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星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~  作者: イワシロ&マリモ
変わり行く世界

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ティリスちゃん、お話する

 生存者達を収容して大急ぎでゲートへ飛び込んだ銀河一美少女ティリスちゃん号の艦内は、慌ただしい空気に包まれていた。

 一度に三十人弱のアード人、リーフ人を収容するために格納庫の空きスペースを利用したのだが、生存者の半数は妊婦なのだ。このまま格納庫に居させるわけにはいかない。




「妊娠されている方は医務室の周囲に集まってください!とにかく休める場所へご案内しますから!」




 意識を失ったティナを医療カプセルへ放り込んだフェルは、傍に居たい気持ちを圧し殺して駆け回る。




「具合の悪い者は居るか!?必要なものがあれば言ってくれ!」




 疲労や安堵で座り込む生存者達の間を、セシリアが慌ただしく走り回って声をかけていく。意見があればそれを纏めて要望としてティナ達へ伝えるべきだと思っているし、なにより自分が間に立つことで少しでも安心感を与えたかった。




 少女達が慌ただしく動き回る中、ブリッジではティリスがアリアから報告を受けていた。アリアのアンドロイドは引き続き少女達を手伝っているが、それは彼女の端末の一つに過ぎない。




「あの巨大なセンチネルウォーカー、原生生物を扇動する能力……我々が引き籠っている間にも、奴等は確実に進化している……か」




『はい、マスターティリス。どちらもこれまで確認できなかった事例です』



 アリアの報告を聞いて、ティリスは深々と息を吐いて椅子へ腰かけた。




「アリア、この件のレポートを纏めて本星帰還後に提出するように。これで危機感を持たせることが出来る」




『畏まりました、マスターティリス。生存者については如何なさいますか?』




「ラーナ星系の生存者同様、地球へ送るしかない。ましてあの娘、セシリアちゃんだっけ。彼女を見てミドリムシ共が大人しくしているとは思えない。

 今回は妊娠している者を多く抱えているし、無用な危険やストレスを与えたくはない」




『賛同します。幸い地球の衛星に建設している居留地には、将来に備えて充分な医療設備が準備されています。妊婦の体調管理および出産育児についても問題はありません』




「それなら良い。彼らには悪いけど、今のアードに戻すのはリスクが高すぎる」




『同意します。それで、マスターティリス。先ほどティナに発現した力についてですが』




 アリアの当然と言える疑問に対して、ティリスは溜め息を吐いた。




「記録からは抹消してるな?」




『はい、ご指示通りに』




「目撃者は?」




『幸いにして、避難民達は艦内へ退避していたのでマスターフェルとマスタークレアのみです』




「フェルちゃんとクレアちゃんだけか……分かった、二人には私から説明しておく」




『口止めを行いますか?』




「いや、今はそんな暇もないだろうし手当てに集中させて上げたい。生存者達の件が落ち着いたら、話すよ」




『畏まりました』




「それじゃ、これからはオフレコだよ☆ティナちゃん達には聞かれないようにしてね☆」




『その様に』




 指示を出し終えたティリスは、何時ものように子供っぽい仕草と共にアリアへお願いして貴賓室へ向かった。そこにはゼバ5生存者の長である老年のリーフ人フレストが静かに待っていた。




「はろろーーんっ!☆銀河一の美少女!ティリスちゃんだよ☆」




 何時もの調子のティリスを見て、フレストは苦笑いを浮かべた。




「懐かしいマナを感じたと思えば……また随分と愛らしいお姿になられましたな。相応の事情があるものと愚考しますが……先ずは、再びお会いできて光栄であります……提督」




「やはり分かるか、フレスト」




 フレストの反応を見てティリスも肩を竦めた。




「当然でありますよ、何年お側でお仕えしたか忘れましたかな?」




「こんなに癖が強いリーフ人を忘れられるものか。ともあれ、良く生きていてくれたな……フレスト」




 フレスト。かつてティリスが率いた特務艦隊旗下の分艦隊司令を務め、リーフ会戦にて壊滅した部隊の長である。




「数多の若者を死なせておきながら死に損なってしまいましたが、まだ生きておりますよ。

 提督こそご無事で何よりでございます。ワシ個人としては、ゼバ5で死ぬつもりでしたが」




「殿下の努力を無意味にするような真似は許せんからな、転移を阻止したまでだ」




 皆が無事に銀河一美少女ティリスちゃん号へ乗り込んだ時、フレストは若者達に後を託して死ぬつもりであったが、ティリスが察知して地上への転移に失敗。そのまま貴賓室に軟禁されたのである。




「殿下……?」




「どうやら、お互いに摺合せが必要みたいだな。少し長くなるが」




「構いませんとも」




 二人は互いの身に何が起きたのかを話し合うことにした。フレストは乗艦が撃沈された際に魔法炉の暴走に巻き込まれ、気付いた時にはゼバ星系の宇宙ステーションに居たと話した。




「転移魔法の暴走か?」




「分かりません。しかし、現にワシはゼバ星系へ飛ばされてしまいました。日時は会戦から三十日程経っていましたか。

 直ぐに帰還しようとしましたが、ゲートが封鎖されておりどうすることも出来ず、ステーションに居た者達を説得してゼバ5へ降りたのです。

 既にセンチネルの偵察艦隊に発見されていましたからな、身を隠す他ありませんでした」




 リーフ会戦以後、ティナが再び宇宙へ出るまで全てのゲートが封鎖されたのである。




「そうだったのか……苦労したのだな」




「提督の境遇を思えば、ワシなど楽なものですよ。ご子息と旦那様を同時に喪われるとは……」




「喪ったのは私だけではない、皆が喪ったのだ。センチネルに対する恨みはあるが、今すぐ何かをするつもりもない。今は若者達を助けているだけだな」




「あの少女達ですな。いやはや、まさか王族の方に助けていただけるとは恐縮の極み。あのリーフの姫様は……フェルト殿下のご息女様ですな?無事にアードへ辿り着けた様子で安堵しました。改めてご挨拶をさせていただきます」




 明るく話すフレストを見て、ティリスは深々と溜め息を吐いた。




「……提督?」




「フェルト殿下は亡くなられたのだ。そして今、リーフ社会は複雑な問題を抱えている」




「殿下が……亡くなられた!?それに、複雑な問題とは!?」




「落ち着いて聞いてくれ、決して激昂するな」




 ティリスはフレストの反応を見ながら静かに今のリーフ社会について知らせた。




「いっ……忌み子ですと!?王族の証を……なんと戯けたことを!」




 真実を知るリーフ人ならば当然の反応であった。

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― 新着の感想 ―
そろそろ地球の市民層にもセンチネルの存在が漏れるフラグも感じる
フレストさん、一族が助かってやれやれと思った瞬間にもっと重大な事実を知らされる。 ストレスでフレストさんの胃に穴が開くのには然程時間がかからないだろうね。
王族を忌み子として抹殺しようと企むミドリムシ共を何とかするために、フレスト氏に協力を求めるのですね。 フェルト殿下の艦をセンチネルの囮にして、謀殺したミドリムシ共の存在を教え、フェラルーシア(フェル)…
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