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無花果の回ー14

「テトラ君~約束忘れてるでしょ~」


「あっつ!さーせん」


変態闇医者の訪問をすっかりブッチしてしまった事を思いだし東地区にUターン


先程まで訪れていた家で感じた不快感思いだし眉を曇らせる。


「一応後手に回らないようにしとくかな」


自分に語りかけ情報屋の哀○翔…えっと、ヤザイラに依頼のメールを送る




東地区の公園入り口でルウを下ろす。

この公園は身寄りの無い子供や老人がプレハブ小屋で生活する公園。

政府公認でプレハブに住む住人は仕事(主に公園内での農業)を斡旋してもらう東地区が犯罪者だらけにならないのはこの場所のおかげだそうだ。



「家まで送らなくて本当に大丈夫か?」


すっかり暗くなってしまった、街灯の光しか無いので声を掛ける。


「ウン!ハタケニイッテヤサイトッテクル!ハタケノヤサイヲ、テトラトオバチャンニフルマウ!」


拳二つを胸の前にかかげ気合い十分といった感じた。


「じゃあ俺は闇医者の所行ったら戻るから、晩飯期待しといていんだよな?」


「マカセロ!」


満面の笑みでサムズアップするルウ

何の打算もない無邪気な笑顔に思わずドキッとしてしまう。

黙ってりゃ清純派美少女なんだよな


「テトラ、ウエミテ!」


言葉通りに上を向くと、うおっ!スゲーな。


「ホシキレー!」


転生した直後のウーゴ大森林で見た星空には負けるけどアテンナの星も綺麗なもんだな。


「ルウは星が好きなのか?」


「ウン!」


両手を広げてクルクル回るルウの白いワンピースの裾が小気味良いダンスのリズムを刻むようにルウの魅力を引き立たせている。


「イツカアノホシツカマエテ、テトラニアゲルネ!」


星とルウの笑顔が辺りをより輝かせる虫の羽音がオーケストラのように鳴る、こいつの魅力は計り知れんな。

まるで上質な絵画のようだ。


「テトラ、ダイジョブ?カオアカイヨ?」



「――っ!」


顔近っ!バイクのエンジンを急いで掛ける。


「じゃ、じゃあ行ってくるからまたな!」


手を振り強引に立ち去る。


「マッテル~!」


ルウが小さい身体を浸かって手を振る



クッ!見惚れてしまった。

俺は貧乳より巨乳が好きなはずなんだか、地球にいた時も巨乳物ばかりレンタルしてたはずなのに。

そんな阿呆な事を思い出しながらバイクを走らせる。





ーーー



自分の取った行動を思い出し今更ながら恥ずかしさに身悶えしている少女が公園前に設置されている街灯に照らし出されている。


何故あの人族の男の前だとあんなにも大胆になれるのか少女には不思議でたまらなかった。


少女にとって男は全部が理解出来ない存在だから、襲われたことも一度や二度ではないその度に得意の俊敏性を活かして回避してきたがあの時は本当に危なかった。

もし彼処で彼がテトラが助けてくれなかったらと思うと、少女の足取りは重くなる。



テトラありがとう素直にその言葉を言いたい、でも何だか照れくさい、素直になれない。


さよならを告げられた時は何が起こったのか理解出来なかった。もう会えないと理解した瞬間に涙が出たその直後にバイクに突っ込んで転げ回っていた姿を見てパニック

でも一つ分かったのは力になりたいということ。

テトラの事を考えるとワクワクするドキドキする何故だか嬉しくなる。


これが隣の住んでるおばあちゃんから教えてもらった、恋というやつなのか?



少女は誰に教えてもらった訳でもないスキップをして野菜畑に向かう。



「すいません」


少女は声に反応し後ろを振り向く。




ーーー




「はい、これが五人目の資料。

裏通りの路地で殺害されたみたいだよ」


「ざっす」


「どうかな?」


どうって言われても、ジャック先生を一瞥後に資料に目を通す。

資料には内臓キラーによって殺害された五人目の被害者が写っている。


「…雑、だな」


ポロリと溢す。

俺の返答に教え子が満点をとったような表現で頷くジャック先生、なんだかイラっとする。


ジャック診療所の一室で見た目は浅黒い肌の少年にか見えない(実年齢56歳)変態闇医者(死体愛好家)は


「今までの芸術からは遠く離れているね」


と心底落胆している。

まぁこの変態闇医者はほっといて改めて資料を見る。


資料に写っているは顔面は散らかった子供部屋のように皮膚が剥がされ、眼球は窪み黒い穴になり、鼻と口は何が楽しいのか潰され切り刻まれている

骨格と短髪という事から辛うじて男性だと分かる程度、其ほどこの被害者は見るも無惨な状態だ


「被害者の身元は確認できていないけど恐らくビッテル・ソロウという人物らしいよ、こんな状態だからね確認に手間取っているみたいだけど、警察が管理している行方不明者リストの一覧に行方不明日、身長、体重、血液型が一致している項目が一つあってねそれでビッテルという人物ではないかという線で動いているみたいだよ」


そりゃあ何とも、ビッテルなる人物に手を合わせておく


「先生これって同じ犯人なんですか?」

気になったので質問する、だってこの殺られ方は余りにも


「どうだろうね、似ているけど随分雑だから。内臓は引き抜かれているようだが全然美を感じないし足の切断も途中で放棄しているし。模倣犯の可能性もあるけど」


大きく溜め息をついた後に


「今のところは何とも言えないね


ジャック先生は五人目の資料にはまるで興味が無いように目尻を下げる。


確かに資料の写真で見る男は今まで殺害された被害者の姿と確実に違う


痛々しいまでの顔面、腹部はイタズラのように開かれ汚れた雑巾のようだ、太腿は刃物で切り取ろうとした傷痕が目立つが切断まではされていない。


被害者達の共通点、穏やかな表情、綺麗に開かれしぼんだ風船のような腹部、機械で精密に切断したかのような断面を除かせる太腿。

変態闇医者的に言うと一種の芸術作品のような死体とは違いただ無残に殺された印象だ、同じ犯人とは思えないが、


「五人目の人も同じHLAなんですか?」


「えっ、どうだったかな…ちょっと調べるね」


部屋の片隅にある机に座りパソコンで何やら調べだすジャック先生、五人目の資料に興味が無いのかスゲーおざなりだ、あんたは本当死体にしか興味がないのな


「どうやら違うみたいだね、型は近いけどハプロタイプB52-DR222では無いみたいだよ」


「違う?それだと前四つとの共通点と今回の事件には矛盾が出てくる、じゃあ猟奇殺人に便乗した模倣犯って可能性が高いってことか」


「一概には言えないけど、四人も殺した人間が五人目で人間を殺す快楽に目覚めたという可能性もあるしね。

猟奇殺人を犯す人間の思考は一般人には雲を掴むような感覚だ、故に同一人物という可能性も充分にある」


諭すような口調でジャック先生は続ける


「まだまだ荒は探すけど犯人逮捕の手かがりになるような証拠は見つからなかったね」


「いえ、情報ありがとうございますこの件は警察は」


「勿論知ってるよ」


「ですよね~」


連続猟奇殺人事件、内臓キラーの事件は思った以上にやっかいだ、有力情報を警察に売ってサクッと儲けようと思ったけど難しい、そうそう上手くはいかないか。



ジャック診療所を後にしバイクでスーがいる公園まで向かう途中で着信、体内通信に切り替え電話に出る。



「はい、テトラ」


「おう、ヤザイラだ依頼された件を調べたぞ」


「仕事早いな~流石アテンナ一の情報屋、で結果の方は?」


「デリ・マイオ家だが大貴族の出生らしいな、アグニカ国の昔の文献に名前が有るくらいだ相当有名な貴族様だったみたいだぞ」


まぁ貴族だろうなとは思ってたけど予想通りだなあんな大声だすくらいだし。

コルティの顔、次に爺さん、その次にあのガタイの良い親父を思い浮かべる


「と言ってもあくまで昔の話しだ、今は没落貴族の一員に過ぎない。税収の不均衡・海難事故による損害

領地も手放した今デリ・マイオ家はもう貴族と呼ぶのは難しいだろうな。

跡継ぎのベネット・デリ・マイオは元軍人だが今は一般の商社に勤めるサラリーマン、元妻は他に男を作って駆け落ち、子供は前の情報通りコルティ一人」


コルティの父親、ベネットは規律に厳しい元軍人だったのかあの怒鳴り声は迫力あったもんな

『貴族としてのプライドがないのか』だったか。


「ベネットが妙に貴族に固執している節があったが、そこら辺は何か分かるか?」


「恐らくベネットは祖父に随分厳しく育てられたみたらしい、その祖父の影響かもしれんな。今際の際が『デリ・マイオ家は貴族たれ』らしいからな」


「祖父?」


「シトロ・デリ・マイオ、その業界では結構有名なんだぞ、とにかくやり手の男だったそうだ。

だが親が優秀過ぎたのか息子のシャルクは凡庸でな、シトロからノーマンに世代交代した途端にデリ・マイオ家はどんどん廃れていきその影響で様々な事業が解雇と倒産の嵐、その煽りで領地を手放したり何なりで今は貴族と呼ぶのも難しい状態って訳だ」


いかんややこしくなってきた。

コルティの父ちゃんが怒鳴ったベネットで、ベネットの祖父が厳しいシトロ、シトロの息子が好好爺のノーマン。

って事は、あの好好爺がノーマンになるのか、杖を突きながらお茶を入れ直す持ってくる爺さんの姿が思い浮かぶ。

あの人がデリ・マイオ家を衰退させた、その責任を感じて自殺行為ってところかな


コルティの家に訪れて一番驚いた事、それは爺さんが俺の茶飲みを持った時に見た大量の手首の傷

弛んで皺だらけの皮膚を抉りだすかのように傷痕が濃く密に刻まれた年輪のように何本も何本も存在を主張していた


最初は何かの見間違いかと思ったが俺の視線に気付いた爺さんはそっと袖口で傷を隠したから間違い無いだろう。



「なかなか複雑な家庭環境みたいだな」

思わずつくため息。


「報告は以上だ。さらに深く調べるには追加料金が発生するがどうする?」


迷うな……でもコルティの最後のあの顔とか思い出しちゃうと何だかなぁ



「一応内臓キラーと併せてデリ・マイオ家の方も深く調べておいてくれ」



「まいどあり」


「よろしく翔さん!」


泣き笑いの仮面が何かを喋ろうとするが体内通信をoffにする。



内臓キラーを追っているはずが変な家庭に首を突っ込んでしまった






公園に着くと人だかりができていた、バイクを降り近づくと妙な雰囲気だ、東地区のガラの悪いあんちゃんやら売春婦どもがひそひそ話をしている。




「またかよ、」

「もう引っ越した方がいいかしら」

「どこ行っても危ないだろ今は」

「警察も憲兵も騎士団も当てになんないなぁ」


回りを見ると警察、騎士団、警備兵の憲兵がいやがる、何だ、何があったんだ

妙な胸騒ぎがする。



「お兄さん、あぁ、」

人混みを掻き分け俺に縋り付こうとする婆さんがいる、あれ、この人って確か、



「ルウちゃんが。ルウちゃんが、」


婆さんは言葉を続けられない涙と嗚咽で喋れないようだ

それよりも今なんて言った、

「ルウが…」が何だどうしたんだ、急激に体温が沸騰するように熱い、だが今は無視だ次の言葉を聞かないと、でも、でも



「ルウちゃんが殺されちゃったよ~」



はっ?



何言ってるんだ婆さん?頭大丈夫か?ルウが、



ルウが殺された?

そういう嘘はいらないから

婆さんがむせび泣く姿が胸をかきむしる。


殺された?


その場を駆け出す!人混みが邪魔だ!邪魔だ、退け、殺すぞ!

人混みの最前列で何かにぶつかる、壁?透明な壁か、

邪魔くせぇな!拳を全力で叩きつけるが壁が消えない、壊せない

邪魔だ。殴ってりゃ壊れるだろ

何度も、何度も、


「おい、アンタ警察と騎士団の結界を壊したら捕まるぞ!」


あっ?結界?知るか!ルウの姿を、とりあえずルウに会わせろや!



「おい!貴様なにしている!」


警察と騎士団が腕を掴んできたが振りほどいて警察の胸ぐらを掴む


「おい!ルウはどこだよ?知ってるんだろ!」


「離せっ、苦しっ」


冷静ではいられない早く会って無事を確かめないと



「攻性ギルドのテトラだな!」


結界の奥からスーツの男が呼び掛けてきたので


「そうだよ、何か用かよ?つかスーはどこだよ!」


瞳孔が開くと同時に怒りも高まる何だこのオッサンは


「お前を殺人容疑で逮捕する」


「はっ?……上等だよ!」


余りの意味不明さだ何言ってんだコイツ!

警官が俺の身体を拘束しようとするが振りほどく騎士甲冑の奴が何人も来て俺の動きを封じる!



「くそっ、離せ!どけっこらぁ!」


暴れるが何人もの人間に手や足を捕まれ地面に組伏せられるてしまう

顔を上げると一台の担架が横を通る!



おいおい嘘だろ


「ルウ!おい!目を開けろよ!!おい!くそっ、てめぇ離せよこらぁ!!」




叫んだ叫ばずにはいられなかった

青白い顔をして口端には血の跡、眼を閉じているがその眼は重く閉じられている



「ルウ!」


呼び掛けに反応しない


俺の声はもう届かないのか



担架で運ばれていくルウを最後まで見送れないまま俺は騎士甲冑の奴等に別の場所へと連れていかれた。

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