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無花果の回ー21

「よかったですね、計画が上手くいって」



 爺さんは笑った、それだけで答えが出たようなもんだ……


「計画? はて? なんの事か――」


「とりあえず誤魔化すのは息子と一緒なんすね? 良い感じで操られちゃいましたよ。でももう全部わかってるで……神童、悪魔の頭脳でしたっけ? 疲れるでしょ? バカなふりするのも?」


 爺さんは何も答えない、回答を待つ教師のような笑顔で俺を見てくる。

だったら、言うだけだ


「全ての犯行は爺さんの息子ベネットの犯行。

これは間違いない、だが指示してたのは爺さんだ、その悪魔の頭脳で計算して、この計画を作った、勿論最後まで分からない事もある。

何故息子をわざわざ死なせたかって事。

まぁそこはどうでもいいかな……」


 まだ喋らないじゃあ続けましょう。

と言ってもほぼ推測に近いけど……


「まずアテンナに同じHLAが複数人いた理由。

多分だけど爺さんが調べてこの街に呼んだんでしょ? どういう手段を使ったのかは知らないけどもさ。

悪魔の頭脳使ってあの手この手で誘き寄せてベネットに殺させる。酷い話だよ、加えて内臓や足の問題は警察の目をかく乱する為かな? ベネットにはコルティを治す為に必要とか嘘でもついたのかな? 他人の足と内臓をコルティに移植すれば病気が治るとかそんな事でも言ったのかな? どう信じさせたのかは謎だけど」


「ビッテルは……」


 爺さんが何か喋ろうとしたがそうは問屋がおろさねぇ。


「加えてビッテル・ソロウとマキューリ・ラントも同じだよね? ベネットにビッテルを殺させたと同じ日の同じ時間に酒場にいるうだつの上がらなそうな男、まぁネヅって言うんだけど、そいつにマキューリを殺させて同じように警察の目をかく乱させる。

ベネットが行方不明の届け出が警察に上がると顔をぐちゃぐちゃにされた同じような体型のマキューリをベネットだと思わせる。ベネットの遺体を隠してマキューリの遺体をわざわざ見つけやすい所に放置する。

いやぁ~手がこんでるよねぇ~わざと違うHLAの違う人物を同じような方法で殺して、捜査を混乱させる、ベネットに殺されたビッテルのHLAは今まで殺害されてきたハプロタイプB52-DR222。いやはや全くまんまと騙されましたよ」


「ははっ、想像力が豊かだなぁ、爺は感心するよ」


「どういたしまして。

こうしてまんまと世間を騙して、ベネットもわざと自殺に追い込む。

いや~良いように使われちゃったよ。

俺をわざとベネットに向かわせたんでしょ?

俺が内臓キラーを追ってるってだけの理由で、まぁこれは偶然かな。

次は爺さんのこの計画に至った理由とか聞かせてくれたら嬉しいかな」


「……」


「まぁ、あれかな? 父親に対する復習とかかな? 随分厳しい父親だったみたいで、あ察ししますよ」


「凄いねぇ、そんなに調べてるのかい、じゃあ父の性癖はどうかな?」


 爺さん何かどうでもよくなったのか、急に砕けやがった。


「あれ、かな……少年を囲ってる的な?」


「ははっ、やっぱり調べてたのかい? そうなんだよ、普段厳粛で何より貴族としての誇りを重んじる父親は夜な夜な少年を拐って犯すといった頭のおかしいやつでね、その時に思ったんだよ。

このデリ・マイオという家は滅びなければならないと、実に子供らしい正義感だが、その熱は今もこの胸を焼いてるんだよ。テトラ君の予想は大体当たってるよ。でも証拠は無いね、だから儂は捕まえられない」


 そう、証拠がないからどうしようもない、全て俺の机上の空論、せちがらいね。


「それに、儂はまだ最後の仕事をやり残している、何か分かるかな?」


 さぁ? 何でしょ? 俺を殺すとかかな? 沈黙していると爺さんは笑顔になる。


「それはね、コルティの前で自殺する事だよ、そうすればコルティは一人になってしまうだろ。

あの子は弱い子だ決して一人では生きられない……結果コルティも自殺する。

こうしてデリ・マイオの血は絶たれ、儂の計画は完成する。

どうかな? 良い喜劇じゃないかな?」


 どこまでも純粋な爺さんの笑顔は、気持ち悪いの一言に尽きる。

コルティの自殺は俺が止めるよ……



 別れの言葉も言わずに立ち去る。

爺さんの言葉を聞いていると具合が悪くなりそうだ……




ーーー




 バイクで東地区まで移動し、ルウの墓に手を合わせる。


 終わったよ、と呟いても、あの笑顔が返ってくる事は無い。

 ルウに別れを告げた後にふらふらと歩き出す。

気付けばルウが住んでいたプレハブ小屋の前に来ていた。

一度視線を切り、もう一度見ようとすると


 ピリッと静電気が訪れた、ん? このタイミングで俺に敵意を持った奴なんているのか? 感傷に浸りボ~っとしていたせいか背中に誰かがぶつかってきた事に遅れて気付く。


「えっ?」


 っと声を出したのは俺、見ると年端もいかない少年がナイフを持って俺を睨んでいた。

ナイフには血がべっとりとついている。

そして背中に熱、これはどう考えても背中刺されたな……


「お前だろ! 俺のバイクを盗んだ奴は! 返せ! 俺のバイクを返せ!」


 あぁこのガキ、見覚えあるなと思ったら。バッグ盗んだひったくり犯じゃん。

バイク返せって、もうあのバイクは捨てたよバカ! っつかいてぇよ。


「お前のツレはもう俺が殺してやったぞ! あの獣女! 人のバイク盗むからだ! ざまぁみろ!」


「あ? おいクソガキ、今何つった? もしかしてルウを殺したのお前か?」


「名前何て知らねぇよバカ! ただお前と一緒に俺のバイク乗ってた獣女なら俺が殺したぞ! へへっビビったか!」


 ナイフをさらに刺そうとしたのか。勢いよく突いてきた、とりあえず受け止める。


「離せ! くそっお前が悪いんだ! 人のもの盗むから! 全部お前が悪いんだ!」


「そうだな……全部俺が悪いな……そっか……結局ルウは俺のせいで……死んじゃったのか……」


 言葉はそれしか出てこなかった。

異世界だろうが何だろうが結局生きることは不条理って事なのか。


あぁ~くだらね。



俺はしっかりと前を向く……そして……

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