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8話 部長の意見は大抵受け入れられる

 実際に受けてみても、やはり課題試験は中間期末に比べてずっと簡単だった。課題にあった問題と数字すら変えずに全く同じ問題が出題されるのだ。つまり、夏休みの課題を全て解いていれば全て解ける。簡単過ぎる。


 課題試験1日目は何の問題もなく終わった。おそらく全て満点だ。何度か解いた問題で、答えを覚えているのだから計算ミスの疑いすらない。


 これならあとも道徳以外は余裕だろう。そう思い、のんびりと部室に向かおうとした。


「蒼井くん、テストはどうでしたか?」


 まぁ、担任に絡まれるのはいつものことだ。


「えぇ、まぁ、大丈夫だと思いますよ」


「佐伯さん、君のおかげでなんとかなったと喜んでましたよ」


「そうですか」


 その情報は、僕にはあまり関係がないだろう。


「今日から部活はあるんですか?」


「たぶん。部長は課題試験には興味がないみたいでしたし」


「真白さんは2年連続で夏休みの課題テストは道徳以外満点ですね。今年は記録更新がかかってます」


 担任の口から部長の個人情報が漏らされた。いや、言っちゃダメだろ、それ。部長だし、そんな感じだろうと予想はできるが、それにしたって言っちゃダメだろ。


「それって、個人情報じゃありませんか?」


「そうですね。なので、私が話したことは内緒にしてください」


 担任はいつも通りの無表情。表情が変わらないので、何が冗談なのかもよくわからない。


「蒼井くんも、どうせ道徳以外は満点でしょう」


「多大な期待ですね」


「今回は余裕があるようですから、クラスの平均点アップに貢献してくれませんか?」


「勉強会なんてやってませんよね?」


「今朝やったでしょう?」


 あれは少なくとも会ではない。


「誰かが訊いてきたら答えるくらいはしますよ」


 どうせ、僕に声をかけてくるクラスメイトなんていない。


「言いましたよ。撤回はなしですからね」


「そう言われると、即座に撤回しておいた方がいいのではないかと感じます」


 デジャブだ。いや、実際にあったのだからデジャブではないが。


「そんなことはないですよ。では、さようなら」


「はい。失礼します」



「ひっさしぶりー」


 パソコン室に行くと元気よく挨拶をされた。その場には文芸部全員が揃っていた。


「お久しぶりです」


 文芸部は夏休み中の活動は夏季合宿(仮)のみだったので、約1ヶ月ぶりだ。


「もうすぐ文化祭だねー」


 今日の話題は文化祭のようだ。課題試験の話はしないらしい。


「まだ2週間以上も先っすよ」


「つまりもうすぐだよね?」


「ああ、そうっすね」


 まぁ、"もうすぐ"とか"あと少し"なんかは人によって捉え方がだいぶ違う。


「文化祭って文芸部は何かするんですか?」


 あと2週間と少しという現状で何も聞いていないのだから何もないとは思うけど。


「食べ歩きとかする。しよう!」


 それは文芸部じゃなくて部長個人の話だ。


「部長はそういう予定なんですね」


「えっ、みんなで一緒に回ろうよぉー。みんなで食べ歩こうよぉー」


 いや、文化祭って物価高過ぎるから買い物はしたくない。一緒に回るのは置いておいて、食べ歩きは回避しなくては。


「一浜の文化祭って食品販売は多いんですか?」


 しかし、紅林さんは食べ歩きにも意外に乗り気のようで、そんな質問をする。


「うん。というより、ほぼ食販かなぁ。お化け屋敷とかもあるにはあるけど、クオリティ低いし、身内受け身内ノリって感じで面白くないよ」


 まぁ、中学の時を思い出しても、文化祭なんて身内受けや身内ノリばかりだった印象だ。それはたぶん高校でも変わらないだろう。高校生のやるお遊びにクオリティは求められない。


「真白先輩のクラスは何やるんですか?」


「うーん、お化け屋敷?」


 部長は身内側だった。そう思ったのは僕だけではなく、


「思いっきり身内じゃないっすか」


 と、大白先輩も言う。


「そんなことないよっ! わたし、クラスの一員だなんて思われてないからねっ!」


 それに対し、胸を張って高らかに悲しいことを宣言する部長。まぁ、僕も部長の同類だが。


「だから、シフトもないんだよっ。わたし最強!」


 部長がそれをメリットと感じているのならそれでいいのだ。


「俺のクラスはまだシフトは決まってないっすね」


「僕のクラスもそうですね」


「私のクラスもです」


「わたしのクラスもわたし以外は決まってないんじゃないかなぁ」


 部長のそれは決まっているとは言わない。いや、決まってはいるかもしれないけど。


「なら、みんなシフトずらしてよ。そうすればわたしが1人になる時間がなくなる! めいあーん。じゃあ、大くん1日目午前、蒼くん1日目午後、紅ちゃん2日目午前ね。で、クライマックスはみんなで回ろう。完璧だねっ」


 なんか勝手にシフトを決められた。まぁ、別にいいけど。


「希望が通るようならそうしてもいいですよ」


「俺も別にいいっすけど」


「なら、私もそうします」


 なんか、この部って部長の意見は大抵受け入れられるよな。ある意味での独裁。別に不満はないけれど。


「わぁ、楽しみだなぁ。食べ歩きー」


 あっ、食べ歩きを回避するの忘れた。まぁ、部長が食べ歩くのを横で見てればいいか。無理やり買わせるなんてことはさすがにないだろう。……ないよな?


「みんな、おごってね?」


 部長の不穏な一言は全力で無視した。

 3章と4章(文化祭編)の区切りが曖昧ですが、まだ2話ほど3章という区分にします。

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