赤リンゴの回ー10
よくバイト先の店長に言われたなぁ
「手嶋君は人の話を聞かないよね」
そう生きてきたので。テヘッ!
昨日亜人会議に割り込んでアグニカ行きたいって言ったら、(コイツ大事な会議邪魔して何言ってんの)みたいな目で見られてしまった。
反省しよう、しないと思うけど!もうちょっと場の空気を読もう!
そんな事を思いながら身体を思いっきり伸ばす!
大森林の朝は気持ちが良い、なんか昨日はよく寝たな…色々あって疲れてたのかも知れん。
近くの川原で水浴びをし集落に戻るゴブリン達が用意してくれた果実や木の実を広場で食べてるとスネオークが吉報ですぜと叫びながらやって来た。
何でも奴隷を運び出す船が今日の夜来るらしく、それに紛れ込めればとりあえずは中央大陸に行けるらしいとの事。
勿論今回は奴隷も居ないしバンターもいないから船でやってくる奴らと一悶着はあるかも知れないが俺の強さなら全然問題無く船を制圧できるはずとスネオークが言う。オーク達は二度と奴隷商をやらないので奴らと手を切れて一石二鳥。
ふむ、確か村長が拐った亜人の子達は他の大陸に売ると言っていたな、運搬の手段は船で今日の夜丁度来るのか……もってるな俺!
よし!そうと決まれば旅の支度をするか。
だがもともと全裸できた俺は何もないんだなコレが、とりあえず村長に別れの挨拶を言いに行く
集落を出て中央大陸行きの船に乗る経緯を話すと村長は静かに頷きそっと首から下げている木製のペンダントを外し俺に手渡してきたヘッド部分の黄色に輝く石が綺麗
「村を、亜人族を救って下さり誠にありがとうございます。感謝してもしきれません。何も御礼が出来ないのが心苦しいですが。良ければコレを持って行ってください。ウーゴ大森林の守護聖霊が宿ると言われる石で作られた物です。きっとテトラさんを守ってくださると思います」
村長は深々と頭を下げた。
俺もつられて頭を下げた。
頭を下げてる間なんていか、うん、何て言うんだろ、あまり日本では味わった事の無い感情が身体の中で嵐になる。
今すぐこの場から逃げだしたいようなでもずっとここに居たいような。
とりあえず顔を上げ村長と目が合う相変わらず村長は此方を見ているのか見ていないのか分からない位目を閉じているが恐らくは見ていると思う。
俺はヘヘッっと照れ笑いをしてペンダントの御礼を言って村長の家を出るとスネオークが満面の笑みで近づいてくる。
「旦那これを貰ってくだせぇ」
と言いナイフを差し出してくる。
オーク村に伝わる伝統的なナイフだそうでオーク達からバンターを倒した御礼にとの事だ。
薄茶けた鞘からナイフを抜いてみる持ち手は黒だが刃の部分も黒く刃渡り30㎝位かな刃の背は赤いラインが入ってる、溶岩が入ってるので赤いらしい
やだ、何コレ!カッコいい!
恐ろしい切れ味らしいのでそこら辺に落ちている石で試し切りすると豆腐のようにスッスッ切れていく
さ
ウーゴ大森林にしかない漆黒岩という岩石から作ったもので本来ならあまり採掘できない為メチャクチャ貴重らしいそんな大事な物
「貰っていいの?」
「オーク皆の総意でさぁバンターを倒した英雄には英雄らしい武器をって」
なんだよ皆して泣かせる気か俺を!
太陽が半分ほどお休みしかけた辺りでゴブリン集落を出る。
見送りにゴブリンが全員揃っている皆が一同に頭を下げる中にはかけよって木の実や果実が入った。葉袋を渡してくる子供ゴブリン達
「ありがとっ」
来た時と違ってなんだか、ヤバい涙腺が。
「テトラさんこの子達はオークに拐われそうになったのを貴方に助けてもらった子達です。一生懸命集めたそうなので船の中で食べて下さい」
「ありがとうございます。腹が減つたら食べるねと伝えて下さい」
村長は子供ゴブリンに翻訳しだす。反対方向から「ギィ」と聞きなれた声がした。
「ヘイヌ」
ヘイヌはロングソードをブンブン振り回しどやっみたいな感じで俺を見てきた。
なんだろ、感動のシーン台無しだな。
「村長、ヘイヌにお前に教えることは何もないこれからはお前がゴブリン達を守るんだぞ。と伝えて下さい」
村長は優しく頷き翻訳しだす。
ヘイヌはビシッと直立不動になりフルフル震えている。
恐らく感動しているのであろう。
「旦那そろそろ行きやしょう!間に合わなくなったら事ですぜ!」
先行して森に入っていたスネオークから声がかかる、
「今行く。それじゃ」
ゴブリン達に手を振り森の中に駆けていく。
後ろでギィギィと言ってるが何を言ってるか分からんので感動が半減だ唯一村長がお達者でとの声だけは聞こえたので他のゴブリン達もそんなような事を言ってるのであろう。
まぁ悪い気はしないね!
さぁて装備も増えたし手っ取り早く中央大陸大陸まで行きますか!
胸にはペンダント腰に細い紐で括り付けた漆黒のナイフ。
今だに全裸なのは気にしない。




