


 ドライ、なのか?


「うちも漫研も部員がいて一応勧誘をしています。それでも新入部員の獲得には苦労しているわけで、実際には部員のいないミス研をでっち上げても新入生は集まらないかと思います。

 ミス研に興味を持つような人なら、うちや漫研にも来るでしょうし。それがいないのであれば推して知るべしですよ」


「うわ、なんかそれっぽいこと言いますね……」


 それっぽいというか、それが現実だろう。


「文芸部さんって新入生何人来てます?」


「1人ですね」


「うちも1人だけです。まだ春休みですし、本番は新学期始まってからってわかってても焦りますよね」


 本心を言うのであれば別に焦ってない。文芸部としては、別に山城くんだけでも新入部員がいれば問題ない。


「漫研って新入部員何人欲しいんですか?」


「え、そうですねー」


 設楽さんは顎に指を当てて「うーん」と考える。


「10人は欲張りですよね、流石に。5人、うーん、はい、そうですね。5人来てくれたら嬉しいです」


 5人。文芸部としてはそんなに新入部員はいらない。多くても3人までにしてほしい。


「運動部とか軽音とか吹奏楽に比べると文学系は小規模になっちゃいますよね。その分、今回のイベントでしっかり盛り上げましょうね!」


 やる気に満ちた顔をする設楽さんに若干気圧されつつ、「頑張りましょう」と空返事をした。


「あ、お疲れ様です」


 そんな会話が一段落したところで、紺野さんが教室に現れた。


「お疲れ様です」

「お疲れでーす」


「あの、蒼井くん、変なことを伺うんですけど」


「なんですか?」


「Twitter上に生徒会の偽者が出現している話、ご存知ですか?」


 今度はそっちの話か。


「なぜ、僕に?」


 僕がその話に噛んでいることが露見したルートがわからない。


「いえ、Twitter上に偽生徒会を作るという特に意味のない、意図のわからない悪戯をする愉快犯として真っ先に思い浮かぶのは、失礼ですけれど、あの小さい先輩さんだったので」


 なるほど。普段からふざけた行いをしているとこうやって疑われるらしい。


「最初にやったのはその人ではないですけど。でも、面白いって言ってたので話を大きくしているかもしれません。言っておきますが、僕は共犯ではありません」


 紺野さんの視線が些か厳しい。


「生徒会としては迷惑だそうなので、やめさせられませんか?」


 迷惑。まぁ、迷惑だよな、そりゃ。


「一応言ってはみます。聞いてくれるかはわかりません」


「蒼井くんとあの人って、その、付き合ってるんですよね?」


「えぇ!? 文芸部さん彼女いるんですか!?」


「あの、それが?」


 なんだっていうんだ。


「彼女の暴走は止めてください」


 ……無茶言うな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ