管理室にて
「主任、エラーが発生しました」
「なんだとぅ! エラー! 一体どんなエラーが起きたというのだ!」
「時間逆転が起きました」
「じ、時間逆転だとぅ! いつだ! どのくらい逆転した! 被害状況は!」
「被害者は一人だけですが、午前8:55から午前9:00の時間が逆転しています。エラー判明時点で時間停止し、今はもう通常の時間方向に戻っていますが」
「するとなんだ、そのかわいそうな被害者は、8:55の時点までは正常だったが、そこで9:00にジャンプし、9:00から8:55までを逆行した後、再び9:00にジャンプして正常な流れに戻った、ということか」
「そういうことです」
「5分だけか。軽微だな。不幸中の幸いだ」
「ええ、その間、本人はかなりのパニックだったでしょうが」
「そうだな、被害者は?」
「ヤマモトケンジ、十三歳の少年です」
「逆転中に接触した人間はいるか?」
「調査中ですが、大きな混乱は見られていません」
「それは何よりだな……。なにせ、一人だけ時間の流れが逆だからな。まわりの様子が全く理解できないだろう」
「音声も逆再生の状態ですからね……会話もほぼ通じなかったでしょうね」
「後で菓子折りでももって謝りに行くか」
「そのくらいじゃ許されませんよ」
「わかっている。冗談だとも」




