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異世界”半”転移譚  作者: 武ノ宮夏之介
第四章「瞬介の夏休み」
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1話「瞬介の夏休み②」

「オラァ!」


「っと……」


俺は殴られそうなのを躱すと、距離を取る。


「て、てめえ!すかしてんじゃねえぞ!」


なんていうか、嫌な予感というかテンプレ的な絡まれるっていうのを冒険者側で味わうと思っていたのがまさかまさかの現実サイドだとは思わなかった。

これでも入学したての頃だったらこの数だと分からなかったが、殺気も何もない攻撃やラビィたちとの訓練に比べれば、なんてことのない拳やら蹴りやら全く問題ないほどに躱せた。


「いやまぁ……いつかはこうなるとは思ってたんすけど、さすがに……っと」


はぁはぁと息を切らせるまで、攻撃を躱してドヤッ!と思うことはない。

あっちじゃ本物の刃で攻撃された経験もあるし、何より人間外の魔物というのを相手にしているので、経験が全く違う。


「そろそろ、やめにしませんか? 不毛ですよ」


「ふざけやがって!」


「分かりました……じゃあ投げのみで」


そして俺はするっと相手の懐に入りこむと、"攻め"の合気道で相手を次々と投げていった。もうすでに体力も限界という彼らは立ち上がることもできずにそのまま倒れているのだった。


「じゃ、お疲れさまでした」


そうして俺はその場を去っていった。




「ということがあったんだよ」


「それはそれは……なんていうかテンプレだね」


「だろ? まさか現実世界側でとは思わなかった」


「瞬介くん大丈夫かい? もしなんだったら――」


「大丈夫だから、悠人は人が良すぎだ」


俺たちはアルバイトの休みの日に、喫茶店で久々に集まり駄弁っていた。


「……それにしても瞬介さん、最初の頃に比べてその……体つきがしっかりしてきましたね」


「明花のエッチ!」


「ち、違います!」


という冗談を言い合っている時だった。


「おーっす、おめえか? うちの若いもんが世話になったみたいだな」


「え?てか、こんなのにやられてんの?ちょろ」


「あーお姉さん、今度あそぼーぜー」


という如何にもな連中がやってきた。


「瞬介くん」


「……いいよ。用があるのは俺だけっぽいし、ですよね?おじさん」


「! いい度胸じゃねえか」


俺は席を立つと、ちょっと待っててと告げておじさんに見えるお兄さんたちとともに外に出た。


そして――


「はぁ……はぁ……な、なんだこいつ」


「この人数なのに……一発もあたりやがらねぇ……」


「く、クソ……」


避けるだけの簡単なお仕事をこなし、十分疲れたところで俺は全ての人の袖を掴むと投げてトドメをさした。


そしてまた喫茶店に入って、悠人や誠太、明花と話すのであった。







一方、瞬介の知らないところでは――


「なんだと!? ……ガキ1人に達夫の野郎もやられたってのか」


「そうみたいです。あとは、烈怒のとこのやつも」


「舐めやがって……おい、わかってんだろなぁ?ああ?」


「ええ、今、数集めてますんで!」


「俺もでる」


芋づる式に"そういう連中"に目を付けられていった。


バイトを頑張る、帰りに絡まれる、それを相手する。

最近はそんな風にローテーション化してる気がする。

それに地味に人数が増えていってるし。


なんだろう、この嫌なモテ方の夏休みは。

たまにバイクでブーンブーンという連中も見かけるが、ほとんどは徒歩というか現場に待ち構えていたりする。仕事後の腹ごなし程度になるのはいいが、待ってるほど暇ならバイトすればいいのにと思ってしまう。


さてと、終わったし帰るか。


そして今日も、俺は走って家まで帰った。

だが、今日は違っていた。


俺はバカだった。

こういうこともありえるとなぜ考えなかった。


なんせ、奴らはうちの玄関に何やら落書きを、そして鈍器などで殴ったのだろうかいたるところに蹴った後などがあった。


調子に乗るなとか、死ねとかスプレーで……さすがにこれはやりすぎだった。


「あら、おかえり。瞬介」


にも拘らず、母さんはなんでもないようにこうして出迎えてくれる。


「……ご、ごめん。母さん」


「気にしないで、瞬介。あんたが悪いわけじゃないんでしょ?」


くっ!


「ありがとうな、母さん」


俺は、舐めていた。

ああ、もう容赦はしない。

とりあえずは――


「誠太、話がある」


と、まずは誠太に話を通した上であることを計画した。


「……面白いな、さすが瞬介!」


そう言うと誠太は笑って協力を申し出てくれた。


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