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異世界”半”転移譚  作者: 武ノ宮夏之介
第八章「森国エルヴィン」
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5話「反精霊」




一方の中央にありし、首都である森都では――


「なんのつもりだ……」


そこに集まるは、森都を主に治めるエルフの長。

そして傍にいた2人の長老。


その長老たちが、突如エルフの長へと刃を突きつけたのだ。

一方は木製だが研ぎ澄まされたナイフ、一方は石を削って作った短刀。

それらを傍でエルフの長へ静かに突きつけていた。


「……どうもこうも、我らはエルフ族。あのような人間にのみ祝福を与え、我ら知と地の民を強いる者を良しとはせんのだ」


「然り。我らはすでにいない精霊女王に従う道理はなし」


「本気で言っているのか、貴様ら」


「……安心しろ。我らの理念のため、貴様は殺さない。……大人しくしていれば、な」


「……後悔するぞ、貴様たち」


「後悔? あの妖精か? ならば、問題はない。例えここに女王がみえても……な」


「でなければ、我らは正しき道へと導こうとは思いつかなんだ」


「然り然り」


その様子は、ようするに彼らは反妖精、反精霊を掲げていることを訴えていることも道理という感じだった。対処方法すらもこいつらには思うところがあるようにもみえる。


精霊女王の消失。

それは、先の全王会議で大精霊が会議に代理出席したことで分かってはいた。

だが、女王陛下がおらぬからといって古き時代よりの調停者としての役割と持たれるあの方々への反意がエルフの長には分からなかった。


「……ならば、見守ろう。そなたらのその反意がどういう結果へと繋がるのか」


「ふっふっふ。安心しろ。その席はお主のものだ」


「そう。我らの操り人形として……な」


そうしてエルフの森都は、静かに内乱が巻き起こるのだった。







森都を中心とした四方にある都のうち、西の都以外で大混乱が起こっていた。

それは結界樹のある都に郷に邑、また北東の山国であるドワーフたち側でもそれらが伝わっていった。


「あの親方が世話になったという……冒険者じゃったか、そやつらがいるところがどうもきな臭いということじゃわい」


「ならば、救援をださんとな……あの戦士、よい男だったぞい」


「王の会議でも、あの者に武器を作りたいというておったでのう」


「そいじゃあ――」


と、ドワーフ・ホビット・ハーフリングたちは援軍、技術師団としてエルフの国に兵を出すことに賛成し、それぞれがそれぞれの単位で派遣を決めた。


「それから、南の……あの連中も呼んだりゃあよいじゃろう」


その動きはどんどん加速していき、周辺諸国を巻き込むこととなっていく。







「ここもですか」


中央へと戻ろうとしていたミーティアは、そこへ至るまでの道に苦戦を強いられていた。それはある一つの懸念をラビィ達によって伝えられていたからである。

何もなければただ戻るだけで済むというその提案を受けて、ミーティアは側近たる護衛のエルフ族たちを複数連れて移動していたのだが、同族たるエルフ族に襲撃を受けていたのだ。


「ラビィさんたちの懸念は当たりってことですね。ということは――」


「ミーティア様、いかがなさいますか? あの人間たちと合流も……」


「……それはやめておきましょう。それにあちらにはフィーナ様もいらっしゃいますし、移動する人数……また戦力も少数規模のほうが移動はしやすいでしょう」


「わかりました」


何が起こってるのか、それは先ほどの襲撃者による情報から理解ができた。

エルフ内で突如として反精霊派、親邪精霊派という勢力が現れたのである。

一見すれば、邪精霊とは妖精族を指す言葉にも聞こえるが、明確に精霊族を敬うのではなくそれになり替わる組織という目的を持ったものだということだった。


精霊、妖精を排除し、新たに邪精霊を自分たちの上にいただくというとんでもない言葉に最初は言葉もなかったことだったが、ある違和感を持ったことでこれは他者による介入であるとミーティアはあたりを付け、またおそらくではあるが、どこかのタイミングでラビィたちもその結論へと辿り着くだろうというのは想像に難くないことだった。


「私たちは情報を集め、我らに着く方々を探しだしそしてシュンスケさんが目覚めるその時までに戦力を増やすという――」


その時、矢が飛んできた。


「ここもだめですね。……対処し次第南へと向かいましょう」


中央への道へ向かうほどに反精霊、邪精霊派による守りが固いということで、

彼女たちは一転、南を目指して行動をしていた。







いい加減うっとおしくなってきたこの夢の連続。

俺はずっと同じく続く夢から覚めたくなってきた。


もはや何度も繰り返すその夢について、見ることはなく自分なりの見解を色々と考え始めていた。


つまりはこういうことだと分かった。


俺が誰かを助け、その誰かは俺を"なんとかメンツ"と呼んでいること。

そして俺はあるところから逃げ出し、そこへ声をかけられ助けられたそいつはまた再びの再会をということを告げたこと。


多分だが、これは俺の前世のことだろう。

俺の前世での名前――なんとかメンツ。


夢が覚めたら、ついでに自分のルーツ的な感じで探すのもいいだろうという結論に至った。あとはこの夢から覚める方法はないものかということだけ。


結論に至れば後は暇になるため、俺はただただその夢を流し見をしながら魔力循環を始めるとまず夢から覚めたら俺の服を破りやがったフィーナに文句を言ってやろうと決めるのだった。



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