──*──*──*── 四日目
──*──*──*── 食堂
セロとオレは朝食中だ。
食事を済ませたら直ぐに≪ 廃村 ≫へ向かうから、準備は万端だ。
朝は確り食べとかないとな!
食卓の上には、新鮮な野菜サラダが盛り付けられた大皿,新鮮な魚介類が盛り付けられた大皿,野菜サラダと魚介類を包む為のナコと呼ばれている生地が載せられた大皿,5種類のドレッシングソースと熱々の海鮮スープが置かれている。
中皿の上に “ ナコ ” って言う生地を広げて、野菜サラダを載せたら、新鮮な魚介類を載せる。
ドレッシングソース用の大さじに、好みでドレッシングソースを掬って、魚介類の上にかけたら、生地を折る。
クルクルっと巻いたら、口の中に入れてパクっと食べるんだ。
此が今日の朝食の日替わりメニューだ。
一口サイズに千切った生地を海鮮スープに浸して食べても美味しい!
魚介類を海鮮スープに入れて食べても美味しいんだ!
野菜サラダ,海鮮スープ,魚介類は、お代わり自由だ!
だけど、生地だけは、100Q支払って5枚追加になっている。
生地を作るには手間が掛かるらしい。
だけど人気があって、1人で30枚も食べる人が多く居る。
最初に大皿に載ってる枚数は1人10枚だ。
だから、セロとオレの分で20枚も載ってる事になる。
直ぐになくなっちゃうけどな!
オレは200Qを払って、生地を10枚お代わりした。
野菜サラダだけじゃなくて、ちゃんと海藻サラダもあるし、魚介類ばかりじゃなくて、肉,ハム,ソーセージ,ベーコンだってある。
海藻サラダに入ってる海葡萄はプチプチして美味しいから、海葡萄だけ食べると果物みたいだ。
オレの前にはセロが座ってて、巻いた生地を御上品に食べてる。
テーブルマナーに煩い王族ですら、溜め息を漏らして見惚れてしまう程にセロのテーブルマナーは完璧だ。
セロは有りとあらゆるテーブルマナーをマスターしているらしくて、姿勢も食べ方も美しくて絵になってしまう。
オレは≪ エルゼシア大陸 ≫を統治する皇子だから、セロにテーブルマナーも教わってるけど、上手く出来た試しがない。
200年経った今でも、1年に1回だけ≪ 王都 ≫にあるバセリナ城で王族と一緒に食事会をする事になっている。
食事会で恥を掻かない為と皇子の威厳を守る為にも王族に完璧なテーブルマナーを披露しないといけない。
オレは王族との食事会なんて望んでない。
食事会なんてしたくもないし、王族にも会いたくもないんだ!!
だけど……、伯父さん,マーフィ,ラオインダさんが許してくれない。
此は他の大陸へ渡ってしまっても続く約束事になってしまっているんだ。
オレを無視して勝手に色々と決め過ぎなんですけど!!
オレの意思が尊重された事は1度だってない。
セロと来たら、「 王族との食事会は単なる建前です。本音はアルソリュンド,マーフィ,ラオインダさんがマオに会いたくて考えた苦肉の作でしょう。1年に1度だけですし、受けてあげてはどうです? 」なんて言うもんだから、毎年開催される≪ 王都 ≫の建国記念日には必ず、バセリナ城に用意されたオレ専用の皇室しつ室しつに居いないといけない。
………………勝かっ手てにオレ専せん用ようの皇こう自じ室しつ室しつを作つくらないでほしい……。
王おう族ぞく親族達と食しょく事じをすると、美お味いしい筈はずの料りょう理りも全ぜん然ぜん美お味いしく感かんじないんだよな〜〜〜。
隣となりにセロが居いてくれるから、未まだマシだけど……。
宿やど屋やの食しょく堂どうでテーブルマナーなんて一いっ切さい気きにしないで、好すきな料りょう理りを好すきなだけ食たべる方ほうがオレは好すきだ。
だから、今いまの此この瞬しゅん間かんは楽たのしい時じ間かんなんだ。
後あと10ヵ月げつは≪ 王おう都とカルセライル ≫に行いかなくてもいいからやれやれだ。
マオ
「 ──セロ、今日きょうはお客きゃく少すくないな… 」
セロフィート
「 昨さく日じつ、≪ 廃はい村そん ≫へ行いったきり戻もどって来きてない様ようです 」
マオ
「 え?!
何なんで帰かえって来きてないんだ? 」
セロフィート
「 帰かえれない様ような出で来き事ごとが≪ 廃はい村そん ≫であったのかも知しれません 」
マオ
「 帰かえれない様ような出て来き事ごと……。
其それって何なにが起おきたんだ?? 」
セロフィート
「 さあ?
行いってみなければ分わかりません 」
「 皇子 」と「 王子 」の違いについてです。
◎ 国王祖父 + 前王妃祖母 = 皇子長子(エノバランティス)
皇子実父(エノバランティス) + 実母ソフティアリーチェ = 皇子長子(マオチェリンド)
エノバランティスは「 奇跡の授かり子 」「 幻の皇子 」であり、正統な王位継承者の証指輪を持つ。
王妃実母 の形見の指輪 ─→ 愛妻ソフティアリーチェ・シェルダーシカへ手渡す ─→ 実子長子(マオチェリンド・シェルダーシカ)の手に渡る。
第1皇子である父親エノバランティスを持ち、 王妃祖母 の指輪を持つマオマオチェリンドは正統な王位継承者であり、 皇子 となる。
◎ 国王祖父 + 後王妃 = 王子叔父 達, 王女伯母 達
マオが現れる迄は、 後王妃 も 王子叔父 達, 王女伯母 達も 前王妃 がおり、子供エノバランティスが生まれていた事を知らず、 第2王子 は 第1皇子 として育てられた。
◎ マオは 皇子 として生きるつもりは更々ない為、 第2王子叔父 に王位を譲り、 第2王子叔父 の子孫達に≪ エルゼシア大陸 ≫の統治を任せている。
◎ 指輪は今迄通り、祖母と両親の形見としてマオが持っている。
◎ マオとの契約で不老不死となり、マオの眷属となったアルソリュンド,マーフィ,ラオインダはバセリナ城にて、即位した国王のサポートをしている。
◎ アルソリュンド,マーフィ,ラオインダは未だにマオを実弟だと思っている為、「 報われない超絶過保護なブラコン 」として≪ 王都カルセライル ≫では有名人。
◎ 王族の姓は「 エルゼシア 」です。
例1:エノバランティス・バセリナ・エルゼシア
例2:マオチェリンド・シェルダーシカ・バセリナ・エルゼシア