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無花果の回ー5

「わるくないね」



店にある鏡を見ながらロリータ屋のおばゃんオススメの服に袖を通す。

伸縮性がある黒のジーパンに黒のブーツ腰にはナイフを収納できるゴツいベルト上半身は黒のインナーの上に丈が半分程の黒のライダースジャケット。

全身黒コーデ

パンツと靴下は赤色にしておくという俺なりの隠れお洒落。



極めつけは黒のハーフフィンガーグローブ。

うん!このグローブがより中二感が出てなおよろしい。

後はアレ(・・)があればま……聞かずにはいられない


「黒いバンダナとかってある?」


「あるよ、ちょいとお待ち。」


オバサンはカウンターの下をごそごそとまさぐり黒い薄布を取り出した。

「こんなんでいいかい?」

黒の薄布の中心には白色の幾何学模様が広がるようにデザインされているよくあるバンダナが登場。


「ありがと」


三角に折り顔半分鼻から下を隠すように巻き後頭部で結び付ける。



おぉまさに武装○線だ鏡を見て頷いていると。

「客の趣味嗜好に口出しはしないけど犯罪者と間違われないようにしなよ」

軽いツッコミが入る。


「一応そのバンダナも毒耐性や麻痺耐性の効力がある一級品だよ」


毒に麻痺か、まさにロープレだな

バンダナは首もとに緩く巻いておくとして。

改めて鏡を見ると。やっぱり若返ってんな16~8歳位の頃の俺だと思うけど。

自分でいうのもアレだけどさ、うん本当にアレだけど。まぁまぁのイケメンやな。


そう!基本俺は平均+位の顔立ちだ。

学生の頃は兄のイケメン具合に影を潜めていたが俺だって其なりさ。

うん、そう、それなりさ!



やめよう、なんだか悲しくなってきたからやめよう


異世界転生されて若返るか。

これは俗にいうハーレムルートがあるのやもしれん、33歳の汚いオッサンのままだと絵面的に良くないしねその為に若返ったのだとしたら、俺にはハーレムルートを作らねばならないという大義名分があるな。



「何ブツブツ言ってるんだい?どうするお兄さん買ってくかい?」

ニヤニヤ笑いながら尋ねてきたのでこちらもニヤニヤしながら返答しとくか


「お買い上げで」


「まいどあり」


ババアは扇子を勢いよく広げ仰ぎ出す。


「トータルで25万エーンだけども初回サービスでまけとくよ、今後も御贔屓にね」


どうせ25万もせず本当は17万位の値段だろうが。軽口には軽口の応酬


「店の商品を見る限りこんな洒落た服が出てくるとは予想してなかったな」


周囲を見た後でババアを見ると爬虫類の笑顔が返ってきた。


「まぁ、うちは色々あるからね。本当に色々ね」


なんだか本当に色々ありそうなので深くは関わらない方がよさそうだな。


「そういや看板見たけど情報屋ってのもやってるんだよね?リョウ・シンザキって知っている?」


当初の目的リョウ・シンザキの居場所を突き止められれば御の字だな。


「国の英雄かい?」


知っているか有名人なんだな。

頷いていると


「そうだね。詳しくは知らないけど10年前位にアグニカにふらっと現れて戦争を和平に導いたり、亜人との戦争で活躍したり、魔物、異形の方を倒したり位しか知らないね」


「何処にいるかとか知らないの?」


「アグニカの英雄って呼ばれてるけど見たことも無いからね。何処にいるのかも分からないよ」


なんと、見たことも無いし何処にいるか分からないか。


「そういえば」


ババアは何かを思い出したように扇子をピシャリと閉じる。


「三年位前だったかね、リョウ・シンザキと同じ世界から来たっていう女の子がいたんだよ」


ほう。それは初耳だ


「街中でリョウ・シンザキに会いたい。

私は同じ日本から来た、だから私を助けろとか何とか叫びだしてね」


あら!日本というワードが出て来てしまった、その女も俺と似たような境遇だったのかな。


「兵士や騎士達が大勢で来てその女の子を捕まえて城に連れてっちまったてさ。

【あの子は城に行く途中でやっと同じ日本人に会える、救われた】って繰り返し呟いてね、何日かたった後に城の兵士が街の中央広場で演説を始めてさ。

【数日前に現れた英雄リョウ・シンザキと同郷の国から来たと叫んでいた女はただのペテン師だったので騙されないように。とか何とか言い出して同じように英雄リョウ・シンザキの同郷から来たというの者がいたら直ぐ我々アグニカ騎士団に情報を届けてほしい】

とか言い出す始末でね。

でも私にはあの女の子が嘘言ってるようには見えなかったけどなあ凄い真剣だったし」


あらららら!とんでも無い方向に話が進んじまったな。

ペテン師扱いされちゃうのかよ



「知り合いの騎士にあの女の子がどうなったって聞いたら。

【分からない】って言われてさ何でも最高機密事項らしくて一部の人間しか行方がわからないみたいなのよ。

なんか怪しいと思わないかい?」


「随分キナ臭い話だな。リョウ・シンザキに関わると国に目をつけられるって感じだね」


曖昧な笑顔でバアさんに変事をしておく

纏めるとリョウ・シンザキには二人っきりで会った方が良さそうって事と神代召喚されて日本から来ましたイェイイェイ的なノリはやめた方よさそうだな。


「まぁリョウ・シンザキの件はおいおいって事で」


「おや?諦めてないのかい可愛らしい見た目に反して粘り強いねプラス1ポイント」


何の審査だクソババアと内心で毒づく

リョウ・シンザキには会って色々聞きたいことがあるから結果アグニカからは離れられない。

まぁ他に行く当ても無いし

当分はここに居着くとしてどうやってリョウ・シンザキと二人きりになるかだよな。


「因みにだけど、この街にリョウ・シンザキが来ることってあるの?」


俺の質問に眉根を寄せ考え込んだ後


「アテンナは、キンバーユー区画の中心部かつ中央大陸の外交や貿易の要だからねぇ。

無いことはないよ。何か大事があればアグニカ直系の騎士団や軍人、兵士、警察何かが即飛んで来るからね。

外交、貿易の要の街が危険なら英雄が登場ってのも悪くない筋書きだしね」


なるほどね。まぁ急がば回れって言うし。

それに捕まった日本人の女も気になるしな


「じゃリョウ・シンザキと騎士団に連れ去られた女の事で何か分かったら教えてくれ」



「あぃよ、依頼として受けておくよ。分かった事があれば連絡するよ。携帯だしな」


携帯というワードに思わずここが異世界というのを忘れてしまいそうだ。


「携帯無いんだよね~この店で売ってないの?後財布も無いから売ってくれ。

というか生きてく上で必用な物はくれ、金ならあっから」



俺の発言にロリータばあさんは口をポカンと開け信じられないといった顔。

しゃあないやんこの世界に来たばっかりやもん。


「この情報化の世の中で携帯無いとかあんた本当に大丈夫かい?冒険家は情報が命だよ。

あんた本当に身一つでこのアテンナに来たんだね」



「まぁ、ね」


旅立った時は全裸だったしある意味身一つだな。

ニヤリとドヤ顔でロリータばあさんに【座布団一枚】と心の中で誉めておいた。



買い物を一通り終わらせ。(結局買ったのは財布と携帯だけ)

店を出ようとした時気になったことを聞いてみる。


「そういえばさ、リョウ・シンザキってどんな顔してんの?」


ババアは携帯を弄りながら億劫そうだ


「見たこと無いって言ったろ」


「そうだけど。写真とかも無いの?」


「ないよ。アグニカの英雄って言われてるけども殆んどの奴等は見たこと無いと思うよ、何せ姿を表さないからね」


「ふ~ん」


英雄ってそんなもんなの?

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