3話「異世界での後始末①」
「よし、ちゃんとこっち側で目覚められた」
俺はため息をついて無事に到着した(?)ことに安堵した。
「おお、婿殿。気がついたようじゃ」
「……ああ、あんたも無事なようで」
婿扱いするこの女性は、メジェネア。
俺が半分の力を相手から思いっきりこの女性に使いそして大巨人を消滅させた人だ。
なぜかこの人に、俺は見染められそして今のようにアタックしてくる。
……たしか、こんな感じだったよな。
と俺は今一度長い間訪れていなかったこっちのことを思い出した。
「で、なんであんたがここに?」
そう問いかけると、自分用のエジプト風のキセルをふうっと吹かせて答えてきた。
「無論、ラビィ殿たちとの見張りの当番で……と言いたいが――」
メジェネアはそれからここ数か月起こったことを伝えてきた。
俺が妙な動きをしたり、勝手に怪我をしたり、そのため誰かしら見張りをたてなきゃということで見張ってたらしいのだが、メジェネアがこうして率先している理由はそれだけじゃなく……今一度この国、砂国の女王に戴冠し国をまとめてほしいという派閥と、現在の首領がまとめるべきという派閥でバチバチの状態ということらしい。
それで争いの種となるメジェネアは、主に俺の見張りとしてここにいるというそれ以外――つまりラビィたちは狩猟者として外に稼ぎへ出かけているということだった。
「そんなことが……大変なんだな。まぁそれはいいとして、俺ってどれくらい寝ていたか分かるか?」
「……わらわも1週間ほど上半身がミイラ化した状態だったらしいのじゃが、婿殿の場合は少なくとも4か月近くは覚醒せんかったのじゃ」
上半身がミイラ化?
そういや気を失う前にしてたな、確かに……。
「そういえば、教えなんだか? わらわは、上半身を贄にしてこの国を封印したせいで上半身が非常にミイラ化しやすい。逆に下半身は生きておるからそうはならんので、子作りも万全じゃ♪」
と、キセルを俺のほうにピシっと出した。
いや、万全じゃ♪じゃなくて……。
そうなのか。
つまり、半死半生ってことになるのか?
でも上半身は死んでるって、脳とか心臓とかどうなってるのか……。
「それは乙女の秘密じゃ」
なんで秘密なのかは分からんが、とにかく今はそれどころじゃない。
俺は立ち上がり体を伸ばして手をグッパーする。
よし、いつも通りの俺だ。いや……なぜか右腕がちょっと痛むかと思えば、そこには包帯がかけてあった。
「そこじゃ。急に切れたと思ったら血を流したので、わらわが手当したのじゃぞ」
「あー、そういやそういうこと言ってたっけ?」
どうやらあっちで怪我をすると、こっちのほうにも影響が出るらしい。
たしかに現実世界で俺は右腕に傷を負った。
ナイフで薄皮一枚分くらいだけど。
「それで、どうするのじゃ? わらわはここから出られんし、子作り――」
「それはしないから。そうだな、とりあえず散策してくる。フィーナは?」
「あの妖精殿も、外へ散策に行くというておったのじゃ」
「じゃあ留守番頼むよ」
と言って俺は外に出た。
「……ほほほ、元女王たるわらわにその気安い感じ……ますます好みじゃ♪」
その呟きは俺には幸い聞こえなかった。
外に出た俺は相も変わらず、砂漠の高い温度に――それほど暑くはないな。
半減の力が戻って50度くらいあっても25度くらいだし。
そんなことを考えながらも、色々見ながら歩いていく。
たまにラクダっぽいのにぶつかりそうになりながらも、歩いていると何やら賑わっているところがあった。
「いいか? 元々この国は女王陛下メジェネア様によって統治されていたのだ」
「では今の首領は、どうなる!」
「そ、それは……」
なんかそんな話をしていた。
メジェネアが言っていた通りだな。
くわばらくわばらと俺はその賑わいを通りすぎようとした。しかし――
「シュンスケ! やっと起きたのね!」
と、バカ(フィーナ)がネギ背負ってやってきた。
いや比喩で本当に背負ってるわけじゃないが。
「よう、相変わらず元気そうだな」
「よう、元気そうだな……じゃないわよ! いつまで寝てるつもりよ!」
俺とフィーナの言い合いに何やらどよどよしてきた。
―おい、あれ。
―ああ、あれだろ?女王陛下とともにあのでかい巨人を討伐したっていう
―妖精様にあんな態度、間違いねえな……
という感じの声が聞こえてきた。
ああ、そういう感じになってるのねと俺はため息を吐きラビィたちのことを聞く。
「あいつらだったら狩猟しにいってるわね! あたしはもう飽きたし!」
いや、お前のことはどうでもいい。
そうかと伝えるとそのままフィーナを連れて、歩き回った。
だがフィーナのおかげで目立つらしく俺が1人で歩いている時とは違って、周りの町民たちがやたらとフィーナと俺のことでぼそぼそとやり取りをしていた。
「こちらにおられましたか!」
という声が聞こえ、そちらに向くと何やらこの町の役人風の人だった。
「首領がお呼びです。きていただけませんか?」
「え? ……俺?」
「はい、メジェネア様もラビィ殿たちも瞬介が目覚めるまではということで」
くそ、そういうことか。
ラビィたち俺に全部投げるつもりのようだ。
こういう時のためにリーダーに任命したんじゃないだろうなと思ってしまう。
とりあえず呼んでるなら行くしかないかと俺は諦めて、役人らしき人についていくのだった。




