だけど、此は火葬をするにも薪を沢山使うだけの費用を、当時の陸民が持っていなかったという事情があった。
とある国王は≪ エルゼシア大陸 ≫全土をお墓に見立てたり──、とある教皇は「 遺体を川に流す様に 」と言って、「 お墓は必要ない 」と言う反論もあったそうだ。
そうした当時の生きるだけで精一杯の陸民に「 お墓を作れ 」と言う事が抑、無理な話だった──と言う事情を考えなければいけないんだとか。
言い換えれば、陸民による自然葬は、現実問題として他に選択の余地が無かったからだと言える。
現在の≪ エルゼシア大陸 ≫では、何時の頃からか分からないけど、〈 大陸の法則 〉通りにお墓を作り、遺骨を埋葬する事が一般化して来ている。
伯父さん,マーフィ,ラオインダのお祖父さん世代が生まれる何十年か前迄は、個人墓や夫婦墓が主流だったらしく、先祖代々の家墓が普及したのは、伯父さん,マーフィ,ラオインダのお祖父さん世代が生まれた後だったらしい。
火葬が主流になったのは、伯父さん,マーフィ,ラオインダの親世代が生まれた後なんだとか。
だけど、火葬の後は収骨は行わないで、遺灰を墓地や海、個人の望む場所に撒くのが一般的にされてる所があった。
火葬しないで自然葬を何処でも許されてる所もある。
葬送や墓制については、時代の文化,国王の考え方,教皇の考え方で社会状況に即して行われて来ているらしい。
葬送や墓制が時代に依って異なっているとしても、〈 大陸りく仰こう神しん神しん 〉が定さだめられている〈 大だい自し然ぜんの法ほう則そく 〉や〈 大たい陸りくの法ほう則そく 〉は普ふ遍へんで、変かわる事ことはない。
拝おがむ対たい象しょうを失うしなわせ、先せん祖ぞと子し孫そんの繋つながりを敢あえて絶たってしまう自し然ぜん葬そうは、死し者しゃの尊そん葬そうとは言いえなくて、社しゃ会かいの秩ちつ序じょを破は壊かいし兼かねないもので──。
自し然ぜん葬そうに戻もどして、敢あえて〈 大だい自し然ぜんの法ほう則そく 〉に違い反はんする必ひつ要よう性せいはある筈はずもない事ことなんだとか。
人ひとが死しんでもきちんと埋まい葬そうする事ことなく、例たとえ其ほかの1部ぶでも撒まいたり、遺い棄きしたりすれば、生いきている人ひとの生せい命めい迄までも軽かろんずる風ふう潮ちょうに流ながされていくのは必しん定ていらしい。
郊こう外がいに亡なき骸がらが次つぎ々つぎに積つまれていく自し然ぜん葬そうの時じ代だいに生いきた人ひと々びとが直ちょく面めんしていたのは、不ふ安あん定ていな世せ情じょうと荒こう廃はいし易やすい人ひとの心こころの時じ代だいであった事ことは歴れ史きしを見みれば明あきらからしい。
代だい々だいの先せん祖ぞから成なる “ 家いえ墓はか ” に遺い骨こつを納おさめて、先せん祖ぞから子し孫そんへと言いう時じ間かん的てきな縦たての繋つながりを大たい切せつにしようとする事ことが、社しゃ会かい秩ちつ序じょの安あん定ていに資しする、最もっとも〈 大だい自し然ぜんの法ほう則そく 〉に適かなった優すぐれた考かんがえ方かたである事ことを知しっって、自じ信しんを持もって其その意い義ぎを広ひろめて、受うけ継ついでいくべきなんだとか。
セロは、こうゆう事ことをオレに聞きかせてくれたり、教おしえてくれはするけれど、人にん間げんに聞きかせたり教おしえたりはしない。
教おしえたからと言いって、人にん間げんが信しんじて、間ま違ちがいを正ただしてくれる保ほ証しょうなんて何ど処こにもない。
誰だれにも相あい手てにもされないで、聞きき流ながされて終おわり──って事ことだってあるかも知しれない。
だけど──、其それでも──、間た違ちがった考かんがえ方かたがで間ま違ちがった事ことをしているのが分わかっているんだから、一いち応おうは教おしえても良いいとは思おもうんだ。
信しんじる,信しんじない、聞きく,聞きかないは相あい手て次し第だいな訳わけだけども……。
教会と神殿の違い。
◎ 教会を運営するのは「 聖職者 」と呼ばれている。
神父,尼僧,教皇とか。
≪ 集落 ≫≪ 村落 ≫≪ 町 ≫≪ 街 ≫≪ 王都≫を拠点としている。
◎ 神殿を運営するのは「 神職者 」と呼ばれている。
巫士,巫子,葬蔡者,葬祭者とか。
≪ 都 ≫と中間地点の《 神殿 》を拠点としている。
◎ 教会が普及している聖典は、人間のご都合主義,コジツケ,私利私欲等により、〈 大自然の法則 〉〈 大陸の法則 〉が大幅に歪められたもの。
主に自然葬の推進を図っている。
ゼノバ教団の隠れ蓑にもなっている。
表向きは〈 大陸神 〉を〈 信仰神 〉として布教しており、ゼノバ教団を敵視している風を装い糾弾しているが、聖職者の上層部はゼノバ幹部と癒着しており、傘下として裏で暗躍もしている。
下っ腹の神父,尼僧,信者は真っ白で、教会から頂いた聖典の内容を純粋に信じており、善意の心で熱心に布教活動や奉仕活動をしている。
上層部が真っ黒黒なのを知らない為、下っ腹は〈 大陸神 〉を〈 信仰神 〉として真剣に崇めており、ゼノバ教団の糾弾活動にも励んでいる。
原典 ── 翻訳 ─→ 聖典( 聖職者 )、信者用,布教用,信者外用,子供用…等、他にも種類がある。
◎ 神殿が普及している教典,経典は、原典の〈 大自然の法則 〉〈 大陸の法則 〉をほぼほぼ忠実に解釈で翻訳されているもの。
霊観のない人間が翻訳するので、解釈の違いが目立つ。
自然葬の間違いを解き、〈 大自然の法則 〉〈 大陸の法則 〉に適う家墓を作り先祖供養を先祖代々続けていく事を広めている。
原典 ── 翻訳 ─→ 経典( 神職者用 ),教典( 信者用 ),楪( 信者外用 ),ゆずりは( 子供用 )
◎ 原典は、〈 皇 〉が出張する前に大陸を治める代理者へ手渡したもの。
〈 久遠実成 〉が定められた〈 大自然の法則 〉と〈 大陸の法則 〉について詳しく分かり易く説かれている。
初代国王が即位した時に〈 皇 〉から直接、手渡されている。
歴代の国王達が即位した時にも御披露目をされ、代々受け継がれて来ている筈である。
大陸が健在である限り、原典は消えない。