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異世界”半”転移譚  作者: 武ノ宮夏之介
第六章「瞬介の体育祭」
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2話「瞬介の体育祭②」

「……よし、ここ!」


――パシッ


俺は相手へバトンを渡す。だが――


「いてっ! 半田!お前のバトンパス、いてーんだよ!」


「……わ、悪い」


まだこれでもか。

俺はどうにか手加減してるのだが、まだこれでも痛いらしい。

くそ、全力の時の自分の力が恨めしい。


こうして放課後はほぼ毎日、バトンを渡すための練習に明け暮れている。

その後の走るほうは、もはや完璧だと見なされていてバトンだけは渡しはいいのだが、渡されるほうはきついということだった。


「半田、お前アンカーな」


「……し、仕方ないよな。はぁ~……」


第一走者からこれで最終的にアンカーまで出番が下がってしまった。


練習後、拍手の音が聞こえてきたと思ったらレニアがいた。


「すごいね、君の走る速度は」


「そ、そうか?」


……いや、めっちゃ手加減してるんですけどね。

はぁ~早く、ハーフリンカーの力復活しないかな。


「今日一緒に――」


「悪いな、これから寄るところがあるから」


そう言って俺は着替えて、さっさと悠人の家へと向かった。

なんかあの転校の日からやたらとレニアには絡まれてる気がする。

他にも好意的に接してくれるクラスメイトがいるってのに……。




「はっ……はっ……はっ……」


「しゅ、瞬介さんがどんどん化け物に」


明花の突っ込みがひどい。

ちなみに悠人の家に来てからずっと走り続けてる。

……全力で。

時間にして2時間は走り続けてるんじゃないだろうか。

ここでしかこういうことができないからな。


「明花ちゃん、それを言ったら瞬介が可哀想だよ。あははは」


くそ、誠太の奴面白がりやがって。


「瞬介さん! だ、大丈夫です、私は気にしませんから」


「明花は優しいな……誠太はあとで覚えてろ」


「おいらにそのセリフ言ったと優奈に言ってやろ~♪」


「おい!お前、俺の天使に!」


「……人の妹を天使扱いするな、キモいぞ」


「ははは」


悠人は笑ってるし。


「ところで瞬介くん。その例の転校生だけど」


「ああ。……なんか気に入られたみたいでやたらと構ってくるっていうか」


「おいらもびっくりするくらいの懐っこさだよ。あれは……ラブだね」


「! 本当なんですか!? 誠太さん!」


「適当言うな!」


なんでそこまで食いつくんだ、明花。

まさかこの子……腐ってるのか?


「誠太くんも悪乗りはやめてくれないか。……それでどうなんだい?」


「どうって……んー、悪い奴には見えないんだけどなぁ」


怪しさというのは感じない。

何がいいたいかと言えば、今もこうしてる外で気配がしている奴らと関連があるのかということだ。

そういえば外で俺についてる奴だが、誠太の母親から連絡があり刑事を何人かつけて追っているそうだが必ずどこかで巻かれるということらしい。

つまり、交代で見張っているしどこかで仲間たちと合流はしているのか。


ただそれが謎の追跡逃れをしているという……。

不思議な話だ。

というか……警察からの追跡を逃れる手段ってのが気になるな。


「おいらからしても、その前日に声をかけてからの流れに不自然さはないからね。今のところは白だと思うよ」


「あんまり怪しんでも仕方ないし、体育祭には参加するんだよね?」


「ああ、徒競走に参加することになったらしいな」


あの転校生、先生に充てられても的確に答えを言っていたし、頭も悪くなければ体育の授業でもバスケとかやったけどいい動きをしていた。


「……俺としては、母さんの料理が恋しくて仕方ない」


「マザコンだな」

「マザコンですね」

「あはは」


……悠人だけは笑って流したが、その笑いは分かるぞさすがに。


「いいんだよ、マザコンだしファザコンだ」



そんなことを堂々と言える理由もあるけど、まだこいつらには言ってない。

いつか時がきたら言える日が来るかもしれないけど、まぁ進んで話すことでもないしな。


そうして悠人の家でしばらく自己鍛錬で過ごして、仮の自宅に帰りそして瞑想を行う。そういう生活を続けていると


――いよいよ本番の体育祭の日が来た。







「……対象が登校した。それでは実行に入る」


「了解」


――ドーン!

校門が何らかの爆発によって開けられ、そして車が入ってきた。

そこからは複数人が一斉に降りてきて一斉に校舎内へと入っていった。


そして――

複数の犯人による人質立てこもりというテロにも等しい最悪な事件が始まった。


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