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無花果の回ー13

「私、信頼と実績の攻性ギルドのテトラと申します。

改めて確認なんですかコルティ・デリ・マイオさんご本人でお間違い無いですか?」


「はぁ」


あっ、めぇっちゃ疑われてる。そりゃそうだよね家の庭でギャーギャー騒がれて覗きに来たら変な男と貧乳の獣人が揉め事してて声かけたら急に真面目な顔で挨拶されても普通は疑うよね。


うん、その気持ちは分かる。

ただ何がムカつくってとなりの貧乳獣が大量のゴキブリ見ちゃたみたいな不快な顔して此方を見てるのがムカつくね。


若干お前のせいで疑われてるようなもんだぞ。


「あの、さっきも聞いたけど何かご用ですか?」


「えっと」


やべぇ勢いで来たのはいいものの何を話していいのやら、いい天気ですねみたいな急に世間話しても変だし君のHLAは狙われているって言っても変だし……どうしよ


「ギルドの人なら犯罪関係の何かですか?」


「あ~、えっと、そんな感じです。」


「・・・」


「・・・」


沈黙が気まずい


「……狭いですけど家に入りますか?」


「ハイル~」


お前が答えるなよ!でも微妙な空気が柔らかくなったから良しとしよう!

今まで邪魔しかしてこなかったけどよくやった貧乳


俺の視線に気付いたルウはニヤリと笑い顎で指示を出す、その動作がムカつくがまぁいっか。





玄関を開け中に入るとフローリングにゴムを擦り付けるような独特な摩擦音が響く。

音の方角にはコルティがいた。


「ソファがあるので座って下さい。」と告げ摩擦音を響かせ奥に向かう。

家の中はオープンタイプの広い室内に奥側に扉が二個あるのみ、簡素という言葉がピッタリと当てはまる。

ソファに座ると同時に


「アシドシタノ?」


と天然爆弾を落とす貧乳


「おまっ!そう言うことはもっとデリケートにだな」


「いやっ気にしなくて良いいよ生まれつきだから」


苦笑しながらコルティは自信の太ももを触る


「別に不便じゃないし」


コルティの脚は太ももから先が無い、太ももの断面を擦りながら


「周りは苦労してるみたいだけど」


と皮肉な笑顔を貼り付ける。

車イスを器用に操り摩擦音を響かせながらキッチンに向かい


「今お茶だすので」


と告げるコルティは茶色い髪を肩口まで伸ばし碧色の瞳の美少年だ年相応な笑顔ではなくひどく大人な顔つきだ。




「で、何のようですか?」


お茶を啜りながらチラリとコルティを視ると綺麗な碧色の瞳を向けている、全く熱がない乾いた碧色を。


「え~と、コルティさんは最近何か視線を感じたり、誰かに狙われてるとか無いですかね?」


思わず敬語になってしまうコルティはそういう人物だ。


「えっ、特にないですけど。そもそもこの家から出ないし会話するのは父とお祖父ちゃんの二人だけだし」



「そうですか」



「・・・」


「・・・」



やべぇ~会話が続かねぇ~他何を聞けばいいんだ、色々質問決めてから訪ねりゃよかった俺のバカバカ!

こんな時こそルウお前の出番だろ空気読まない発言でこの場を和ませ……



「フゥ~ンガッ、フッ~」



寝るなよ!全く可愛くない寝息立ててんじゃねぇよ!



「僕が誰かに狙われているような言い方だけど、そうなんですか?」


「いえいえ、あくまで僕個人の考えなので正確に狙われているとは言えないんですけど」


コルティは怪訝な顔で考え込み値踏みするような視線で俺を見据えてくる。

その表現は17歳という年相応には見えず俺は居心地の悪さを感じる。



「家の前で騒がれて何事かと思ったら騒いでる張本人に誰かに狙われているって言われても正直信用できません」


確かに、俺なら家にすら入れないだろう


「でも貴方は詐欺師にも見えないし人を騙そうっていう風にもみえない。

もし僕が誰かに狙われていると過程するとしたら。とても不安になるので詳しく教えて下さい、警察や家の者に相談したいので」


「分かりました」


確かにコルティの言うとおりだな。仮に俺が誰かに狙われてるって言われたら気味が悪いし単純に不安になる、変に不安を煽っちまったようだな。

反省


「内臓キラーってご存知ですか?」


今度は訝しいむ表情を貼り付けるコルティ


「それは今朝方ニュースにもなっていた連続猟奇殺人事件ですか?」


「えぇまぁ」


ニュース観てないから曖昧な返事を返す


「確か…お腹を開かれて内臓を全て抜かれて、ですよね」


「そうです」


緊張感が漂う部屋の中に皮肉な笑い声が響く、コルティの顔は今度は自嘲めいた表情を貼り付ける

そうあくまで貼り付けている


「でも可笑しいなぁ、被害者は殺された後に足を切られているんですよね?

僕は足がコレ《・・》なんで犯人はガッカリするんじゃないかなぁ?」


余りのブラックジョークに苦笑いしかできないよコルティ君!

と内心でツッコミしか出来ない俺


「まぁそれで僕の人生が終わったらそれまでって事なのかな…」


「まぁ、そうならない為に僕が来たというか何というか」


「それに僕もうすぐ死ぬんですよ病気で」


「えっ?」


コルティの大分エッジの効いた目線が俺に突き刺さり口を開く寸前


「コルティお客さんかな?」


奥の扉が開くと老人が顔を出す


「おじいちゃん寝てなくていいの?」


「今日は調子が良いから大丈夫だよ」


コルティのおじいさんかな?禿頭の腰の曲がったいかにも好好爺が杖を突きながら俺にニッコリと微笑んでくる。

俺もスマイル0円で対応


「薬は飲んだの?」


コルティの声が年相応の色合いに戻っていく。おじいさんを見る表情はさっきまで俺に向けていた仮面ではなくあどけない素顔だ。


「コルティは心配性だね、薬はちゃんと飲んだよ。こちらの方達はコルティの知り合いかな?」


「えっと、この人達は」


困った顔でコルティが俺を見てくる確かに説明はしにくいな俺の立ち位置はどう言ったもんか。


「コルティのお友達かな?」


コルティ目が泳ぎまくりで「あっ」とか「うっ」とか言ってる姿はさっきまで感じた人生を斜めから見ているよりは随分可愛らしい姿だ。


「はい。コルティの友達のテトラと言います今日はお呼ばれしたので遊びに来ちゃいました」


この言葉にコルティは困り顔だが爺さんは


「コルティが友達を連れて来るなんて」とえらく嬉しそうだその後は他愛もない話を三人でし途中でルウも話に加わる



日も暮れてそろそろ帰ろうかなと思った時に


「ところでテトラ君は学生じゃないよね?何かの仕事でもしてるなかな?」


「ジイチャン、テトラハコウセイギルドダヨ。」


あっ、こいつ。


「ほぅ、若いのに凄いね今は何かの依頼でも受けてるのかな?」


爺さんの問いかけに言葉が詰まってしまう


「ナイゾウキラーダヨネ?」


無邪気爆弾と名付けよう


「あの、連続猟奇殺人に?」


爺さんは眉値を寄せ疑問を空気に纏いつかせて俺を見る

俺は苦笑いしながらコルティをみるとまた目が泳ぎまくってるぞ


「テトラ君あまり無理しないようにな、どれお茶を入れ直してこようか」


俺の茶飲みを持って立ち上がろうとするとコルティが「僕がやるからおじいちゃんは座っててよ」

「初めて連れてきた友達なんだから座ってなさい」

といったほのぼの光景だが。

不意に見た箇所に目が丸くなる。

爺さんは俺の視線に気付いたのか茶飲みを持つ手とは逆の手で袖口を引っ張り手首を隠す。


「もうそろそろ帰ろうと思ってたのでお構い無く」


「エ~オチャモラオウヨ!」


「黙れ無邪気爆弾め!もう帰らないと迷惑がかかるだろ」


「まぁまぁそう言わずに後一杯だけ爺に付き合ってくれ」


爺さんは優しく笑い台所に向かって歩き出す。


「そういえばテトラ君は何処に住んでるのかな?南地区内?」


「住んでる所は」


「ヒガシチクダヨ!」


なんでさっきからお前が答える


「そうか東地区かなら違う(・・)か。」


誰の耳にも聞こえない声量で爺さんが呟く。

違うって何が?コルティが心配そうな眼差しで爺さんを見ている。



「ただいま」


玄関が開くと同時に低音の声、声の主は茶色い髪に碧色の瞳背も高くガタイが良いのかスーツが苦しそうなオッサン。

顔はダンディな40代後半かな、やんわりコルティに似てるって事は



「お帰りなさい父さん、あの実は、、えっと…」


「どなたですか?」


コルティに父と呼ばれた男は部屋の中の異物である俺に明らかに良い感情を抱いていないようだ

コルティは明らかに狼狽し何かを言おうとするが口ごもり下をいている。


「ベネットこの子はコルティの友達でテトラ君」


「父さんには聞いてないだろ!コルティ、ちゃんと説明しなさい」


怒号が飛び痛いほどの静寂が流れる

いやっ、なんか、すいません。でもそんなに怒らなくても…



「父さん、友達のテトラです。勝手に家にあげてすいません」


コルティの父ベネットと呼ばれた男が俺に笑顔を向けてくる。


「テトラ君わざわざ訪ねてきて貰って悪いんだが、コルティは薬を飲む時間なんだ、父の介護もあるので今日は帰って貰えるかな?」


この父親も息子と同じで仮面を張り付けているんだろうな。本心では絶対に俺をバカにしてそうなのが雰囲気と目で分かる。


「いえっ、すいません。丁度今帰ろうと思ってたので、長々とすいませんでした」



ルウは状況についていけずオロオロしてるので一礼した後にルウの手を引っ張って玄関に急ぐ


「あっ、送ってくっ」


「コルティ!」


先程の怒号とは比べ物にならない、もはや罵声にも近い声がベネットから発せられるただ大きい声を出しただけじゃない。纏う空気が冷たく重い。


「お前には貴族のプライドが無いのか!恥を知れ!」


堪らず振り替えるとスーツの上衣を叩きつけるベネット、下を向いて「ごめんなさい」と力無く答えるコルティ、拳を固く握り怒りか悲しみかは分からないが顔に影が射す爺さん。


「お邪魔しました~」


余りにも空気が重いからそそくさと出よう、この空気を作り出したのが俺だと言うのがなお辛い。玄関を背にお辞儀をするとコルティと目があった。



「・・・・」


口が動き無声で何かを言ったのだろう俺はニッコリと微笑み扉を閉めた。


閉めた玄関扉からは怒鳴り声がきこえるが扉一枚隔てた家の防音設備からははっきりと内容までは聞き取れない

扉一枚だけなのに向こう側の世界は随分遠く感じられた。



「テトラダイジョブカ?」


「あぁ、にしても『ごめんね』か。」


「ン?」


やっと年相応な言葉が向けられたと思ったら謝罪だもんなぁ




「どうしたもんか」


ルウが伺うように心配顔向けてくるので向き合う、思わず苦笑し右手を握り直す



今はこの温もりだけが救いだな。

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