プロローグ「アランの町への帰還と」
俺は、盛大なる戴冠式に出席することになった。
それは新たな仲間になったメジェネアの要望によるものである。
新たな仲間……なぜそうなったのか、それはラビィの説得によるものである。
「シュンスケ様、魔法の力……ほしくはありませんの?」
「ほしい!」
「では、ここの2万5千年という古の魔法など覚えられたら……どうです?」
「そ、それは!」
「ということで、よろしいですわね」
「そうだな!」
という感じで、決まってしまった。
……誰だ、単純な奴と言ったやつ!
まぁそんなわけで戴冠式に出席し、アトさん――いやアト陛下って言わなきゃいけないのか――がメジェネアから自らの冠を託すというのを見届けることとなった。
それから、新たな王の誕生に国中が盛り上がりに盛り上がった。
派閥に関しては、メジェネア様がそういうことであればと合意したようだ。
いいのかな、そんな簡単で。
ラノベじゃもっと色々こう……ねぇ?
そんな俺の考えとは違うらしくて、2日ほど盛り上がり――
そして、今日俺たちは出発をする。
またもや、盛大な盛り上がりでの壮行会みたいな感じで。
「英雄さま~!メジェネアさま~!」
……英雄様扱いである。
まぁ、最終的にメジェネアと俺で倒した瞬間を見られているので、間違ってはいないのだが英雄はいいすぎではなかろうか。
「ふぅ~……、英雄殿? どうじゃ、この見送り」
と、もう一人の英雄メジェネアは煙を吹かしながらつぶやいた。
「嫌すぎる」
その一言に尽きた。
なんだよ、英雄って……。
俺は普通の学生なんだよ、現実世界じゃあ。
そうだよ、俺は普通の学生だし何よりそんなキャラじゃないんだ。
ということでお見送りもそこそこに馬車に引っ込んだ。
そしてフィーナによって運ばれながら、大陸を超えて数日後にはアランの町に辿り着いた。
辿り着いた瞬間に待っていたのは、協会への出頭要請だった。
門番の人がそのまま協会へ向かってほしいと告げてきたのだ。
仕方ないと俺は、まだ身分証がないメジェネアの割符を貰って協会へと向かった。
―おい、帰ってきたぜ。
―なんでも解放しちゃったらしいわよ。
―てか、あの美人誰だよ! エロすぎんだろ!
「おうおう、輩がわらわの魅力に取りつかれておるようじゃ。のう婿殿」
「はいはい」
「……いけずじゃのう」
キセルを吹かせ、気分良く歩いているメジェネアはほっとくとしてリンスにフィーナとともに宿へ戻っておくように伝える。
「ですわね。フィーナ様はお疲れでしょうから」
「ふん! いくわよ、その……に、人間!」
「かしこまりました」
と言ってリンスとフィーナは宿のほうへと向かっていった。
まぁあいつがいると面倒臭いし。
ていうか、なんかあいつ言いかけたな……。
協会についた俺たちを迎え入れたのは、リエナさんだった。
「ただいま戻りました、リエナさん」
「おかえりなさいませ。この度の依頼達成おめでとうございます」
と言ってニコっと笑った。
ああ、同じ女性でもこっちのほうが可愛い。
……俺は、可愛いほうが好きなのかな?
なんかメジェネアの視線が痛いが、まぁいい。
「メジェネア、冒険者登録しとけよ。……ついてくる気があるなら」
「分かったのじゃ」
「では、ガルマさんの部屋へどうぞ。こちらで登録のほうを行っておきますので」
「ありがとうございます」
ということで、俺たちは元締めのガルマさんの部屋へと向かった。
ノックすると、応答があったので扉を開き入った。
「……ほう、どうやら男をまた上げたようだな」
……なんだろう、前にも言われた気がする。
「……え? どういうことですか?」
「なんせ今回の大金星の1人ですものね」
「……そうか」
そう言うとソファを勧められたので、俺とラビィは座りコーディは俺の足元に座った。
「一応一連のことは、領主殿から報告が入っておるが……お主からも直接聞こうと思う……何やら、新たな冒険者もパーティに入ったようだしな」
「あはは……」
ということで、俺たち側の報告とラビィ側の報告をした後に合流してからの一連の詳しい報告をしたのだった。
「元女王陛下が、パーティにか……なんというか、最初からお主には驚かせられっぱなしだな」
まぁ冒険者見習いの時のことからここまで、俺のパーティには個性豊かな連中が入ったからな。
巨人族と妖精族のハーフ、フィーナ。
2人で1人の、ラビィ。
半狼半虎の、コーディ。
そして、今回は半死半生のメジェネアと。
……あれ?なんか面子が、全員ハーフとか半身とかそんな共通点があるような。
いやそれはいい。
「とりあえず、今回は以上で依頼達成ということでいいですか?それから、処刑執行妨害の件も……って、そうだった」
俺は改めると、真っ直ぐ頭を下げた。
「この度は本当にすいませんでした! リーダーとして、一冒険者として失格なことをしたと反省してます」
俺の行いにガルマさんは驚いたようだが、がははと笑い声をあげた。
「……ああ、その通りだ。だが、もういい。おぬしはこうして依頼をこなした。それに依頼主である王も満足されておるということだしな。……いや、それ以上に」
そして、俺は次の驚きの依頼を聞くことになるのだった。
「……国王陛下からの依頼だ。全王会議においてお主たち冒険者パーティHalfassに護衛を頼みたいとのことだ」
ということを告げられたからだ。




