3話「全王会議③」
王都への旅路は、おおよそ1週間。
まぁ飛行馬車だからだいたい半分くらいだとして――
ということは王都滞在中に2週間になるから、一度あちらに帰って夏休みを終えなきゃな。
で、次の日からは2学期か。
つまりは、現実世界で31日を1日鍛錬で過ごしそしてこちらに帰ってきて……。
なんというスケジューリングなんだろうと思うが、まぁ仕方ない。
ということで、こちらでも馬車内で鍛錬しながらもいつものようにフィーナによる飛行によって移動しながら、盗賊を見つけたら討伐して町に引き渡すようにしながら移動していた。
そして3日後、無事に到着した。
「で、でかいな……」
さすがは王都というべき大きさの城壁である。
しかも門まででかいというのは……意匠も繊細だし、スマホを持ってくるべきだった。
「シュンスケ様、たしか貴族門からとガルマ様から聞いておりますわ。向かいましょう」
「あ、う、うん」
元締めのガルマさん曰く、王直々の依頼だということで俺たちは今回ものすごい並んでいる通常門からではなく東側にあるという貴族門から入ることになっているらしい。
なので、ここからは歩いて東門のほうへと向かうことにした。
―なんだあれ
―よ、妖精? に、令嬢風に、なんだあの美人、それに……魔獣?
しっかりと俺以外が注目されている。
東門の前に着くと、ざざーっと偉そうな人たちが何やら十戒のように割れた。
「貴殿が……うおっほん、王命だろう? さ、先に行くがいい」
と言って誰も彼もが道を譲ってくれた。
中には知らない人もいて、何やら言いそうになっていたが何やらごにょごにょするとあれがと言って黙ってしまった。
……あの処刑の一件以来、貴族に大して色々思っていたが蓋を開ければこんな感じなのかと思ってしまう。
どうもどうもと親切に感謝を示していくと、何やら上等そうな鎧を纏った騎士みたいな人達が揃って捧げ!剣!みたいな恰好で待っていた。
「お初にお目にかかる。冒険者パーティHalfassの一行よ」
そうして出てきたのがこれまた上等そうな服を着た紳士が現れた。
「わしはこの国の宰相を務めておるジルコア。王への謁見までまだ日があるのでな、申し訳ないが与えた屋敷にて待機してもらいたい」
ということだった。
▽
屋敷に案内し終えた宰相を待っていた王はすぐに聞いた。
「して……どうだった? 冒険者のリーダーなる少年は」
「何やら恐縮しきりでしたが……周りが周りなだけに堂々としておられました」
「2万5千年前の生きる元女王、どこかの元貴族の令嬢、そして魔獣に、妖精殿か」
「さすがは妖精使い(フェアリーテイマー)というべきか、案内の最中に妖精殿に乱暴な口調を使っておりましたな……」
王はふむと言葉を飲み、妖精女王から聞いた通りの少年だと理解を示した。
フィーナという妖精を制御できるのは自分のほかにはその少年のみということ。
また悪意の欠片もなくとても素直な少年であり、先の件で若干貴族に辟易を持っているということもだ。
迷宮都市では、フィーナ目当てに竜女王の娘が暴走してやってきたため、後で竜女王が騒がせたと詫びに訪ねてくるという驚きもあった。
そのため自分の護衛にと提案した形だが、やはり人となりは知っておきたかった。
「……陛下、ご安心を。何より先の砂国王からもかの者は英雄と言われるほどの武威を示したとのことでございますれば……」
「そうか、まぁいましばらくは王都で休んでもらってからだな」
と王も安心したように宰相に伝えた。
それに宰相も左様でと答えたのだった。
△
宰相直々に案内され、報酬で与えられたという屋敷を見て俺は固まった。
元は侯爵の屋敷だったそうだが、何かしらの件で取り上げになった屋敷らしいのだが広い広い……。
野球場が二つは入るほどだろう庭に、サッカー場の広さに屋敷が置いてある。
「ほう、なかなかの広さじゃ」
「ええ、これで侯爵級の広さというなら分かる気がいたしますわ」
「これが人間の巣? ふーん、なかなかの広さね!」
「ガルゥ」
こ、これがなかなかの広さ?
いや、すごい広いんですけど……うちの一軒家がどれほど入るか。
さすが元女王なだけはあるってことか。
妖精の尺度は残念ながら分からん。
「お待ちしておりました」
そうして中に入ると玄関前にはずらーっと執事っぽい人と侍女らしき人たちが並んでいた。
「この度のご活躍おめでとうございます。私の名は、セルス。こちらは侍女長のウィルヌ。それから――」
と、セルスさんという執事風の素敵なおじさまに侍女の人々を紹介されていったが、覚えられるわけがないのでどうもよろしくでまとめておいた。
「あの……あなたがたはどうして?」
「あなた様の本拠地はアランの町だとか。しかしこちらに屋敷を構えたということで、国より我らの協会――奉仕会への依頼がありまして……この度、ここへと派遣されることとなりました。ちなみに料金のほうは、国が持つとのことです」
え?
全部国持ち?
貴族とかでもないのに?
俺の頭にはそんな疑問ばかりが浮かんだ。
と、俺が恐縮している間にもラビィが先陣を切り屋敷に入っていった。
「シュンスケ様、今後のためにも慣れなければなりませんわ。さ、どうぞ」
「あ、うん……」
ということで改めて自分の屋敷となった場所へと俺は入っていった。




