赤リンゴの回ー11
ウーゴ大森林の夜はとても静かだ虫や動物の鳴き声もあまり聞こえない。
風もそれほど強くない、嵐の前の静けさとはまさにこの事。
しかしウーゴ大森林には嵐は来ない
しいて言うならば今日に限り一人の男が騒ぎを起こすのが確定している位だ。
そう!俺だ!
ーーー
「暇だな。なんか面白い話して?」
海岸に寝そべりスネオークに無茶ぶりをしてみる
「ハァゼェハァ、、、ダン、な、、が、、、遅、れ…ゲボォ」
荒すぎる息を吐きスネオークは四つん這いになり何回も「ウェ~!!!」とえずいている。
正直豚がえずいている絵面は何だか悲しくなる
えずく理由はこうだ
ただ単に船が着く前に指定の場所に着いときたいという理由でスネオークを5時間位ずっと走らせてしまったからだ。
ゴブリン村を出てからずっと走りスネオークがバテて走れなくなったので手を引っ張って無理やり走らせたという単純な話。
どうやら日付が変わると同時に船が来るらしくスネオーク曰くあと3時間位あるらしい.
そりゃあ暇になるよね海見てテンション上がったのは良いけどそんなん最初のうちだけだし。
可愛い子とキャッキャウフフで海水を掛け合ったり砂浜でおいかけっこしたいけどこの場には俺とスネオークしかいないし。
二足歩行の豚とおいかけっこしてもなぁ
「なぁこの世界について教えてくれよ」
「へぇ、、、そうですね」
スネオークは海水で顔濡らし息を整え俺の横に座り込んだ。
「そうだなこの世界の人間の価値観っていうかさ、そういうの知りたい」
「召喚者の旦那らしい質問ですね。すいやせんが人族の価値観はアッシには分かりやせんが、アッシらはこの大地を世界と言わず星と言うんですよ。」
「それはなんで?」
「なんで?って言われても分かりやせんが、とにかく星といいやす」
「そういえば何でスネオークや村長達は俺の言っている言葉が理解できるの?話せるのは知恵の実を食べたのは分かるけど?
村長もお前もなかなか難儀な日本語を使ってたじゃんアレも知恵の実のおかげ?」
「そうですね!知恵の実を食べると話す相手の一般常識が情報として脳に流れて来ると言われていやす。旦那も知恵の実を食べるとこの星の知識を大体は把握できやすよ」
「ほぉ~便利だなぁ」
「因みに旦那は何処から召喚されたんですか?アグニカが目的地って事はアグニカでは無いんですよね?」
「いやそれがさ」
手嶋虎雄異世界転移事件の巻きを話す。
「ハァ?」
スネオークが明らかに、かなり明らかにバカにしたような声を出したのでイラッとした。
「イタッ、ちょっとなんで殴るんですか旦那!」
「今お前確実に俺の事をバカにしただろ!これは正義の拳だ。」
「いやっバカにしたんじゃなくてありえねぇ~んですよ。その黒い奴が例え魔術士だったとしても一人で神召喚なんてできるはずがないし。そもそもその魔術士はなんで旦那側の世界に行けたのかって謎もある、なんだか話がぶっ飛び過ぎてついていけねぇですよ。それにどうして旦那がこの星にきたんですかね?」
余りにも必死に弁明するので許してやろう、ため息を一つ吐き空を見上げる
「ん~でも例えばですけど魔王を倒す勇者として旦那が呼ばれたとか?」
「魔王って……ヤマダの事?」
「魔王ヤマダは魔王って言われてますがコッチから仕掛けない限り何もしてこないので魔王とは若干異なりますよ。本来魔王ってのはこの星に災厄をもたらす者とされていやす。生命を狩り、緑を壊し、海を汚し飢餓や疫病を持ち込む。
そういった事をするのが魔王とされていやす」
「やっぱお強いんでしょ~」
「なんすかその口調は。そおっすね魔王は強いっすね。対等に勝負できるのはそれこそ勇者や英雄王やら騎士王やら大魔導士やら名のある方達っすね」
「俺はそういうのはいいやリョウシンザキ辺りに任せよう」
会ったこと無いけど。
「まぁそれでも勇者や英雄達の敵は魔王だけじゃないすからね。
星の敵三十三柱って呼ばれるおっかない奴らや亜人に悪魔に異形の者とか、他にも色々いやすからねぇ」
「ふ~ん。大変だな勇者達は、にしても亜人って言ってたけど俺はお前らが敵には見えないけど」
「旦那はコッチにきたばっかで穏健亜人しか見てないんすね。主に星の敵と言われる亜人は食人豚、食人鬼、食人蜥蜴まぁ他にも色々いますが奴らは同じ亜人や人族等を食料とする奴らです。俺らとは根本的に違うんですよ、穏健亜人は木の実やら果実しか食えませんので」
「見た目も違うのか?」
「残念ながら人族が見た目で穏健亜人と食人亜人の区別をつけのは難しいと思いやす。なんで我々穏健亜人はこのウーゴ大森林で基本生活するんです森の加護のおかげで食人亜人はこの中には入れやせんので」
「じゃあ血染め将軍バンターは穏健亜人だったのか?村長とかの話を聞く限りトンでもねぇ奴だったみたいだが」
トンでもねぇ奴らのトンの部分に気付いてほしいとウッスラ願いながらスネオークをみる。
「バンターは忌子と呼ばれて悩んでいた時期もありましたよ。自分が食人亜人ならどれだけ楽かと……でも亜人帝国の軍に入って奴も少しはマシになったんでさぁ【アイツ】と出会わなければバンターだって今まで通り亜人帝国の軍人やってた筈なんですかね」
弱々しくスネオークが答えた。
あらデリケートゾーンに触れてしまったようだ。
そういえば……
「なぁ、亜人にはさ、、その人族に近い容姿をした奴もいるのか?例えば猫耳とか尻尾だけあるけど見た目人族がみたいな?」
「いますよ。猫人族とか狼人族とか色々いますよ、見た目が人族みたいで亜人ってのは中央大陸にはいっぱい居るんじゃないですかね?嫌でも目につきやすよ。」
獣ミミキタ~~~~~~~~~~~~!!!
やっぱ異世界行ったら巨乳獣ミミにセクシーエルフ&ロリドワーフだよね!うん基本だよね!
ヨッシャァ~!!!生きる希望が沸いてきたぜ!
「旦那?」
ハッ無意識に拳を天に突きつけてしまっていたようだ。
「コホン、因にだけど本当に因にだけどエルフやドワーフっていうのもこの世界じゃあどうなの?」
「エルフもドワーフも中央大陸いけば普通にいると思いやすよ。」
俺が二度目のラオウポーズをとろうとした瞬間
「旦那きやしたぜ!」
スネオークが指差す方向に船が見えた。水平線上に蜃気楼のようにボンヤリとちいさく表れたのは海賊映画等でよく見る船だ。
近づくにつれて白い帆が五月蝿いほどに存在を主張している。
「けっこうデカイな」思わず声に出す。
なかなかのスピードで移動し目の前に船が止まる。魔法で動かしているとスネオークが説明してくれたが目の前の巨大な物体に心奪われていた。
カッコいい~!
舟から梯子が垂れ下がり何者かが降りてきた。
おぉ全身鎧を来た虎だ!タイガーだ!黄色の毛に時折ある黒い毛!タイガーだ!二足歩行のタイガーだ!
「おいダット、バンターは何処にいる?森の中にいるなら呼んできてくれ!」
分かる!と言うことはこのタイガーは知恵の実を食べてるようだヨシ!ダットってスネオークの事か。ダットって名前だったんだ。
「ん?なんで人族のガキがいる?コイツも奴隷商品か?」
「バンターは死んだよ、此方の人族の旦那が倒しちまったんだ、だから我々オークは奴隷商を止める。バンターもいないし契約は終了だ二度とこの森来ないでくれ。
それから旦那が中央大陸大陸に行きたいらしいから連れてってやって来れ!」
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タイガーは長い長い沈黙の後に「はぁ?」とだけ呟き次には言葉を捲し立てる
「ダットお前が今何を言っているのかサッパリ分からんぞ?話にならん早くバンターを呼んできてくれ!後奴隷になる亜人どもは何処だ?早く船に積まないと朝になっちまう。」
「だからっ」
そっからは平行線バンターを出せ、バンターは死んだ、亜人どもは何処だ?奴隷商を止める、そんな冗談いいからバンターはどこだ?、だからバンターは死んだ、何を言ってるんだ早くバンター
「うぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
俺は怒りに身を任せ思いっきり虎の亜人をぶん殴ってしまった!
アッ!まぁいっか、、、
「お頭~!!!」「てめぇ何しやがる!」「ガルルルル」「ウウゥゥ」船の上から様子を見ていた子分と思われる虎とか狼とかなんか屈強そうな亜人達が大勢降りてきた。
言葉が分かる奴もいるって事はコイツらも知恵の実食ってるのか。
ならもういいや「スネオークお前もう帰っていいよ」
「えっ?いいんすか」
「うん、なんか話進まないしコイツら知恵の実食ってるっぽいから話はできるし後は何とかするよ。」
スネオークは物凄い不安な顔をして此方を見ている、その顔は俺の安否の心配よりも(この人絶対マトモな事しないだろうなぁ~)的な顔している。
侵害だ
「旦那そいつらもバンター程じゃないですけど強いので気を付けてくだせぇではお達者で。」
スネオークが無様な格好で走りながら森に消えていく。
なんかドタバタの別れになってしまったな。まぁいっか、、、
周りをみると俺を囲むように虎やら狼やらの亜人がロングソードや手斧を片手にギラついた目で睨んできている。
「It's show time~!!!」大声を出し腰にあるナイフを抜く。
嵐の時間です。
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