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星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~  作者: イワシロ&マリモ
変わり行く世界

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ザッカル来訪初日の反応

 アード側から出された条約に対する条件について、地球各国は荒れていた。第三項までは受け入れ難いものではない。

 むしろ双方の間に存在する隔絶した文明レベルを考えれば、地球側からすれば甘過ぎるように思えた。

 だが、問題は第四項の火星についてである。条件としては、火星の管理権限の譲渡。

 敢えて乱暴な言い方をするならば、火星を寄越せと言われたようなものである。

 しかも条件についての交渉には一切応じない態度(アード側からすれば地球に損は無いので受け入れるだろうし、忙しいだろうから早めに締結しようとの善意)もまた地球側を戦慄させた。




「我が国を含め、火星には幾度も探査機を派遣して調査を進めている。将来的な基地建設計画もある以上、あの惑星は地球の所有物であることに疑いの余地はない。

 アード側に対して、地球人の将来的な利益の保持を断固とした主張をするべきである」




 まず真っ先に主張したのは中華である。これはホスト国である合衆国側もある程度は予測していたが、想定外だったのは中華の主張に消極的或いは積極的に賛同する国家が少なからず存在したことである。

 月面基地建設以前より火星へ各国から多くの探査機が派遣されたのは事実であるし、月面基地建設後はより活発化していた。

 当然宇宙開発に熱心な国は統合宇宙開発局へ少なくない規模の投資を行っており、アード側の要求はこれまでの努力や成果を全て放棄することを意味していた。




「御懸念は理解できます。我が国も少なくない血税を宇宙開発へ注ぎ込んでおり、アード側の条件に対して思うところがあるのは我が国も同じです。

 しかし、此度は名誉や面子よりも実を取ろうではありませんか。アードとの交流が活発化すれば、投資した以上の見返りを地球全体が受けることが出来ます。

 また、将来的な共同開発、技術支援も交渉次第では可能であると考えています」




 この主張に対して、ハリソン大統領はアードから得られる利益を提示することで懸念を払拭するように動く。

 同時に外交部にもその様に指示を出し、国連本部ではさまざまな思惑が行き交う外交戦が繰り広げられた。

 それと平行して、交渉内容の一部が公開されることとなる。

 争点となっている第四項に関しては、結論が出るまで秘匿されることとなったものの、それ以外に関しては問題ないだろうと公表されたのである。

 これは国際世論に対する説明責任を果たし、尚且つアードとの交流促進を図るためのものであった。





 しかしながら、何処の世界にも穿った見方をする者は存在する。





「例の条件を見たか!?リスナーの中に、無償で技術供与や支援なんて言葉を真に受けている間抜けがいないことを願うぜ!何せ、政府の奴等は間抜けばっかりだからな!

 無償なんてあり得るわけが無いだろ!奴等は人口が減ってるって話だから、奴隷が欲しいんだ!対価は奴隷に決まってる!

 そして間抜けな政府のバカ共は、それを隠すために無償なんて言いやがったんだ!

 遂に宇宙人共が邪悪な本性を露にしたんだ!この条約が結ばれたら、俺達は奴隷として売られることになる!それを黙って受け入れる奴は、勝手にしろ!だが、そんなつもりはない気合いの入った奴は、直ぐに行動を起こすんだ!」




 潜伏中のクサーイモン=ニフーター、更に彼に便乗した扇動者達が煽りそれに乗せられた一部の人々が各地でデモを実施する事態へ発展した。

 とは言え、規模そのものは極めて小さなものだったので世論を動かすようなものにはならなかった。むしろ各国政府は敢えてデモを放置して、不穏分子摘発に活かすため準備を始めていた。




「……」




 もちろん合衆国政府は細心の注意を払ってこれ等の反アード的な放送等が、ティナ達に届かないようにしていた。

 しかし、暇をもて余したティナが適当に地球のラジオ放送のチャンネルを弄って偶然にもクサーイモン=ニフーターの放送を聞いてしまったのだ。

 ティナ本人は苦笑いを浮かべただけだが、側に居るフェル(色々重い女の子)は直ぐに反応して禍々しい雰囲気を纏った。




「大丈夫だよー、フェル」




「ティナ……」




 それを察知して、笑顔を浮かべながら手を握る。それだけでフェルの怒りは収まるが。




「地球時間で三十分程度頂ければ、処理できます。ティナ、許可を」




 同じく側に居るアリア(やたらと物騒なAI)の提案を受けたティナは、笑みを困ったものに切り替えた。




「アリア、何度も言うけど地球人を傷付けちゃダメだよ。まして命を奪うようなことは、絶対に許さないから」




「畏まりました、では情報提供だけにしておきます」




 近くに居たクレアは首を傾げた。彼女の翻訳は少し特殊で、地球の言語にしてもリーフ語にしてもアード語へ変換されてからノーム語へ翻訳されるのだ。

 タイムラグは一切存在しないが、彼女自身がまだアード語を完璧に履修したわけではないので一部翻訳が不完全な部分が存在する。

 特にクサーイモン=ニフーターの放送のような悪意ある単語の履修は後回しにされているので、内容が理解できなかった。

 とは言え、ティナ達の反応を見て良いものでは無いと判断した彼女は深入りしないことにした。





 一方、我らがジョン=ケラーは合衆国にある統合宇宙開発局の本部を訪れていた。

 彼のかつての職場であり、個人的にはあまり近付きたい場所ではないが仕事だから仕方がない。




「ようこそ、ケラー室長!色々とご活躍の様子で何よりだ」




 彼を出迎えたのは、マインツ主任。生え際が後退しつつある神経質そうな男性であり、かつての上司である。




「マインツ主任もお変わり無さそうで何よりです。それで、火急の用事とは?」




「実は君を介して例の宇宙人に依頼したくてね。我々だと伝が無いのだよ」




「ティナ達に……?伺いましょう」




「なに、彼女達からすれば簡単な仕事だろう。ただ、万全を期したいので彼女達に直接ここへ届けて貰いたいのだ。不備があっては大変だからね」



 内容はまだしも、裏にあるのは政治であった。異星人交流の主役は異星人対策室であり、統合宇宙開発局としては少しでも主導権を得るための動きであった。

 こんな内輪揉めにティナを巻き込みたくなかったが、依頼そのものは重要であったため万が一の時は自分が間に入るしかない。そう覚悟を決めたジョンは、ティナからプレゼントされた端末を起動する。




「やあ、ティナ。急で済まないが、実は君達にお願いがあるんだ。ボイジャーを回収してくれた件があるだろう?

 ……そう、流石だね。今回の依頼は、パイオニア10号と11号だ。是非ともお願いしたい。今からそちらへいくから、そこで詳細を話そう」




 宇宙をさ迷う人類の夢が、地球へ帰還する。そんなロマンと共に。

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― 新着の感想 ―
中華は火星に探査機器を送ったことがあるのかな? 現時点で月までしかやっていないのだけど。 まさか、ハワイは現時点で米国の領土→ハワイ王国は日本の天皇家に娘を送ろうとしたから日本の領土→日本は中共国に朝…
そもそも火星や月の開拓は膨大なお金と時間が必要だしやってもらい、その後の宇宙開拓のハブ拠点くらいの考えで良いのでは?地球の技術では100年後も無理だし。 そう言えば地球からボイジャー以外も色々出して…
バイオニア「えっ、帰りは迎えが来るの?でも、迎車を頼むと400円多くかかるんだよなぁ・・・」 ティナちゃん、ちゃんとメーター倒して行って料金請求しないとね。
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