エピローグ…社交界憧れのおしどり夫婦
リリアーナがノエルに向けて、『クラウス家へ婿入りしませんか』という手紙を送った4ヶ月後。
ノエルとリリアーナは婚姻した。
知らずに社交界名物となっていたノエルだが、目立つのは好きじゃない。
婚姻パーティーに呼んだのは、クラウス家とリヒター家はもちろん、グレイス公爵家、テンリュー伯爵家、そしてフェルナー男爵家だった。
ノエルはヒナミの教育のおかげで、クラウス家で跡継ぎとしての仕事を行えた。
しかし、見かけに寄らず甘えたがり屋のリリアーナが、ノエルの側におり、共に仕事をこなしている。
そして、2人の結婚式から1年後。
「リリナ。ヒナミ兄さんが結婚するんだ。婚姻パーティーに出席よね」
「まあ!ヒナミ様、遂にカナン様とご結婚なさるのですね」
「それが聞いてよ、リリナ。ヒナミ兄さんに結婚のきっかけを聞いたんだ。そうしたら『今まで好きだと言ってくれたことがない』としょんぼりとした顔で言われたから、だって。どう思う?」
リリアーナは一瞬、言葉に詰まる。
「……ヒナミ様、一度もカナン様に好きだと仰ってなかった、ということですか?」
ノエルは苦笑いをし、「そうだったみたい」と答えた。
「前にヒナミ兄さんは結婚ができない理由として、『寂しいから傍にいてって素直に言ってくれたら』って言っていたんだ。でも正確には、『ヒナミ兄さんが早く好きだとはっきりと言っていたら』だと思うんだ」
「ヒナミ様も言葉が足りないことがあるんですね」
2人は顔を見合せて笑う。
ヒナミとカナンが結婚すれば、きっとまた社交界は賑やかになるだろう。
仲のむつまじいおしどり夫婦として、数年間社交界の令嬢や子息の憧れの的だったことは当の本人たちは知らない話。




