表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界”半”転移譚  作者: 武ノ宮夏之介
第八章「森国エルヴィン」
91/158

4話「たゆたう夢の中②」

君はどこへ……?


――メンツ、私は……だから……。


そうか、じゃあ……で会おうぜ! またな!


なんだ、さっきからずっと繰り返して同じ夢を見ている気がする。


"俺"は誰だ?


どっちなんだ?


俺は……、俺は……。


再び俺は、同じ夢を見続けた。







「それで、今どこへと向かっていますの?」


「……念のために、各結界樹を見回る。またあのような化け物が現れんとも限らないからな」


「赤い深紅の巨大樹のう……そやつが、お主たちのリーダーを取り込んで弾けたとはのう。不思議なことが起こるものじゃな」


「そちよ、少しわらわと話し方が似ておる。紛らわしいのじゃ」


「ん? そうかそうか! がっはっはっは」


「もう一回殴られたいの? このドワーフ!」


そんなやり取りをしながらも、眠ったままの瞬介を馬車に乗せ一行は北を目指して進んでいた。結界樹まではエルフの戦士団が先行しているので、結界樹に何かあれば知らせがくることになっているのだが……。


また、いずれの東、南へも結界樹の見張りにエルフ族たちの他の戦士団も向かっていた。


そういえばとラビィはエルフ族の隊長へ聞く。


「ミーティア様の姿が見えませんが……彼女はどうしたんですの?」


「あの方は、中央の守りに赴かれておられる……心配無用だ」


「あの方……ですか」


それは、エルフ族が遜るほどの地位にいるというのを連想させる言葉だった。

ラビィたちは、日頃フィーナがミーティアに対する態度から連想していたが、どうやらエルフ族にとっては違うというのがこれで分かった形だった。


「ラビィ殿だったか? 知らんのか、ミーティア嬢といやあこのエルフの国じゃ姫に該当する方なんじゃぞい」


「ふむぅ、ではこれからあの娘はそのように扱わねばということかのう?」


「本人が良いと思っておるのならば……問題はないんじゃろうて」


その言葉にエルフ族の隊長は、ガルンガへと非難するような目を向けた。


「姫……ミーティア……か。ふふふ、懐かしい話じゃ」


「メジェネア様?」


「いやなに、古い話じゃ……ま、これは婿殿に聞かせたい睦言むつみごとじゃ」


「そうですの」


ため息を吐き、瞬介の方を見るとまだ眠りに就いているのを見てラビィは再び馬車を操るリンスのほうを見やるのだった。


しばらくすると、北の結界樹へと辿り着いた。

しかしそこには何もなく、ただ堂々と大きな巨樹がそびえ立っているだけだった。


だが――


「! ちょっと、なんで精霊の力がなくなってるのよ!」


その異変に気付いたのは、妖精・フィーナだった。


「……!」


「これは……まずいぞい」


結界樹から精霊の力が失われていっているのが隊長や、ガルンガにも感じ取れた。


「どういうこと……ですの?」


「何やら精霊の力とやらが抜けていっておるようじゃ……この行先は――」


―キン!


そこへ唐突に矢が放たれた。

それは、エルフ族の隊長が放った矢であり、そしてそれを防いだのはメジェネアのキセルだった。


「若造、何を婿殿に向けておるのじゃ? 死にたいのかの?」


メジェネアは怒りの表情を隠すこともせぬままに、エルフ族の隊長へと視線を向ける。


「その人間、そいつが……がはっ」


その語り途中に問答無用に殴りかかったのは、フィーナである。


「エルフごときが! ……シュンスケを狙って一体どういうつもり!」


「……フィ、フィーナ様……し、しかし、あの人間が……」


「精霊が何よ!」


「……は?」


「シュンスケが死んだら、あたしがクソババアに怒られるの!」


「そ、そんな……そんなにまで妖精女王陛下は、あの人間を……」


そう言うと、下を向きやがてフィーナへと向かって何かを投げた。

それは――


「……やらせると思いますの?」


ラビィが投げられたものをエルフ族の隊長へと蹴り返す。

そして、紫の光に包まれた隊長は……自我を失ったようにぼーっとした。


「こ、このエルフがぁぁぁ!」


「お待ちを、フィーナ様」


と、自分が何をされそうになったのか気づいたフィーナが殴りかかろうとするのを、直前でラビィが止める。


「何よ! あんたもあたしを――」


「そうではありませんわ。これでこっちのものとなりましたということですわ」


「??」


「……ふむぅ、実に想像上という話ではあるが、先の投げたものでフィーナ嬢をどうにかしようとして、それが失敗し今はその者がわらわたちの手にあるということに、違いないのかの?」


「素晴らしいご研鑽ですわ」


と言ってラビィはにこりと笑った。


「! ふ、ふん! ……それくらいあたしだって気づいてたわ!」


などというが、フィーナに限ってそれはないなと思いつつも言葉に出さないラビィ。


エルフの隊長が、瞬介に向かって投げていた視線に気づいていたラビィとメジェネア、何よりコーディ自体ずっと静かに睨んでいたのに気づかなかった者はおそらくフィーナやガルンガたちドワーフ/ハーフリング戦士団たちだけだろう。


絶対に言葉には出さないそれをメジェネアと確認し、そして頷き合うと改めて今の支配下状態にあるエルフ族の隊長への質問を始めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ