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赤リンゴの回ー12

皆さんお早うございます。いやこんばんはかな?


私は虎獣族のティムリカと言います。

ある人からはバースと呼ばれています。


何故バースなのかと聞いたら

「虎いうたらバースに決まっとるがな!なんやワレいてこますぞ!」とよく分からない事を言われました。




仕事は主に海上での強奪、略奪、奴隷商、武器の売買、新天地の開発など俗に言う海賊という奴です。


そんな海賊の私が皆さんの前で何故こんな独白をしているかと言うととても、、、とても辛い30日間を過ごしたからです。



もしお手透きであれば是非聞いてほしいと思います。

我々海賊ティムリカ一家と悪魔の30日間を。





~悪魔との出会い~


悪魔と出逢ったのマーゴ大陸にある海岸でした。私は年に数回ある奴隷購入の為マーゴ大陸に向かいます。取引相手は元軍人の血染め将軍バンター、狡猾で腕も立つなかなか仕事のできる奴。

パートナーとしては悪くない相手です。

しかし何時もの取引場所に行くとバンターはどこにもいません。

奴隷用の檻に入れられている亜人達もいません。

どういう事かと思いバンターの側近ダットがいたので説明を求めました。

するとバンターは死んだ、殺したのは隣にいる人族だとダットはいい言いました、何を言ってるんだと思い再度説明を求めました。何度かダットと言い争いをしていた瞬間私の意識は途絶えました。後で船員達から聞いてみると悪魔に殴られて気を失っていたようです。

目が覚めると私は目の前の光景に目を疑いました。

我がティムリカ一家の精鋭達が山の用に幾重にも折り重なっていたからです、皆舌を出し白目を剥いて気を失っている状態でした。その光景にどうしていいか分からず状況を整理しようと立ち上がると船員達の山の頂上から声がしました。


「おっ!やっと起きたか」


それが悪魔の第一声でした。


「アグニカまで連れていけ!返事はハイかyesのどっちかだ」


私は憤怒に駆られました、目の前の人族のガキがウチの可愛い船員をボコボコにしたのは間違いない加えてシャーレ海峡の蛮勇とまで呼ばれている私に偉そうな態度をとったのですから。腰にあるシミターを手にし人族の子供に襲いかかります。そしてまた記憶が無くなりました。最後に見た光景は悪魔のじつに悪魔らしい笑みでした。




~悪魔との契約~


気がついたら私は自分の部屋のベッドで横になっていました。あれは悪い夢だったのか、そう思った時に


「やっと起きたか」


夢じゃありませんでした。私は体から熱が抜けていく間隔を覚え手足の震えが止まらなくなりました。上手くベッドから立ち上がる事もできません、悪魔は私しか座ることの許されない船長席に座り脚を机の上に投げつけ優雅に木の実を食べていました。


「お前が船長何だってな、とりあえずこの船はアグニカに向かってるから。船員達に感謝しろよでなけりゃお前死ぬところだったんだから。まぁ拐われた亜人達を考えると今すぐ全員殺しても良いんだけどな」


死という言葉がチープに思えるほど目の前の悪魔の寛ぎ具合に何とも言えない気持ちに陥りました。

また悪魔に斬りかかろうかとも思いましたが。今はその時ではないと悟ります何故なら本能が奴に逆らうなというSOSサインを全力で出しているからです。いつかいつか悪魔を殺す機会を待とうそれまでは従うふりをする事にしました。


「なぁアグニカまでどれ位かかるの?」

「……90日間あれば着きます」

「えぇ~長いよ~そんなに待てないから30日で行って」

「それは無茶です!」

「あん」


眉をピクリと動かし鋭い目付きになる悪魔


「前も言ったけどお前の返事はハイかyesの二つだけだから」

「いや30日は無っ―――」


衝撃と共に消え去る意識、また気を失いましたどうやら思いっきり殴られたようです。前途多難です。





~悪魔のワガママ~


「知恵の実が食いたい」


船の整備、海の監視、甲板の清掃等々の仕事を慌ただしくしている我々でしたが、甲板に表れた悪魔は唐突に告げました。

悪魔がこの船に乗り始めてから約10日が過ぎた頃です。

最初の頃は海賊船が珍しいのか探検と称して船内を色々見て廻っていたのですがどうやらそれも飽きたようで最近ではこう言ったワガママを言うようになってきました、じつに煩わしい。

船員達が一斉に俺に視線を送ります。悪魔担当は皆の懇願で俺になったからです。キリキリ、、、うっ!最近悪魔と話すたびに腹の上辺りがキリキリと音を立てて痛み始めます。


「知恵の実はそうそう手に入る物ではありません。どこか大きな都市に行って購入するか、迷宮に入って魔物を倒す事で手に入ります。」


「この船には無いの?」


「貴重な物なので持ってないです」


「ふ~ん」


勿論嘘です。この前貴族達の船を襲った時に偶々知恵の実を手に入れ現在は地下の宝物庫に眠っています、幸いなことに悪魔は宝物庫の存在を知りません。チャンスだと思いました!ここは上手いこと悪魔を騙し一矢報いる時!


「提案ですがこの先の砂漠地帯にシャムノワールという国があります。

そこは砂漠都市では一番大きいのでもしかしたら知恵の実が売っているかもしれません」


「へぇ~」


私が考えた案はこうです。

①シャムノワールに着いたら船の整備の為今日は出航できないと嘘をつく

②宿をとりそこで酒などを飲ませ悪魔を潰す悪魔が酔い潰れたら一斉に出航し置き去りにする

③一人になった悪魔は何もできずそのまま野垂れ死ぬ、ざまあみろバーカバーカ!


「じゃあシャムノワールって所行こうか」


「わかりましたでは操舵手に伝えてきます」


頭を下げる。

ニヤリそんな擬音がピタリの笑みを顔に貼りつけてしまいました。いけないいけない海賊として今一歩高みに昇るには昔からの癖である感情を顔に出さない訓練が必要だなと痛感、しかし今までやられっぱなしの悪魔に一矢報いるチャンスがやっと来たと思うと私の高鳴る鼓動はどうにも抑えることはできません。



「バース」


「ハイ」


「これなんだと思う?」


今まで仁王立ちしていた悪魔が右手を私の前に差し出し大事なものを見せるように親指と人差し指に摘まんでいるソレ《・・》を見せてくる。


「なっ!」


思わず出た声を必死に飲み込む。緑色の苔が生えているような小さな種それは明らかに知恵の実(すべてをしるもの)でした。何故持っている?いや!宝物庫から取り出したのか?。しかしどうやって?鍵!そうだ宝物庫には鍵がついている並の盗賊では開けられない特A級の鍵が…それに常時宝物庫には番人がいた筈。まさか番人が裏切ったのか!いやそんな筈は…頭がパニックになりました。



悪魔はニヤニヤしながら知恵の実を呑み込み「バース蝉の刑な」短く告げメインマストを顎でしゃくる悪魔

頂上の帆桁辺りまで登り落ちないようにメインマストに抱きつきそして大声で「ミ~ンミ~ンミ~ン」いつか殺すと誓いながら凡そ二時間ほど叫び続けました。



~悪魔への抵抗~


「まずさぁお前らは服いらないじゃん毛があるし鎧あるからいいけどさ。俺は何時までまっ裸な訳?気を使ってよければ服どうぞみたいなのがあるかなぁ~と思ってたからあえて言わなかったけどさ、あえて。何なの?気を使えよ!おい!バースお前らの部下教育がなってないぞどうなっとんねん!罰として蝉の刑な!」


番人と破壊された宝物庫を直していると悪魔が怒鳴りこんできました番人は怯え私は急いで謝り。宝物庫から服を出そうと思いましたが何故か無性に悔しくなり宝物庫の隣の物置から奴隷に与える灰色の薄汚れた布を渡す


「申し訳ございません人族が着れるものはこれしかありません。ここには亜人しかいないもので」


悪魔は奴隷服を受けとるとクンクン匂いを嗅ぎ訝しい表情をしたもののスンナリ受け入れ上機嫌で私の前を去って行きました。

思わぬ所で仕返しができたようです。

番人がその節は申し訳ないございませんでしたと頭を下げてきたので

「もういいんだ」と声を掛けてやる気分転換に外の空気を吸いに甲板に出ると悪魔が船員達に「蝉」をやらせていました。

どうやら上機嫌になったとはいえ蝉の刑罰は実行中のようです。









「もうやだ……」


一滴の泪が頬を伝ったのは誰にも言えません。



~悪魔との別れ~


ようやくアグニカ国に到着です。

じつに長い旅でした。本来なら90日掛けて行く航海を30日という意味が分からない悪魔の要求のせいで船員達はボロボロです勿論私も。元気なのは悪魔位です。奴隷服を着て船首に片足を上げ気持ち良さそうに景色を眺めています。


アグニカ国の港に着いたそうそうに「ひゃぁぁ~~!!!」とか言って歓喜の声を上げているのがじつにバカみたいです。


悪魔は別れ際に

「お前らが根っからの悪だったらアグニカについたて時点で皆殺しにしようと思ったけど案外良い奴らだったから今回は許してやるよ。

海賊なんて辞めて真っ当な仕事にしろよ、次にお前らが海賊として俺の前に現れたりそんな噂が聞こえたら地の果てまで追い詰めて潰すから、以上解散!」


そう告げ悪魔はアグニカ国の人並みに消えていきました。



もう二度と悪魔とは関わりたくない。

これが私達、元海賊ティムリカ一家と悪魔テトラの30日間でした。

最後までお読み頂きありがとございます。

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