無花果の回ー11
「テトラ、ネボスケ! オキル!」
んあっ。
痛い、痛いって
「叩くなルウ子、今起きますよ。」
昨日は帰るのがめんどくさくなったからルウの家にそのまま泊まったんだったな。
床で寝るのは身体が痛いぜ。
携帯を取り出して時間を確認、13時か。
右上のアイコンに電話のマークが表示されとるけど、、
着信があったようでたが全く知らない番号だな。
いや、そもそも俺の携帯にはババアとコウ君しか登録されてないんだった。
見知らぬ番号に電話お掛ける。
「もしもし、テトラ君かい?」
あら、この若々しい声は。
「ジャック先生ですか?」
「そうだよ、これ私の携帯番号だから登録しといて」
俺の電話帳に変態が一人加わってしまった、どうせババア辺りにでも聞いたんだろうな。
「電話したのはね、内臓キラーで一つ言い忘れてた事があるんだ」
「ハイハイ! どんな事すか?」
「ん~ザックリ言うと有り得ない事が起こったって感じかな」
有り得ない事? 何やら穏やかではない予感。
「テトラ君はHLAって知ってる?」
「HLAですか? 何ですかソレ? 全く知らないですね?」
「そうだよね。HLAはHuman Leukocyte Antigen=ヒト型白血球抗原って言われてる物でね。 白血球の血液型の事なんだ」
ん? 何? 白血球……何?
「HLAは、ほぼすべての細胞と体液に分布していて、組織適合性抗原、ヒトの免疫に関わる重要な分子、として働いていることと言われててね」
「ちよっ! ちょっと待って下さい先生!専門知識が全く無い俺にはサッパリなんで、もっと解りやすく言って欲しいです」
「そうだよね」
変態闇医者は「どうしようかな~」「説明が難しいな~」と困っているようだが何故か声色は嬉しそうだ。
「HLAは血液型のようにA、B、C、ABの4種類ではなく数万通りあると言われていてね」
「ハイハイ」
あらら、血液型の呼び名もあっちの世界と同じか…誰が血液型の呼び名を決めたのか気になるな。
「でね。今まで殺害された方たちと言うのがHLAの型が全て一致してるんだよ」
「ハイハイ」
「いくらアテンナの街が広いからと言ってもこんなことは有り得ないんだよね。HLAは両親からその半分ずつを受け継ぐため、親子や兄弟の間でも一致する確率は低いし、まして非血縁間だと数百〜数万分の1の確率でしか一致しないといわれていてね」
「ハイハイ」
「あっ、因みに造血幹細胞移植や臓器移植では、自分のHLAのタイプに合わないものはすべて異物と認識して攻撃を始めてしまうため、HLAの適合性が重要視されているんだよ」
「ハイハイ」
「この事から臓器移植の手術や造血幹細胞移植等の手術がなかなか出来ないんだよね、HLAが同じ型のドナーが見付からず手術待ちの患者が後をたたない」
「ハイハイ」
「テトラ君、ちゃんと聞いてる?さっきから片言のハイハイしか聞こえないけど?」
「ハイハイ」
「……分かりやくす言うと、同じ型ののHLAってのは探すのが難しいんだ、なのに殺害された被害者のHLAは全て同じ型。アテンナの街で数千万~数億分の一の確率が起こったって事かな、100億エーンの宝くじ当てるより難しいね」
「……宝くじってあるんすか?」
「そっち? まぁ宝くじは普通に売ってるよ」
もう驚きはしないが日本とほぼ大差が無いんだよな~
「よかったら今から来ないかい? 五人目の被害者の写真も手に入った事だし」
またグロ写真を見せられるのか、後何だっけ…HLA? の説明も直接会って聞いた方が分かるだろうしな。
「そうっすね。まだ東地区にいるのですぐ行けると思います」
「はいはい、じゃあ待ってるね」
変態闇医者との電話が終わると、直ぐに別の番号から電話がかかる。
また知らない番号だ、何だろう嫌な予感しかしないな。
「こちらの番号は現在使われておりませ」
「明らかに人の声がするな、テトラってのはお前か?」
携帯から聞こえてきた声はハイトーンの癖のある声
この声に俺は思わず。
「マジか哀○翔が異世界に来ているのか!」
「あ? あい? 何だ?」
あまりに声がそっくりだったから興奮してしまった、絶対変な奴と思われただろうな
「えっと。テトラは私ですがどなた様でしょうか?」
「なんだ、合ってたのか。ロリータのババアからの紹介であんたに電話したんだ。情報屋のヤザイラってもんだ」
ババアからの紹介か
「あんた金の羽振りがいいって聞いたんでな、欲しい情報があったら贔屓にしてちょ」
ツーツーツー
それだけ言うと電話わ切れてしまった。
情報か…携帯を操作して電話を掛ける
「はい、ジャックですけど」
「あっ、先生すいません。教えて欲しいですどさっきのHL…なんたらの事で」
「HLAね。何が知りたいの?」
「被害者のHLAの型は全部一緒って事でいんですよね?
型の名前っていかどんな名称か知りたくて」
「興味持ってくれてたの?嬉しいなちょっと待っててね」
「いやっ、別に興味は無いんですけど知りたくて」
「えっとね。ハプロタイプB52-DR222ってタイプだね」
「ん?………ハプ…2?」
全く聞き取れない言葉に苦戦しながらメモを取り
「アザっす!」
のことばで電話を切る。電話口で変態闇医者は何かを喋っていたが長くなりそうなのでとりあえず無視。
そんでもってまた電話を掛ける。
相手は勿論、
「なんだ? もう情報の依頼か?」
「翔さんアテンナの街にHLAの型がハプロタイプB52-DR222って奴が何人いるかっつか何処にいるか知りたいから調べと。」
「HLA……あぁ、あんたもあの件調べてんのか。
少し時間は貰うぞ、にしても翔さんって俺の事か?」
「よろしく~」
ふぅ一仕事終えた的な感覚、いわゆる適度な疲労感に襲われ再度煎餅布団に潜り込もうとすると
「テトラ! ナンデネル! サッキノデンワイミフメイ!メシツレテケ! ソウキョウニ!!!」
あっ! こいつの存在を忘れてたな
「居たのかルウ子、その薄いまな板のような胸が存在感の薄さに拍車をかけているのをまず認めるところから俺に飯を奢れてほたえる権利を与えよう」
「テトラ…ユルサナイ」
ルウが護身用の短剣を構え襲ってくる片手で頭を抑える、手足をバタバタと暴れさせるが無駄な努力だ。
でもまぁ、腹は減ったな
「しゃあないなルウ子よ、此処等で美味い飯屋に連れてけ、それで昨日のお尻の件はチャラにしてやろう」
「マダネニモッテタノカ! テトラウツワチイサイ!」
等と下らないやり取りをしていると着信音が鳴るディスプレイ表記を見てみると哀川翔からだ。
「もしもし翔さんすか?」
「だから誰だよ翔って! HLAの件調べ終わったぞ」
「あら! もう調べたんだ、仕事早いなぁ~」
「そりゃあ俺様はアテンナで一番の情報屋だからな!」
電話の向こう側では絶対ドヤ顔なんだろうなと思わせる自信満々の声、その声にはますます
「翔さん…」
と言わざるを得ないな。




